2012年6月10日日曜日

オタクで童貞な彼を好きになった話

1:名も無き被検体774号+:2012/06/06(水) 16:11:13.51 ID:zhsQggzZ0

立ったら書く




2:たろ ◆S715eQBvs6 :2012/06/06(水) 16:12:21.41 ID:X3C/UnUy0

ふむ



3:名も無き被検体774号+:2012/06/06(水) 16:12:56.62 ID:zhsQggzZ0

やっと立ったー。


相手スペック
23歳男 社会人
身長168くらい 細身
ひんぬー めがね
絶望先生に似てるから糸色くんと呼ぶことにする。

じぶんスペック
20歳女 社会人
身長145センチ 体重38キロ
ひんぬー
糸色くんにつきまとっていたから、仮名をまといにする。

よかったら聞いてください。



5:名も無き被検体774号+:2012/06/06(水) 16:16:56.71 ID:wd7PO9tZ0

とりあえず見てる



4:名も無き被検体774号+:2012/06/06(水) 16:16:21.65 ID:zhsQggzZ0

書き溜めてないので遅いけど見てくれる人ありがとう。


糸色くんとは職場が同じなんだけど、(とある百貨店の販売員。)ほぼ関わりがなくて、その存在を意識したこともないような仲だった。
ことの始まりは去年の10月。
わたしの売り場の先輩(女)が、職場での飲み会をきっかけに糸色くんと仲良くなったらしい。
ちなみにその飲み会にわたしは行ってない。
理由は、ぼっちになりそうで怖かったからw

それでまあ、先輩・・・ポジティブなのでカフカ先輩と呼ぶ。カフカ先輩がこんな提案をしてきた。
「こんど、糸色の家で鍋パしない?」
その時は糸色くんの顔も知らなかったし、男の人の家に行くのってなんかなあwwみたいな戸惑いもあって、すぐに返事はできなかった。
カフカ先輩は社交的で誰とでもすぐ仲良くなれるけど、わたしは引っ込み思案でビビりだったんだw





6:名も無き被検体774号+:2012/06/06(水) 16:17:54.51 ID:tSmWc5G5i

男はひんぬーだわな



7:名も無き被検体774号+:2012/06/06(水) 16:18:13.75 ID:ZwfZMr9f0

みてるよー



12:名も無き被検体774号+:2012/06/06(水) 16:29:32.48 ID:zhsQggzZ0

そんなやりとりがあって数日もたたないうちに運命の瞬間は訪れた。
売り場にいたら、カフカ先輩に男の子が話しかけてきたんだ。
すぐに糸色くんだってわかった。笑顔がかわいい人だった。でも、横にいるわたしには目も合わせてくれなかったww
糸色くんがいなくなってから、わたしはカフカ先輩に言ったんだ。
「わたし嫌われてるんでしょうか。」
こんだけでwwwって話だけど、わたしの売り場はカフカ先輩のほかにあと二人先輩がいて、その二人も糸色くんと仲がいいみたいだったから、一言も話したことのない自分が仲間外れみたいな気がしてさみしかったんだw



15:名も無き被検体774号+:2012/06/06(水) 16:43:27.99 ID:zhsQggzZ0

次の日の朝。
わたしはバッグヤードで商品の仕分けをしてた。
そしたら糸色くんも荷物搬入で近くにいて、目が合ってしまった。
「おはようございます」って挨拶したら、「ガムテープ持ってますか?」って聞かれた。
話したこともないのに突然だな、と思ったけど、声かけられたことはなんとなくうれしかったw
だけどガムテープは売り場にある!
「取ってきます!」と言って走りかけたら、「いや持ってないんならいいよ。」って糸色くん去って行ってしまったw
そのことがあってから、わたしは常にポケットにガムテープを入れておくようになった。



13:名も無き被検体774号+:2012/06/06(水) 16:35:00.71 ID:fiHUlC9ai

>>1
鳥つけて



16:まとい:2012/06/06(水) 16:50:35.40 ID:zhsQggzZ0

トリこれでいいでしょうか!?

つづき。

わたしは朝のことをカフカ先輩に話した。
「いきなりガムテープ持ってるか聞いてくるなんて、びっくりしましたよw」って。
そしたらカフカ先輩、
「あたしが糸色に、まといが話しかけてもらえなくてすねてるって言ったからかなあwww」
って…。そうだったのか。
若干、先輩に言われたからかって悲観的にとらえてもしまったけど、気使ってくれる優しい人なんだなって思った。
さみしがってたのがバレて恥ずかしくもなったww



18:まとい:2012/06/06(水) 17:02:34.43 ID:t+J1pOWm0

そんで再びあの話題が出たんだ。
カフカ先輩「で?鍋会どうする?」
やっぱり一人だけ参加しないのはさみしかったし、糸色くんが優しい人ってのもわかったから、わたしは行くことにした。
カフカ先輩が糸色くんに伝えとくって言ってくれたけど、家にお邪魔するわけだし直接許可もらうべきだよなと考えて、糸色くんの売り場に顔を出してみた。
目が合って「おつかれさまです」と笑ってくれる。
「本当にお邪魔してもいいんですか?」と聞いてみた。
やっぱり糸色くんはニコニコしながら、「いいですよ!」と言ってくれた。
男の子とあまり話したことのないわたしは、それだけでドキドキしてしまったw



21:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 17:13:05.77 ID:t+J1pOWm0

職場では先輩たちに、たびたび「糸色と付き合えば~w」とからかわられるようになってしまった。
自分でも無意識のうちに、糸色くんのことをよく会話に出してしまっていたんだと思う。
あいさつできたとか、高いところの物を取ってもらったとか、どうでもいい話を先輩にしてしまっていたw
本音は糸色くんと付き合えたら楽しいだろうな、と思っていたけど、
それを先輩に言うのは恥ずかしかったし、何より糸色くんはカフカ先輩のことが好きなんじゃないかと思っていたから、自信なんてのはこれっぽっちもなかった。



23:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 17:26:42.90 ID:t+J1pOWm0

んなこんなで鍋会の日はやってきた。
とりあえず鍋会メンバーを説明すると、

わたし・糸色くん・カフカ先輩・先輩2・先輩3
の4人で、糸色くん以外はみんな女です。

その日、糸色くんは県外に日帰り出張で、こっちに帰ってきたのが18時くらい。
シフトが休みだったカフカ先輩と先輩2とで、先に鍋の準備をしてくれていた。
わたしは先輩3と二人で閉店まで仕事して、ラスト後にお店の外で迎えが来てくれるのを待ってた。
糸色くんの家の場所わからないからね。
待ってるあいだ、先輩3と話をしてたんだけど、(なんか失礼なので以下なみ先輩と呼ぶ。)なみ先輩はとても穏やかで優しい人で、なみ先輩だけには本音が言えたんだ。
糸色くんのこと少し気になってると話したら、応援してるからねってわらってくれた。



24:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 17:40:36.55 ID:t+J1pOWm0

迎えに来てくれたのは糸色くんひとりだった。
「女性を夜道に歩かせるわけにはいかないし、かといって3人で迎えに行くのもなんかなあと思って、一人で来ましたよw」と糸色くん。
ただのジャージだったけど、初めて見る私服にドキドキしたw
照れくさくてなみ先輩の後ろに隠れつつ、糸色くんについて行った。
糸色くんの家はわたしたちの職場から徒歩10分くらいの場所だった。
マンションの一回に部屋が合って、一人暮らし。大学生になったときから実家を離れて一人暮らしをしているらしい。
糸色くんの実家は県外で、新幹線で2時間ほど離れている。

糸色くんが部屋の鍵を開けると、中からカフカ先輩と先輩2の声が。
「あ~!糸色おかえりい!」「ただいまー」
なんだかそのやりとりが同棲カップルのようで、少しチクっとしてしまったw



25:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 17:58:55.90 ID:t+J1pOWm0

なみ先輩の気遣いで、糸色くんのとなりに座ることができたわたしw
とりあえず乾杯しよう!ということで、糸色君がみんなに缶ビールを配った。わたしにも渡してくれたのだけど、実はわたしはビールが飲めない…。
でもそんなこと言えないので、思い切って一口飲んでみた。とても苦い。
「もしかして飲めないの?」糸色くんが気づいて聞いてくれた。大丈夫です!と返事したw

そうしていたらカフカ先輩が、「そういえばお皿ないよねー。」と言い出して、糸色くんが「あ、忘れてました!男の一人暮らしですから…。コンビニ行って紙皿買って来ます。」と出かけてしまった。
主がいなくなった狭いワンルーム。まじまじと見わたしてみると、本棚だらけで中には漫画がぎっしり。ライトノベルとかもあって、一人で「え!?」とびっくりしてしまったw
わたしも同種の人間なのでわかるけど、糸色くんがオタクだったなんて夢にも思わなかった。親近感がわいたw

先輩2「はい!実はあるものを見つけちゃいました!」

わたしがモンハンを見つけてwktkしていたら、先輩2が悪戯な顔で切り出した。なんとなく予想はできたけど、先輩2はその手にAVを持ってたw
セーラー服の女の子のパッケージだった。糸色君がそれを観てるところが想像つかなくて、ちょっと恥ずかしくなった。



26:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 18:07:54.19 ID:t+J1pOWm0

「本棚の裏に隠してありましたw」そう言うと、先輩2は糸色くんのベットの布団の中にそれをつっこんでしまった。
笑う先輩たち。そして何を思ったか、わたしは「かわいそうです!」と言って、ベットの中からAVを救出し、布団の上に置いた・・・。
笑っていた先輩たちの顔が引きつるw
「戻りましたよーー。」
糸色くんが帰ってきた。



28:名も無き被検体774号+:2012/06/06(水) 18:14:07.40 ID:Hu1swczi0

なかなか興味深い



31:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 18:28:22.29 ID:t+J1pOWm0

糸色くんは紙皿をみんなに渡してくれて、そして、わたしにピンクの瓶の甘いお酒をくれた。
「これなら飲める?」って。その優しさがすごく嬉しかった。もちろん美味しく飲み干しました。
ところで。ベッドの上のAV、糸色くんは何も言ってこない。しびれを切らして、わたしから突っ込んだ。
「気づいてないんですか?」「気づいてるよ。」
主語は無いけど即答だったw
糸色くん苦笑い。先輩2が「おとこのこだもんねー!」とフォローしていた。

それからお酒も進んでいい気分になってきて。
糸色くんはどこまでも紳士で、率先して鍋をみんなのお皿によそってくれていた。
こんなに気配りのできる男の人とわたしは会ったことがなくて、何もしてない自分が恥ずかしくなるくらいだった。

先輩の会話はどんどん下ネタが入っていった。
どこどこのラブホは○○の設備があるとか、この前コスプレして彼氏としたとか、糸色くんもやっぱり男の子でとても楽しそうに下ネタに食いついていた。
おっぱいが大きいのが好きな男が多いのは、赤ん坊からの本能だー、とか言ってたw
そういう話が苦手な、なみ先輩。無言でニコニコしてた。無理してたのかな。
わたしはというと、先輩といっしょになってカルピスがどーのこーのとはしゃいでいますた…。



33:名も無き被検体774号+:2012/06/06(水) 18:33:38.21 ID:SE5hqFtyi

まといちゃんは彼氏いたことあるのか?



37:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 18:41:34.94 ID:t+J1pOWm0

>>33
一人だけ付き合ったことありましたw



34:名も無き被検体774号+:2012/06/06(水) 18:34:08.39 ID:xhnvChjW0

ハーレムいいなあ



35:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 18:39:40.79 ID:t+J1pOWm0

そうやって楽しく過ごしていたんだけど、先輩2が余計な行動に出る。
「ねえ糸色!彼女ほしいでしょ!わたしの友達、紹介してあげるからあww」
なみ先輩がわたしを見た。わたしは糸色くんを見た。糸色くんは拒否をするでもなく、うなずくでもなくじっとしてた。
お酒に酔って真っ赤な顔の先輩2は、一人できゃっきゃっ言いながら、携帯で誰かと話始めた。

「ねえねえ!彼氏ほしいって言ってたよね!いい男いるよ!今、一緒にいるから電話かわるよん!」

先輩2が携帯を糸色くんに渡そうとした。
わたしは思わず叫んだww
「嫌です!!糸色くんにはわたしがいます!!」
一同唖然・・・・・・・。



38:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 18:53:24.80 ID:t+J1pOWm0

糸色くん開いた口がふさがらず固まっているwww
なみ先輩もびっくりした目でわたしを見ているwwww
先輩2は、「ごめん…今の話はなかったことに…。」と電話の向こうの女の子に言って、静かに電源を切った…。
カフカ先輩だけが目をキラキラさせて、ビールに夢中だった。

沈黙が流れる。わたしは恥ずかしくなって、糸色くんに背を向けた。顔を両手で覆って隠したw
「で、付き合うの?」先輩2が聞いてきた。糸色くんまで聞いてきた。「付き合うの?」wwww
心臓ばくばくだった。もう逃げられないと思っていたら、カフカ先輩が「ビールが無くなった!買ってきて!」と口を開いた。

先輩2が「じゃあ二人で行ってきてwww」と、わたしと糸色くんを部屋から追い出した!!



40:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 19:08:21.96 ID:t+J1pOWm0

お酒を飲みなれていなかった当時のわたし。外に出ると足元がふらついて、それを見た糸色くんはあろうことかしゃがんでくれて、「乗って」と言ってきたw
とてもじゃないけどそんなことできるわけもなく、いやいいです!と首を横に振りまくった。
さっきのことは、お互い話題に出さなかった。ただただ緊張した。
買い出しを終えて部屋に戻ると、先輩2が「何もされなかった?w」とひやかしてきた。

わたしは心底はずかしかったけど、糸色くんはどう思っていたんだろう。
女の子とこうして頻繁に集まったりしているのかなあ?と思った。慣れてるのかなあと思った…。

しばらくして、再びカフカ先輩がビールを飲み干した。
当たり前のように先輩2は、わたしと糸色くんを部屋から追い出しw糸色くんは二度目のセリフを口にした。
「乗って!」
意を決して、その背中に飛び乗ったわたしw暖かったwwもうどうにでもなれと思ったw
気持ちのままに、糸色くんに腕をまわして思い切り抱き着いた。

「やべえ、惚れそう。」
糸色くんが低い声でそう言った。わたしが彼に、完全に恋に落ちた瞬間だった…。



41:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 19:14:02.40 ID:t+J1pOWm0

なんか気持ち悪くてすみませんw
ここから更に気持ち悪くなっていきますが許してください・・・。
そんなこんなで鍋会は終了しました。
糸色くんとはアドレス交換をして、その夜少しメールをしてから寝ました。
内容は確かどうでもいいようなことだったと思いますw



43:名も無き被検体774号+:2012/06/06(水) 19:22:55.30 ID:VDB9XbBc0

楽しみにしてる



44:名も無き被検体774号+:2012/06/06(水) 19:24:37.70 ID:aYqTRuJY0

これはいい恋愛



47:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 19:35:27.58 ID:t+J1pOWm0

次の日の昼過ぎ。
糸色くんからメールが来た。これまた他愛ない内容で、でもまさかこんなにすぐメールくれるとは思ってなくて飛び上がって喜んだw
その日はふたりとも仕事が休みで、1時間くらいメールを続けていたんだけど、糸色くんが突然遊ばないかと言ってきた。
もちろん即答で「あそんでください!!」
すぐに用意して電車に乗った。糸色くんとは駅ひとつぶんの距離に住んでた。その駅で糸色くんも電車に乗ってきて、ふたりで大きな駅に向かった。
今日は先輩もいなくてふたりきりだwなんて、wktkしてた。



49:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 19:43:22.81 ID:t+J1pOWm0

昨日のジャージと正反対で、大人な服装の糸色くんに終始くぎづけだったw
改めて見てみるとやっぱり好みの顔立ちで、こんな人と歩いてて本当にいいのかなと思った。
で、駅についてバスに乗り換えて、アニメイトに行ったwww
ちょうど名探偵コナンの新刊が出ててわたしはそれを買って、糸色君はわたしにもわからないようなマニアックな漫画を買っていたw
アニメイトではあまり会話はなかった。



51:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 19:55:37.37 ID:t+J1pOWm0

普通の本屋に行った。
糸色くん、また漫画のところに行くと思ったら、小説とか知識書だとかの難しいコーナーに入っていったw
活字びっしりの分厚い本に真剣になっていて、最初はわたしもそんな糸色くんを真剣にながめていたけれど、だんだん飽きてきて漫画コーナーに一人移動w
知的でかっこいいなあと思ったり、暇だなあまだかなあと思ったりしつつ一時間経過ww
小説を何冊か購入した糸色くん。「つぎどうする?」ってw

とりあえずすること見つからなくて、そのへんをぶらぶら散歩した。
結構歩いて、ヒール履いてきたことに後悔したw
すると糸色君、「あー、ごめん。きづかんかった。足痛いよな?女の子と歩くことなんてないからさ、自分のペースで歩いてたわ…。どっか喫茶店でも入ればよかったよな、ごめん。」
えええええw女の子と歩くことなんてない、その一言でわたしはすっかり元気になったww

「慣れてるのかと思ってましたけど!」
「過去に彼女いたこと、実は一か月しかないんよ。女友達とも二人でなんか遊ばんし。」

びっくりだった。



54:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 20:03:37.14 ID:t+J1pOWm0

なんでそんなこと、わたしに話してくれるのかな?とも思ったけれど、見た目とは裏腹に案外シャイだったりするところや、意外な一面が知れたりしてうれしく思った。

そんで、少しわたしの服選びにも付き合ってもらって、電車に乗って帰ることにした。
電車の中ではなんだかあまり話せなかった。このままバイバイかと思うとさみしくて、でも帰りたくないなんて言えないwww
うつむいてしまった。
「どうしたん?」糸色くんが心配そうに声をかけてくれる。
「…悩みがあるんです。」
自分でも思いもよらない言葉が飛び出たww



56:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 20:11:34.04 ID:t+J1pOWm0

わたしの悩みはひとつしかない!!w
なんてことを言ってしまったのかと、どうしようかと思っていたら糸色くんの降りる駅についてしまった。
でも糸色くんは降りなくて、「悩みがあるなら聞くよ。おれでよかったら、話せば楽になるかもしれないし。」そう言ってわたしの駅で一緒に降りてくれたw

時間は18時くらいだったかな。
日が暮れてきたホームの、個室になっている待合室に入って向き合って座った。
真剣な目で糸色くんがわたしを見てくれている。

わたしはできるだけ言葉を選びながら、今の自分の素直な気持ちを話すことにした。



60:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 20:21:42.33 ID:t+J1pOWm0

「まあ悩みっていうのは大げさかもしれませんがwwあのですね…わたし好きな人がいるんです!!!」
思い切ったwwwでもよく考えてみると昨日の今日、好きになったからって言うの早すぎなんじゃないかと後悔した。
そこで弁解に走る!

「で、でもわたし惚れにくい性格でw初恋も元彼でしたし、むしろ元彼以外の人を好きになったことがないんですwww」
首をかしげる糸色くん。いきなり何こいつと思ったに違いない。案の定、「その元彼のことがまだ好きってのが悩み?」と聞かれたw

「違います!!!」
心臓はばくばくだった。ここまで来たらもう後には引き返せなかった。

「わたしの好きな人は元彼なんかじゃなくて、もっとかっこいい人です!オタクだったけど・・・本が好きで優しくて、その人といると、わたしは幸せな気持ちになれるんです!!」

糸色くんの顔色が変わった。



65:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 20:31:51.80 ID:t+J1pOWm0

「だけど…!自信なんてこれっぽっちもないんですよ!!わたしなんていいところないし、かわいくないし、コミュ障だし、やきもち妬くし、わたしといたらその好きな人は不幸になるかも…。」

それは確かにわたしの本音だったんだけど、糸色くんは静かに聞いてきた。
「なんで?なんでそう思うの?もしかして、遠距離とか?」

「いえ目の前にいます。」

わたしってば積極的wwwwwはい涙目です。糸色くん顔が真っ赤になりました。
「ごめんなさい…。」どうしていいかわからずに謝ると、こう言われたww

「俺もまといちゃん好きよ?」

きたーーーーーー。



70:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 21:07:02.80 ID:t+J1pOWm0

ほんと、笑い転げそうなくらいに展開が少女漫画だった。ホームだから、10分置きくらいに電車がやってきて人が乗り降りしてまた去っていく。
糸色君、赤い顔のまま辺りをキョロキョロ見渡して挙動不審だったwwww
人がいなくなった瞬間を見計らってわたしの隣に移動してくるんだけど、電車がやってきたらすぐに元の場所に戻るw
そんなのを何度か繰り返した。



71:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 21:11:32.04 ID:t+J1pOWm0

何度目かの隣に座った時、ついに糸色くんの腕がわたしの背中に回されたんだ。
少しだけ抱き寄せられて、身を任せていたら、急に立ち上がって遠くへ走ったwww
「抵抗してくれよ!!!!」糸色くん汗が激しいwwwもう、初々しくて新鮮で、最高だった!



73:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 21:29:42.08 ID:t+J1pOWm0

それから糸色くんは「送るよ」って言ってくれて、改札を二人で出た。
彼女にしてくれるんですか?って聞いてみたら、うんってうなずいてくれたw
並んで歩きながらドキドキしてたら、糸色くんの手がわたしの手にあたった。
すばやく指を絡められて、こいびとつなぎにwww糸色くんを見ると、もう片方の手で自分の顔を抑えてて耳まで真っ赤で、わたしは可愛すぎやばいいいいwwwってなったw



75:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 21:43:17.14 ID:t+J1pOWm0

付き合い始めってこんなに初々しいもんだったっけなあ、と考えるくらいの余裕はあった。
しばらく歩いて、もうそろそろわたしの家ってときに糸色くんが立ち止った。
どうしたのかなと思ってたら、正面に立たれて、抱きしめられたwww
ほんの一瞬で離されたけど。でもすぐにまた抱きしめられて、今度はしっかりと、糸色くんの体温を感じることができた。

しあわせだったwwそして気づいた、なんか当たってるwww
糸色くんも糸色くんで思うことがあったらしく、「まといって意外と胸あるんだな…。」とつぶやかれたw
それはブラのパッドです!とは言えないwww

「糸色くん、好き!」
不思議なことに、こういうときって素直に言葉が出ちゃうんだよね。糸色くんも同じだったみたいで、
「やばい…会ったばかりなのに、すげー愛しい…。」
抱き合ったまま、そう言ってくれた。あの言葉を、もう一度聞きたかったなあ。



77:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 22:01:16.03 ID:t+J1pOWm0

翌日、仕事が終わって糸色くんと会った。
自転車の後ろに乗せてもらった。男の子に乗せてもらうのは、初めてだった。
自転車ふたりのり、ずっと憧れていたことでもあった。どこを持ったらいいのかわからなくて、遠慮がちに服をつかんだ。
すると糸色くんは後ろ手に、わたしの手をとって自分の腰にまわしたw
どきっとした。いいの?と思いつつしがみついたら、糸色くん「おれこんなに幸せでいいのかなあ」と言った。
うれしい、それだけじゃとてもじゃないけど言いあらわすことのできない感情を覚えたよ。本当に幸せだった。世界一の幸せ者だったと心から言える。

そのまま家におくってもらった。
その前にコンビニの裏で少し話をしたんだけど、「俺のフェチ知りたい?」と、糸色くん切り出したwww
「教えて!って言ったら「二の腕。」ってwww
うわあと思った。予想外だった。なんだか恥ずかしくなって照れてたら、糸色くんの手が二の腕に伸びてきてw
んで抱きしめられて家に帰ることを促された。「そんじゃまた明日ね。」笑って手を振る糸色くん。

「ちゅーする?」

わたし言ってみたwwえっ!!!って、すごくいい反応で驚いてくれたよw嘘だよって言って、バイバイしたけど。



79:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 22:07:56.13 ID:t+J1pOWm0

でも幸せはすぐに逃げちゃうね。

その夜、布団にもぐって友達のブログを見ていたんだ。そこにわたしあてのメッセージが書かれてて、彼氏おめでとう。いちゃいちゃうらやましいわ――。みたいな内容だった。
テンション高くなってたわたしは、すぐにコメント入れたよ。そのコメントについては、バカなことを書いてしまったといつまでも後悔し続けることになる。
――どこまで進んだらいいかわからない。ちゅーはいつしたらいいかな?えっちはいつになったら?――
ほくほくした気分で携帯を閉じた。
睡魔がやってきた次の瞬間、部屋のドアが開けられた。
「なんかおかあさんに隠してることない?」母親だったwww

すぐに直感したよ。ブログを見られた。でもなんで?なんでわたしのブログ知ってるの?しかもわたしのブログはパス付きだ。
となると友達のブログから気づかれたことになる。心当たりはひとつだけ、さっき入れたコメント・・・。体が硬直して動けなかったwwwwwwww



80:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 22:11:59.36 ID:t+J1pOWm0

母親は落ち着いた口調で聞いてきた。
「いつ彼氏できたわけ?」「・・・昨日。」覚悟をきめた。頭の中は真っ白だった。終わったと思った。
案の定、つぎからつぎへと不愉快な言葉を浴びせられた。「昨日つきあった彼氏と、もうやることばっか考えとん?あんたはいつからそんなあばずれになったん?wwwww」
汚いだとか、くずだとか、耳をふさいでも聞こえてくる怒鳴り声に、ただただ耐えるしかなかったww

「本当に好きで・・・大切にしたくて・・・だから、謝るから、お願いだから、壊さないで・・・。」
たぶん泣きながら謝ったwww部屋のドアがバタンと閉められて、外で母親が妹にヒステリックな声で叫んでいるのが聞こえた。
わたしの悪口をふたりで言っているようだった。ブログはすぐに消し、コメントも消した。その夜は眠れなかった。



81:名も無き被検体774号+:2012/06/06(水) 22:16:27.75 ID:5V8Jsjdh0

母親最低じゃねーか

女だってそういうこと考えるっての
好きな人との愛の育みを否定するなんて
何びとたりとも許されない

そんな俺は彼女いない童貞



82:名も無き被検体774号+:2012/06/06(水) 22:17:08.21 ID:l9B69QTm0

母親クズすぎワロタwww



83:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 22:19:00.74 ID:t+J1pOWm0

朝が来て職場に逃げた。
糸色くんの姿を見て泣きそうになった。心底あんなコメントをしてしまった自分を恨んだ。

夜になって、職場の外で糸色くんが出てくるのを待ってた。実は朝、荷物をまとめて出てきていた。
とてもじゃないけど家に帰る勇気なんてなかったwww
「おつかれ。」糸色くんが出てきて、即座に言った。「今夜泊めて。」正直、断られるだろうと思ってた。まだ付き合って4日目だしww
警戒されるに決まってる。場合によっては軽い女だと思われて、嫌われるかもしれない。

糸色くんの返事は――。
「いいと。」「えっ?」拍子抜けしているわたしを、糸色くんは自転車の後ろに乗せて自分の家方向に走り出したwwwww
「な、なんで?」自分が頼んだくせに聞いてしまう。それくらい、糸色くんの行動は驚くものだった。
「断る理由がねえ。」このセリフも。頭がショートしそうだった。何が何だかわからなかった。

けれども糸色くんの部屋に入って、やっと理解した。聞かれたからw
「で、何があった?」
とりあえず話を聞いてやろう、そう思ってくれていたんだということに気づいた。でも話しづらいことこの上なかったww
ためらったけど、黙っていてもしょうがないと思ってすべてを話すことにした。
糸色くんは静かに聞いてくれてた。
正直なところ、親が厳しいことを知られるのが一番嫌だった。
普通のおとこのこなら、面倒事に巻き込まれたくなくて離れていくだろう。わたしとしてもまきこませたくなんてなかった。

糸色くんはどうしたか。カフカ先輩を呼んだwwww



88:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 22:35:42.69 ID:t+J1pOWm0

それでカフカ先輩も来てくれて、簡単に話を聞いてもらったwww
糸色くん。「で、どうしたらいいと思います?このまま泊まらせたら、事態悪化ですよね?」
カフカ先輩。「そりゃそうだよwwwww一緒に帰ろう!!ね、まとい!わたしたちがついてるから大丈夫!!」

半泣きだったwwいい先輩に恵まれてわたし幸せ者w
ってなわけで、三人でわたしの家に向かった。雨がぱらついていた。
駐車場に親の車はなく、家も留守だった。
中に入るのはやめて玄関の前で親の帰りを待つことにしたのだけど、雨がひどくなってきたので先輩には帰ってもらった。
糸色君くんとふたりになった。

一瞬沈黙が流れたあと、糸色くんはわたしに声をかけた。わたしは糸色くんをを見ようと顔をあげた。
唇が触れていたwwwww彼とのはじめてのキスは雨降る夜になったw
あ、と思った時にはもう唇は触れてなかった。ただうつろな目の糸色くんの顔がすぐ近くにあったw
「もう一回・・・。」返事をするまえに再び柔らかい感触が唇におりちゃったwww
溶けてしまいそうだった。何度も繰り返した。抱きしめられて、舌が入ってきたwwwそのときの感覚は今でもしっかり思い出せる。

糸色くんの舌はつめたかった。「受け入れてくれた・・・」糸色くんがぼやく。
今度はわたしがねだった。「もっとして。」生まれてきてよかったwwwwwww



89:名も無き被検体774号+:2012/06/06(水) 22:37:18.45 ID:uK7XsH1Z0

ここから悲しくなるのか?(´Д` )



90:名も無き被検体774号+:2012/06/06(水) 22:39:31.84 ID:23TIZEan0

今めっちゃ、キュンキュン状態



92:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 22:42:56.84 ID:t+J1pOWm0

けど、いつ親が帰ってくるのか見当もつかなかったので、糸色くんにも帰ってもらった。
わたしは一人、シャワーを浴びて寝る準備をした。鍵の回る音がして親と妹が帰ってきた。心臓が飛び跳ねた。
大丈夫だと言い聞かせて、親の前に出た。「話がしたい。」震えながら言ったwwww
糸色くんとした、ちゃんと親と向き合うという約束をやぶるわけにはいかなかったw

親も昨日より落ち着いていて、少し冷静に話をすることができた――と、思ったのだけれど、案の定すぐに怒鳴り声に変わった。
この淫乱女、・・・と。よくも娘にそんな言葉が吐けるなあと思うwwwwセクロスでもなんでもすればいいじゃねえかと言われた。
生きた心地がしなかった。親という存在は大きい。その親とここまでもの溝ができてしまい、それだけにとどまらず数々の罵声を浴びせられる。
謝るしかできなかった。そんなことを書いてしまってごめんなさいと、うかれて調子に乗ってしまっただけだと必死で謝った。
けれどそんなことでちゃらにしてくれる親じゃない。一番恐れていたことを言われた。
「別れろ。」それだけは受け入れられなかったwwww

幸せを奪われると思った。
怒りの矛先は妹に向けた。なんせ、妹があのブログを見ていたらしく、母親にばらした張本人だからだw
「あんたのせいでこうなった!」激しい言い争いをしたww
妹はつめたい目で、わたしに「死ね」とwwwわたしのこのときの精神状態は、とても言葉にはできないw
気が狂ったかのように携帯だけ持って家を飛び出した。
それ以外、この呪縛から逃れる方法が思いつかなかったんだ…。



95:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 22:51:30.19 ID:t+J1pOWm0

深夜0時を過ぎていた。
泣きながら糸色くんに電話をしてしまったwwww糸色くんは酷く心配した声で、待ってろすぐに行くから!と言ってくれた。
二十歳なのに情けないwww
かけつけてくれた糸色くんの姿を目にした瞬間、会えてよかったと安堵の気持ちでいっぱいになったw
わたしの居場所をくれる人。ここにいていいんだよと言ってくれる人。やさしい手で撫でてくれる人。糸色くんのこぐ自転車の乗り心地は、とてもよかった。

でも、わたしの心情はぐちゃぐちゃだった。
何があったかを糸色くんに説明する中で、言ってはならないことも口にした。
「消えたい。」
糸色くんは、自転車をゆっくりとこぎながら、後ろにいるわたしにこのセリフを言った。
「世の中に不満があるなら自分を変えろ。それが嫌なら耳と目を閉じ、口をつぐんで孤独に暮らせ。」そして続けた。
「本当はこのことは・・・もっと日が経過してから言おうと思ってたんやけど。」嫌な予感がした。
「おれの親友は少し前に――・・・。」「言わなくていい!」
糸色くんの言葉をさえぎった。「ごめん、もう消えたいなんて言わないから。」つらかった。



96:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 22:57:11.11 ID:cWxgo2v/0

糸色くんの部屋にあがった。とりあえず今日は泊まれと言ってくれた。
ベッドの中で抱きしめられて、頭を撫でられて、幸せを感じた。嫌なことは忘れてしまいたかった。
キスした。もう止まらなかった。体をさわられた。「ごめん。」と糸色くんは言った。
「いいよ。」と返したら、上の服を脱がされて、おぱーい舐められたwww普通の男の子だなあと愛しい気持ちでいっぱいになった。

「わたしもしてあげる。」糸色くんの上にのった。反応はとてもよかった。独占欲が満たされた。
ズボンに手をかけて脱がせた。糸色くんはびっくりしていたけれど、構わずにつづけた。夢中だったwww

そして糸色くんが衝撃的な告白をしてくれた。
こういうことをするのは、初めてだというのだ。一瞬意味がわからなかった。
それだけでなく、ファーストキスの相手もわたしだという。意味がわかったとき、飛び上がったwwwwwwwwwww



101:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 23:06:56.37 ID:cWxgo2v/0

その夜はそこまででやめた。
なぜならわたしがお月様だったからwwwwww
そうじゃなかったら、あの日が糸色くんの童貞卒業式になっていたのかも。

「実は、夢がある。」服を着て、落ち着きを取り戻したころ、糸色くんが言いづらそうに切り出した。
「自衛隊を目指してる。」心臓がはねた。
当時のわたしにとっての自衛隊のイメージは、危険の二文字でしか無かった。

そんなわたしの動揺を知ってか知らずか、糸色くんは淡々と続ける。「試験も受けて、ひとつは落ちてしまった。けど、つい今日もうひとつの結果が届いて、採用とのことだ。」喉がカラカラになった。
「3年ほど・・・。会えなくなるかもしれない――。待っててくれる?」
頭の中が真っ白になった。正直な気持ちが口から出た。
「わからない・・・。」「そりゃそうだ・・・。」「なんで言ってくれなかったの?」「受かるはずないと思っていた。そしたら通知が届いた・・・おれだって、せっかく彼女ができたのに、なんで?タイミング悪いって思ったよ。」
「・・・・・・それなら行かないでよ。」胸が締め付けられた。
きっとこのときに恋とは違う感情が生まれた。

愛してる、そう言いたかった。まだ付き合って日も浅かったかもしれない、それでも、あれは確かにもっと深いものだったと思う。



103:名も無き被検体774号+:2012/06/06(水) 23:08:52.41 ID:uhTiN1lG0

うむ
切ない



104:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 23:14:07.87 ID:cWxgo2v/0

いつもと変わらない朝がきた。
ただひとつ違うのは、糸色くんがそばにいるということ。彼の服を借りてそれぞれ出勤した。
考えることが多すぎだった。仕事中、わたしはずっと自衛隊のことが頭から離れなかった。自分が家に帰れるかどうかは二の次だった。
その日は昼に仕事が終わって、糸色くんのことを休憩室で待っていた。
メールで相談して、わたしはひとまず電車で自宅の最寄り駅まで帰ることにした。

しばらくしてその最寄駅まで自転車で来てくれた糸色くん。
とぼとぼとわたしの家に向かう。不安は増す一方だった。彼にこんなに負担をかけていいのか。申し訳ない気持ちであふれた。
傷をつけたくなかった。怖かった・・・・・・。
わたしの家のドアの前に立つと、中から、母親と妹の楽しげに笑う声がした。いたたまれなくなって、近くの公園に場所を変えた。
糸色くんがわたしの携帯を使い母親に電話をかけてくれる。――出ない。
留守電に声を残してくれた。何度かかけつづけてくれた。一向に出ない。日が暮れてきた。家の前に戻ると、車は消えていた。

わたしは中に入って、荷物をまとめて外に出た。
糸色くんは自転車、わたしは電車で再び糸色くんの部屋に戻った。



105:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 23:25:48.01 ID:cWxgo2v/0

カフカ先輩がちょうど仕事を終え、会うことになった。
三人で近くのバーに入った。わたしはカクテルを出してもらった。不安はどこかへ消えていた。楽しくて仕方がなかった。
糸色くんは友達との約束があるとのことで、途中で抜けてしまった。
わたしは調子に乗ってはしゃいだ。糸色くんの話題ばかりをカフカ先輩やバーテンダーにふった。

そうしていたら着信が入って、母親からだった。
「ごめん、きづかなくて・・・今携帯見たんよ。どこにおるん?」声がやさしかった。
正直ほっとした。「カフカ先輩といる。今夜は泊めてもらうから、明日帰る。充電が残り少ないから、またあとでかけなおすね。」そう言って切った。

まだ帰りたくなんてなかった。
糸色くんが戻ってきた。シャンディガフというお酒を飲む糸色くんの姿が、とてもかっこよく思えた。
そして糸色くんはバーテンダーにあの話を始めた。
自衛隊の話。え?と思った。横を見る。カフカ先輩はまったく驚いていない。どうやらもうすでに知っているようだった。
ショックだった。わたしにとってはすごく大切な話で、糸色くんもわたしにだから話してくれたのだと思っていた。
勘違いだったことを知り胸がざわつく・・・。

思わず、自衛隊になんかなったら別れると言ってしまったwwww
嫌だと言ってくれると思い込んでた。
糸色くんは「じゃあ仕方ないな、別れるか。」と言った。カフカ先輩やバーテンダーの目の前で。
わたしは半泣きで「そんなんだから童貞なんだよ!!」と叫んだwww
カフカ先輩がビールをこぼしたwwwww

耐えきれなくなってバーを飛び出した。泣きながら走った。糸色くんを危険な目に合わせたくなんかない。
でも気づいていた。わたしたちは、つい数日前までお互いの名前も知らないような赤の他人だった。
わたしに糸色くんの夢の邪魔をする権利なんてあるはずがなかった。
糸色くんは追いかけてきて、道に迷うわたしを「こっち」と誘導しつつ部屋に上がらせた。

荷物をまとめてわたしに出した。
こんなに簡単に別れてしまえるのかと心底悲しく思った。わたしは別れたくなんてなかった。
糸色くんは時間を気にしていて、「また戻って飲むってカフカさんと約束してるんだけど。」と言ったwww



108:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/06(水) 23:48:06.03 ID:cWxgo2v/0

正直、後輩がその彼氏と別れるかもしれないというのに、その彼氏と飲もうとしているなんて――と、カフカ先輩に不信感を抱いてしまった。
やっぱり自分だけがこんなに好きだったのかと、糸色くんの気持ちも疑ってしまった。
カフカ先輩のところになんて行かせたくなかった。
どうしようもできなくなって、糸色くんをベッドに押し倒した。キスして唇をふさいで、「別れたくない。」ってすがった。
糸色くんは不思議そうな顔で、なんで?って聞いてきたw

好きだから、それ以外に理由は必要なのだろうかwww
不安から、必要以上に糸色くんにベタベタしまくった。いつからか糸色くんも盛り上がっていて、そのままいっしょにシャワーを浴びた。
「童貞なめんなよ」と言われた。そういえばさっきバーで・・・。

シャワーから出て、ふたりともすごく疲れていたんだと思う。別れ話はなあなあになって、抱き合って寝た。



109:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 00:03:42.66 ID:cWxgo2v/0

翌朝、糸色くんは仕事が休みだった。わたしはこの日も昼までだった。
仕事後、糸色くんが来てくれて駅で少し話をした。
わたしは一人で家に帰り母親と話をする決心をしたんだww心の中は不安でいっぱいだった。糸色くんに心配をかけたくなくて、無理に笑顔をつくった。
話せばわかる。糸色くんは何度もそう言う。うなずくしかなかった。一番の不安は、糸色くんがいなくなってしまうことだった。

昨日あんなことがあったので、本当は糸色くんは別れたいんじゃないかと思う部分もあった。
そう考えてしまっていることを悟られないように、わたしは明るく振舞って言った。「本当にありがとう!がんばるね!」糸色くんも笑顔だった。
「なんか、変わったね!顔色が全然違う。良くなったよ、お前。」「もちろん!」電車の時間が迫っていた。

別れ際に隠していた気持ちが出た。「相手を不安にさせる恋愛なら、しないほうがいいと思う。」――大丈夫だよ、という言葉が聞きたかった。
糸色くんは「ああ。わかった覚えておく。」そう言った。少しずつ歯車がずれていってたんだな。

一人で家に帰った。母親は冷静だった。口論にもならず、落ち着いて話をすることができた。
時間というのは大切だ。わたしが家出したことで、少なからず母親にも冷静に考えられる時間ができた。いったん離れるというのは間違ってはいない選択だった。
ただ闇雲に言い争いをしても何にもならないことを知った。



110:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 00:04:30.17 ID:cWxgo2v/0

糸色くんとは、門限9時を守るようにと約束させられた。
それを守ることで幸せが続くのならと、わたしは承諾した。糸色くんにメールで報告すると、今後の成長が楽しみだと言われたw
それを素直にうれしく思った。どっかでガス抜きもしろよ、あんまり頑張りすぎると壊れちゃうからねとも言われた。

平和が戻ったと思っていた。相変わらず仕事後に会うという、ささやかなデートを楽しんでた。
付き合って一週間が過ぎた日、はじめて糸色くんの友達に会った。どこが好き?と聞かれて、全部と答えたwww

本当に全部好きだった。友達に紹介してもらえたことは、本当にうれしいことだった。
改めて自分は糸色くんの彼女なのだと思えた。もう少しお店に居たかったのだけど、門限も迫っていたので糸色くんに帰ろうと促された。
「あそこにいたら二人きりになれないしな。」どきっとしたwwwww
「お前と会ってから人間的に素直になれた気がする。」こうも言われて、目がうるんだ。ありがとうと思った。



111:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 00:12:56.43 ID:O+bqQF9c0

次の日は昼から彼とカラオケの約束だった。
午前の仕事中、わたしは浮かれた気分で時計ばかり眺めていた。上がりの時間が近づいたころ、一通のメールが届いた。母からだったwwwww
「今日、迎えに行くからごはん食べに行こう。」胸がざわついた。母がそう言ってくれたことはうれしかった。断れば母がどんな気持ちになるかも容易く予想できた。
それでもわたしは彼を選んだ。

――カラオケを楽しんでいる間は母のことを忘れていた。
家まで送ってもらう帰り道、満たされた気分で質問をした。「好き?」「好きさ。」物足りなかったw
「愛してる?」聞いてしまった。
「愛とか・・・簡単に口にできるもんじゃないんだよ、ごめん。」しまったと思った。
盛り上がりすぎていた自分に後悔した。家に帰ったら、母はいなかった。夜遅くなって帰宅してきた。
その夜は顔を合わせずに寝た。



112:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 00:28:25.24 ID:O+bqQF9c0

もう誰もみてないか、な?

次の日の昼、話し合いになった。
激しかった。話にならず、顔も見たくなくなって部屋に閉じこもった。糸色くんとメールでやりとりして、言わないと決めた言葉、また口にしてしまった。
「消えたい。」糸色くんはいったいどんな気持ちだったのか。
「あなたはあなた自身のことが好きですか?」そう打たれたメールを目にしたとき、頭がくらくらした。わからない。

その後、なんとか糸色くんとのメールで落ち着きを取り戻して、再度母親に話しかけた。
時間があいて普通に話ができるようになってた。笑い声も部屋に響いた。糸色くんの言葉がわたしと母親を変えてくれた。
「お願いだからもうあんなこと言わないでくれ。たった一人の母親だろ。」
糸色くんはわたしより三個年上なだけなのに、大人だと思った。



116:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 00:39:08.15 ID:O+bqQF9c0

ファミレスにわたしと糸色くんと母はいた。
わたしが二人に会ってほしいと言ったんだ。きっと糸色くんを知ったら、母は安心してくれると思ったからだ。
この時のわたしは、糸色くんの気持ちを考えていなかった。糸色くんにとっては、面倒事に巻き込まれている以外のなんでもない、ということに気がつけなかった。
いや、気がついてはいたけれどわたしはその気持ちを無視した。感情は隠しきれない。二人を合わせたことは失敗だった。

糸色くんと別れてから、母の機嫌は悪かった。
「やっぱり仲良くできんわ。」そんなこと言わないでと思った。人と付き合うのに、親の気持ちまで考えないとならないのか?すごくもやもやした。

深夜0時ちょうどに、糸色くんがメールをくれた。「誕生日おめでとう。良い一年であれ。強く生きろ。」覚えてくれていたんだと、少し気持ちが晴れた。
わたしの21歳の誕生日だった。

朝が来て、昼が過ぎて、仕事を終えて糸色くんの部屋に遊びに行った。
たまごを乗せたカレーライスを作って出してくれた。うれしくて泣きそうになった。ちょっぴり辛くて泣きそうになったwwww
「今日は何でも言うこときいてやるよ。」糸色くんは言ってくれた。

おもいっきり甘えたかった。けど、恥ずかしさが勝って控えめな注文をしたwwww
気が付けば門限をかなり過ぎてしまっていた。わたしの言い訳は、「誕生日くらいいいじゃん。」
人は簡単には変われない生き物だと、身をもって知る。まだ帰りたくなかったから、いっしょにいたいから、欲求に忠実に従えば、どうなるかぐらいわかっていたのに・・・・・・・。

――わたしはまた家出した。涙で顔はぐちゃぐちゃだった。
自業自得なんだけどwww



122:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 00:54:14.22 ID:O+bqQF9c0

早朝。糸色くんの部屋に押し掛けた。
何も話さないまま、ベッドにもぐりこんだ。何を言えばいいのか、わたしにはわからなかった。
糸色くんも無言で抱き着いてくる。やけに密着して離れない。心臓の音がうるさいくらいに響いてたwwwww

朝だから普通に部屋は明るくて、糸色くんの顔もよく見えた!
まつげ長いなあ・・・とか思っていると、糸色くん体を起こしてわたしを組み敷いたwww見下ろされる体制になって、目が合うと半端ないくらい鼓動が早くなったwww



123:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 01:05:26.85 ID:O+bqQF9c0

糸色くんキスしてきて、わたしはなんかされるがままだったwww上の服まくられて、すこしくすぐったいwww
「どしたん?なんかおとなしいね。」そう言われたwww緊張で声なんか出ねえっつのwwwww
そして、糸色くんの手が下に移動wwww
焦らしも何もなく直行でぱんつの中に入れやがったwwwwwwwwwwww
糸色くん一言!「ロリなのに盛りまんじゃない!!!」
おwwwwまwwwwwwwwえwwwwwwww



125:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 01:16:52.26 ID:O+bqQF9c0

そしてまあここらへんは省略して、わたしのターンにします。
糸色くんはとっても感度が良いwwww耳舐めながら「先輩!すごい固くなってますよ、どして?」ってアレ触ると反応が半端ないwwwwww
若干引くレベルwww
糸色くんのアレはでかいwww経験の少ないわたしが見ても、見るからにでかいとわかるwwwこれ入れると痛そうだ・・・と、冷静に考えてしまったww

そんで気づいた。
「あっ…ゴム無いよね、どーすんの!」
でも心配はいらなかったww引き出しからゴム出してきて、「こんあこともあろうかと用意はしてた!」と見せてきたw

童貞だから付け方わからないんじゃないかと思ってたら、あっさりつけてたw
いよいよか!!と緊張もMAXにwwww

糸色くん、遠慮なしにわたしの両足持って左右に開いたwwwwwwww



126:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 01:28:12.87 ID:O+bqQF9c0

でもやはり童貞、どこに入れたらいいのかわからないらしく的外れな場所にゴリ押しwwwwww
「もうちょっと上!!」ちょっと笑いをこらえながら指示したwwおとなしく従う糸色くんwww
次の瞬間、激痛がwww場所は確かにあっているのだけれど、やっぱりこのサイズ入りませんwwww
「痛い痛い!」と我慢できずに叫んだら、「え?え?」と焦りだした糸色くん・・・・・。

やばいこのままじゃ、できない!と思ってわたしは覚悟を決めた…。
「いや痛くない!!さあこい!!だいじょうぶwwwwwさあwwwwwww」
糸色くん、思い切り腰を沈めてきたw
入ったーーーーーーーーーーーーーーー(゜Д')wwwwww

なんとも言えない衝撃に耐えているわたしをどう思ったのかは知らないが、とりあえず糸色くんはぎこちなく腰を動かしていた…。
しかもAVみたいに体を起こしたまま振っているので、愛が感じられないwwwwww



128:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 01:35:27.41 ID:O+bqQF9c0

仕方ないので聞いてみた。
「kkkっか感想は?」「なかなか良い具合ですなあ…。」
そんで糸色くん、高度なテクを使ってきたwww
つながったままわたしの体を反転させてきやがったwwwそうです、ばっくーですw
「おらおら!」とか言いながら突いてきたww痛くて死ぬかと思ったww
ところで愛が感じられないww



131:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 01:44:03.35 ID:O+bqQF9c0

「経験者だろ!?俺にもなんか教えてくださいよーw」
と敬語で言われたww
仕方ないから体制を変えて、きじょーいの形を取ってみた。だけどわたしは自信がなかったwww
なんとか一生懸命していたら、物足りないのかすぐにバックに戻されたwww
そこで朝起きる用のアラームが鳴ったwwwwwwwww

結果。糸色くんは不発で終わりました。
童貞って入れたらすぐいっちゃうんじゃなかったの?wwwwwわたしが悪いの?wwwwwww



133:名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 01:53:21.39 ID:HDcUKvXV0

わかるwww
童貞ってAVで見たままやったりするから愛感じられないよねwww

あたしはぎゅってして、て言ったなー
懐かしすwww



136:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 01:56:33.50 ID:O+bqQF9c0

>>133
糸色くんには本当に愛がなかったのですww



134:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 01:54:50.56 ID:O+bqQF9c0

でまあ、これが糸色くんとのはじめてになったわけです。
このあとシャワー浴びて急いで支度して仕事に行きました…。

でも、なんとなく、うすうす気づいてはいたんだよね…。

この恋の結末・・・書きたいところですが、眠い・・・。
ここでやめたら落ちちゃうよねやっぱwwww



135:名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 01:56:11.05 ID:/AdaznTs0

>>134
全然落ちないけどww
丸一日余裕だ

しかも童貞の思い出をみんなが保守がわりに書きそうww



137:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 01:59:13.15 ID:O+bqQF9c0

>>135
本当ですか?もし明日も残ってたら続き投下しに来ます!
気がむいたらまた見てやってくださいww

みなさんおつきあいありがとうでした。寝ます。



140:名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 02:04:08.23 ID:ZVlX8dpU0

あー、童貞の時ね。ホントにね、もうね、あれ、童貞卒業した覚えがないな……



142:名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 02:06:24.74 ID:HDcUKvXV0

>>140
すまんわろたwww



141: 忍法帖【Lv=5,xxxP】 :2012/06/07(木) 02:04:49.57 ID:Ws+xJWeo0

恋は下心
愛は真心
っていうじゃん。
いろいろ話してせクロスも重ねて真心を
2人で育めばいいと思うよ


とマジレス



143:名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 02:16:58.26 ID:/g2FRuN70

俺も童貞卒業の時イケなかったなー



159:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 21:13:40.22 ID:orjUrrI00

みんなー、ほしゅありがとう!
相変わらず遅レスだけど投下するから暇だったらつきあってね!



160:名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 21:16:31.35 ID:CV6y0B2ji

おかえりー



161:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 21:18:17.68 ID:orjUrrI00

で、その日、仕事終わって糸色くんの家に一緒に帰った。
まあわたしがこれからどうするか、って話になるよね。
どうしたら親子関係は修復できるのか?って、糸色くんかなり悩んでいる様子だった。
本当にもうしわけないと思った・・・。



162:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 21:22:59.86 ID:orjUrrI00

でも、わたしは別にいつもいつも家族と仲悪いんじゃなくて、むしろ仲いいほうなんだよ。
母子家庭なんだけど、母と妹と小さな家で特に苦労することも無く暮らしてきた。
母と二人で、毎年バンドのライブを見に遠征したり、妹とは一緒にゲームもやるし買い物も行く。

ただ恋愛が絡むとややこしくなっちゃうんだ・・・。



163:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 21:30:45.88 ID:orjUrrI00

それを糸色くんにも伝えた。静かに聞いてくれてるから、わたしも話しやすくって、どんどん深い話にもなっていった。
それはわたしにとっては、ただの思い出話に過ぎなかったけど。
ある程度しゃべって、ふいに糸色くんを見ると、なんと泣いてたwwwwww



164:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 21:38:20.15 ID:orjUrrI00

わたし「なんで泣いてるの!?」
糸色くん「知らねえよ!勝手に涙が出てくんだよ」

なんとも言えない気持ちになって、おもわず糸色くんを抱きしめたww

「おまえのこと誤解してたかも…。何も考えてない、すぐ行動に出る幼いやつだと思ってた。」
「でも、それは俺の早とちりだったのかなあ…。」
「もっとゆっくり知りたかった、進みたかった…。」

糸色くん一人でしゃべりながら、抱きしめかえしてくれた。
いつのまにか二人そろって泣いてたwwww



165:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 21:51:06.12 ID:orjUrrI00

糸色くん、「こんなに素の自分を見せたの、お前が初めてwww」って言ってくれたw
愛しさが爆発してしまったww
この想いをどうしたらいいかわからなかったwww思いのままにベッドに押し倒したwww

「これなんてエロゲ!?」
糸色くんおっきwwwwwwwwそのままセクロス突入。
朝よりすごい気持ち良くて、きじょーいで夢中になってたら、突然「あっ」って糸色くんが腰を引いた。
抜いたとたん、いってしまった様子www

「なんで外出しなのwwwゴムつけてんのにwwwww」

返事は「ね、念のため…。」

3分くらいだったwwwwwww



167:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 21:59:50.14 ID:orjUrrI00

そんな感じで三日間くらい糸色くんの家に泊まった。
本当は、何度も送ってくれようとしていたんだけど、結局「まあ…今日は遅いし明日でいいか。」って感じで先延ばしになってたwwww

でも、まあそろそろってことで。
糸色くんに連れられて、一緒にわたしの家の前に立った。
夜9時くらいだったと思う。

「ごめんね迷惑かけて。こんなの、おかしいよね。」
そう言ったら、糸色くんは

「就活で何度も面接くぐりぬけてきたんだよ。これくらい、どうってことねえよ。」
って言ってチャイムを押したwwwwww



171:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 22:07:03.35 ID:orjUrrI00

母が出てきて、まずわたしを見た。
それから糸色くんを見て、「はっ!?」って怪訝そうな顔をした。
糸色くん、身を乗り出して叫んだ!

「まといさんをお連れしました!お返しします!」



170:名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 22:05:55.33 ID:TZuqN9bn0

おかえり
待ってたよ

でも自分のペースで書いてね



172:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 22:13:57.71 ID:orjUrrI00

>>170
待っててくれてありがとうです!
お言葉に甘えて、遅いですが少しづつ投下していきますww

つづき。
母は眉間にしわを寄せて、「返すの遅くない?何日経ってると思ってんの?」って糸色くんに言った。
わたしは逃げたかったwwww

でも糸色くんは怯みもせずに続けた。
「おっしゃるとおりです!遅くなりました。いえね、色々考えていたら、整理するのに時間がかかってしまって。本当にすみません。」

「…とりあえず近所迷惑になるから入って!」母の言葉で、わたしと糸色くんは中に上がった。



173:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 22:25:48.95 ID:orjUrrI00

わたしの部屋で3人座って話し合いになった。
ほとんど母と糸色くん二人で話してた。
糸色くんは話上手だったけど、聞き上手でもあったwwww

母の言うことを、おかしいと思ったら「それは違うと思います。」とハッキリ言いつつ、自分はこういう考えであるということも話していた。
最初はキレ気味だった母も、いつからか糸色くんの話をちゃんと聞いてくれるようになっていて。
糸色くんも糸色くんで、母の話を聞いてあげていた。

次第に二人は打ち解けてきたのか、「ああそれわかります!僕もそう思います!」「そうでしょ!!わたしの言うことわかるでしょ!」と、お互いを賛同するような会話が増えていっていたwwww



174:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 22:30:38.73 ID:orjUrrI00

母「この子、嫌なことがあるとすぐ逃げて。家出も過去に何度したことか。」

糸色くん「そうなんですか?!ぼくと付き合う前からあったんですか!?」

母「うん!最初は心配して仕事を抜けて探したこともあったけど、何度も繰り返されたらまたかwwwってなるわ!」

糸色くん「はああー。そりゃそうなりますよね。いやあ、びっくりだな。」

わたしにとって分の悪い展開になってしまったwww



175:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 22:38:12.70 ID:orjUrrI00

でも、話し合いは母のこの言葉で丸く終わった。

「まあ、こんな子だけど、あなたのことすごく好きみたいなのはわかったから…。疲れることもあると思うけど、よろしく頼んでいい?」

母wwwww
糸色くんは、「はい、わかりました。遅くにすみませんでした、ありがとうございました。」そう言ってお辞儀して、立ち上がった。
わたしは玄関の外に見送りに出た。

「ぎゅってして。」
なんとなく、口からそんな言葉が出た。
でも糸色くんは、軽くわたしの頭をポンポンだけして、じゃあなって背中を向けて帰って行った。

なんだか、もう会えないような、そんな気がした。



177:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 22:46:47.57 ID:orjUrrI00

次の日、糸色くんから連絡はなかった。
嫌な妄想ばかりをして吐いてしまったwwwwww
夜中、いてもたってもいられなくなってこっちからメールを送ったww

「別れたの?」
返事はすぐに来た。

「こんな後味悪い別れ方するかよ。」
「距離置いたほうがいいと思った。」
「少し時間がほしい、昨日は情報が多すぎた。」

糸色くんの心を無視していた、わたしの当然の報いだった…。
糸色くんはもういっぱいいっぱいだったのだと思う。
それでもまだ、わたしは自分を優先した。

時間がほしいという糸色くんに対して、そんなの耐えられないから別れるならはっきり決断して。と・・・wwwww



176:名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 22:40:27.57 ID:U0TevlHk0

見てるからね



179:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 22:51:15.58 ID:orjUrrI00

>>176
ありがとうございます!

そして糸色くんは直接、わたしに会いに来た。
別れを言いに来たのだと確信した。
「けじめをつけるため。」糸色くんはそう言った。「別れよう。」と。

胸がえぐられるような感覚って、こんなことを言うんだと思ったwwwwww
泣くことしかできなかったwww
大切にすると誓ったのに、わたしはいつしか糸色くんを苦しめる存在になっていたということ。

「強く生きてくれ。」糸色くんは言った。
力のこもっていない目だった。
「やっぱりあのとき抱きしめておけばよかった。」
そんなことも言ってた。

とても苦しかった。糸色くんまで泣き出した。
「おれのことをこんなに愛してくれる子は、もういないかもしれん・・・。」

糸色くんと会って人を好きになることの喜びを知った。幸せを知った。悲しみを知った。ただ糸色くんのことだけを見ていたかった。



180:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 22:57:50.12 ID:orjUrrI00

――朝を迎えた。
二人はまだ別れていなかった。母の力だったwwwww

あのあと泣きながらお別れしたはずなんだけど、号泣しながら家を出て行った糸色くんを、母が追いかけて捕まえていたwwww
「あなたがいなくなったらまといは本当に居場所がなくなってしまう!!」
そう言ってたらしいwww

糸色君は、「僕がいるから彼女が弱くなってしまうんじゃないかと思うんです。」って言ったらしいww

それに対して母が「そんなことない!泣くほど好きなら、別れる必要なんてない!!」とか言ってくれたらしいwwww

糸色くんはわたしに
「もう少しまといの答えを見ていきたいというのが素直な気持ち。」とメールをくれた。

今にも消えてしまいそうな頼りない文面だった。



181:名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 22:58:05.46 ID:U0TevlHk0

いや無理考えただけで涙出るわ



182:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 23:03:42.46 ID:orjUrrI00

それから二日後くらいのこと。

ショッピングモールでデートをしたその夜、わたしは再び絶望を味わったwwwwwww
人身事故による電車の遅滞。門限に遅れたwwwwwww
信用の無いわたしは、また約束を破ったと母と妹に責め立てられた。居場所なんてどこにもなかった。

それでももう家出をしないという、糸色くんとした約束だけは守りたかった。
部屋に逃げこむと妹が追いかけてきて、わたしを隠す布団をはぎ取るwwwwwwww

壊れそうだった。ベランダから飛び降りてしまいたかったよwwwwwwww
なんで電車なんかに飛び込んだんだよwwwwwwだれだよ死んだのwwwwwww

とうとう過呼吸になってしまった。

妹は後ずさりして、「頭おかしいんじゃね。」と母のもとへ戻った。
震える指先で携帯をさわったw糸色くんに電話をかけたんだ…。
けど、声を聞いても冷静さは取り戻せなかった。電話を切るとメールが届いた。

「いいかもう割り切れ、自分が正しいと思うならそれでいいがな。味方はいない?自分の最大の味方は自分ぞ。障害は乗り越えていくしかないんぞ。」

息苦しかった



183:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 23:06:28.04 ID:orjUrrI00

背中をさすってくれる手はもう、どこにもなかった。

 「別れよう。」

人身事故の次の日の夜だった。
それは電話で告げられた。神様なんていないと思った。



185:名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 23:09:49.69 ID:ixk/fDg10

みんなおかしい



186:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 23:12:37.26 ID:orjUrrI00

会いたいと言って糸色くんと会った。
別れた次の日だった。まだ考えなおしてくれるんじゃないか、そんな思いがどこかにあった。
糸色くんの最寄駅。馴染みの深い場所。

コピーバンドがね、ゆずの夏色を歌ってたwwwwww

この長い長い下り坂を 君を自転車の後ろに乗せて ブレーキいっぱいにぎりしめて ゆっくりゆっくり下ってく ゆっくりゆっくり下ってく

自分と糸色くんに重ね合わせちゃって顔はもうぐちゃぐちゃだったwwww
後悔してもどうにもならなかったww

大好きで大好きで大好きで大切だった。幸せだった。たまらなかった。そばにいてほしかった。一人にしないでほしかった。

そんな思いは結局、届くことなど無かったwwwwww



187:名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 23:15:35.51 ID:VAJyvB/R0

切ねえ…



184:名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 23:07:15.55 ID:dEpyVvLr0

過呼吸は手を貸してあげないといけないくらいヤバいものもあるっていうのに…
いくつだか知らないけど、頭おかしいのは妹も同様じゃないか



188:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 23:17:19.11 ID:orjUrrI00

>>184
妹は2個下です。昔から喧嘩の絶えない姉妹ではありましたwww

若干、メンヘラっぽくてなんだか書き込みしづらいけど、一応自分の中で省けないことなので書きます。
負の単語を検索していて、見つけたページがある。
人は生きているんじゃない、生かされているのだということ。
心臓は無意識に動いて、24時間休むことなく血液を体内に送り続けている。
心が消えたいと嘆いたって、体は生きたいと訴えている。
どんなに悲しいことがあっても、おなかは減って喉が渇く。生存本能に逆らうことは、とても難しい・・・。

皮肉だなあと思った。必死に生きようとしているこの体を、殺すことなんてできないと思った。

もう数日間、家族と口をきいていない日が続いていた。模索していた。

逃げる以外に、何か方法がないかと。
生きていたかったんだよwwwwwwwww



189:名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 23:20:13.39 ID:bKaeQoVII

質問いい?
糸色くんのどこに惚れたの?
絶望先生に似てるみたいだし、少なくともイケメンでは無いと思うんだが



193:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 23:26:18.27 ID:orjUrrI00

>>189
一般的にはイケメンではないかもしれないけど、わたしの好みドストライクでしたwwww
最初はノリもありましたが、恋って理屈じゃないじゃないですかww
照れ屋なとこや笑い方、共通の趣味、考え方、大人びた口調、たまに見せる甘えたしぐさ、変態なところや脇フェチなとこ、惚れる要素なら山ほどありましたwwww



190:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 23:22:31.75 ID:orjUrrI00

荷物をまとめて母にメールを送った。
「自立する。しばらく友達のところへ身を寄せる。今までありがとう、お世話になりました。」

友達はもう下まで迎えに来てくれていた。揺るがない決断だった。
縁が切れるかもしれないということは覚悟の上だった。
靴をはいた。
「ちょっと待ちねーや。」母が追いかけてきた。

「あんたの日記見た。この淫乱娘。」

そう、あのブログをやめてから、ノートを買って、手書きで日記をつけてたんだwww
ここに書いてるのと同じくらい事細かくwwww
もちろん糸色くんとのセクロスも記録してあるwwwwww

それを見られただとwwwww
そういえば最後に日記つけた日、机の上におきっぱにしていたようなwwwwww



192:名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 23:24:49.67 ID:68S0tDqgO

なんで淫乱淫乱言うんだろ…母親が娘に言うセリフじゃないよなぁ(;_;)



194:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 23:30:26.29 ID:orjUrrI00

でももう何を言われても関係なかった。
「さよなら!」笑顔で飛び出してやったwww

友達の車に乗り込んで、さあ新しい人生のスタートだ、とわくわくした。
糸色くんにも報告した。
そしたら「楽しめ毎日を!頑張れとは言わん。そんなんはあとからついてくる。筋道立てろ!背筋を伸ばして真っすぐ歩いていけ。」って返事くれたww

うれしかった。自分の行動を応援してもらえるという、心強さ。
恋人ではなくなってしまったけれど、心の支えには変わりなかった。今ならなんだってできる気がした。



195:名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 23:35:42.72 ID:zvOJwtbP0

付き合うことになったのって何日前だったけ?



197:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 23:38:06.14 ID:orjUrrI00

>>195
三週間前ですwww急展開すぎてそりゃ糸色くんも病んじゃいますって。
後悔はしている・・・。



196:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/07(木) 23:36:31.43 ID:orjUrrI00

…と、ここまでがみんなに聞いてほしかったことの半分くらいです。
結局、糸色くんとは三週間のお付き合いでした。
わたしのまえに糸色くん、一か月付き合った彼女がいると言っていましたが、実は一週間で振られていたそうですwww
手もつなぐことなく。

あと半分、まあ、あることが起きたからスレ立てたんだけどね、それをよかったら聞いてほしいです。
とりあえず今日は寝ますwwww



205:名も無き被検体774号+:2012/06/08(金) 02:34:20.66 ID:i2zxA2Qj0

なんか1が「悲劇のヒロイン」みたいに全てを正当化してるように見えるのは俺だけか?

鍋パで「私がいる」的な発言や、バーで「だからDTなんだ」や、なし崩しでセクロスもだし、親に心配かけてんのに「親と妹がファビョってる」みたいな表現もおかしいと思う

糸色くんと親が話すとちゃんと会話になってるじゃん
周りがおかしいんじゃなく、1がメンヘラなんじゃね?


基本的に自業自得にしか見えない
自分の行い見直せよ



211:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 07:20:00.98 ID:7KzfIPhQ0

>>205
正当化してるつもりはないけど>>205の言うとーりだよwwww
ってか糸色くんが書き込んだのかと思ったwwwwww
あのときはごめん、でもこのあと更にヒートアップしてごめんwwwww



206:名も無き被検体774号+:2012/06/08(金) 04:21:26.88 ID:PVfzu/ZBi

糸色自分の事しか考えられない発情女が周りを振り回してるだけだな



211:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 07:20:00.98 ID:7KzfIPhQ0

>>206
スレタイ、メンヘラ女が発情した自業自得話、にすればよかったかなwwwww
このあと、もっと糸色くんを追い込んでいく話になるんだけど、書きづらいなwwwww



212:名も無き被検体774号+:2012/06/08(金) 07:30:55.25 ID:n36ppKIR0

半年まえだったか

ま、続きをゆっくりたのむわ



213:名も無き被検体774号+:2012/06/08(金) 08:45:32.57 ID:rY87B52n0

思ったことをすぐ言ったり行動したりするのは悪いことではないがダメなときもある
テンション高くなってると言動に出ちゃうこともわかる
でも、そろそろ学ばないと



214:名も無き被検体774号+:2012/06/08(金) 09:58:00.95 ID:PVfzu/ZBi

いい話かと思ってたらそうでもなかったでござる



217:名も無き被検体774号+:2012/06/08(金) 12:53:36.65 ID:sjABZ6GyP

絶望した!

父親はどーしたんだろう?



218:実家からまとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 16:29:29.09 ID:J84GzbWK0

つづき

そんな感じで、実家から車で1時間ほどの場所にある、高校のころからの親友の一人で暮らすマンションに泊めてもらうことになった。
霧ちゃんと呼ぼう。
しばらく泊めてほしいと言ったら、一つ返事でOKをくれた。
霧ちゃんのマンションに荷物を運んで、一緒にDVDを見ながら今までのことを話していた。

そうしていたら霧ちゃんのケータイが鳴って、友達からの呼び出しらしくわたしを置いて出かけてしまった。
仕方ないので一人で音楽を聴いた。
糸色くんがくれたCD。ミスチルの「シフクノオト」だ。
なかでもわたしは掌が好きだった。



220:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 16:39:28.03 ID:J84GzbWK0

糸色くんがこの歌を、よく「おまえとおれみたいだ」と言っていた。
聴いているうちに、わたしは糸色くんに会いたくなってきてしまった…。

家を出ると決意して、わたしには考えていることがあった。
糸色くんとの復縁…。
自立して成長することができたら、糸色くんはまた振り向いてくれるんじゃないか、そう思っていた。
だから、今は会うべきではないことくらい、よくわかってたはずだった。



221:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 16:46:38.24 ID:J84GzbWK0

それでも、会いたい気持ちは募って、糸色くんに電話をかけてしまったw

「会いに行ってもいい?話したいことがたくさんある。」

糸色くんは困ったように渋りながらも、最終的には「わかった」と言ってくれた。
わたしは電車に乗り込んで、糸色くんの家に向かった。
正面から歩いてくる糸色くんを目にしたとき、最初に感じたのは気まずさだったww



223:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 16:53:11.49 ID:J84GzbWK0

あたりはすっかり真っ暗で、誰もいなくなった商店街を並んで歩きながら話した。

糸色くん「まあ、家を出たのは正しかったと思うよ。ルームシェアできる友人がいることも含め、その行動力に素直に尊敬できる。」

わたし「なるべく早く、物件見つけられるようにがんばるけどね。」

糸色くん「まあ無理せんように。相談くらいなら、のってやるから。連絡くれるのも構わないし。俺が嫌なのは、依存しきった関係だからね。」



224:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 16:59:01.24 ID:J84GzbWK0

公園を見つけて、ベンチに座った。
なんだかこうして糸色くんといられることが、不思議に思った。
そこでわたしは聞いてみた…。

わたし「あのさ、いつかわたしが成長できたら、また付き合ってもらえるかな。」

糸色くん「え、無理。」

wwwwwwwww



225:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 17:06:42.80 ID:J84GzbWK0

糸色くん「仮におまえが俺の理想になれたとしても、二度と付き合うことはありません。」

…まあ悲しいけどwwそう言われるであろうことも予想してたので、そこまでへこみはしなかった。
でも気になってしまって、疑問をぶつけた…。

わたし「それって、わたしの親が厳しいことも関係してる?」

糸色くん、びっくりした顔でこっちを見た。
すぐに悲しそうな顔になって、無言でわたしの頭を撫でた。
それもあるんだと思った。

糸色くん、口をひらく。
「もう二度とおまえの親に会うことねえから言わせてもらうけど、勝手に娘の日記見たりとか、ふつうじゃねえよ。異常。俺には理解ができない。」



226:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 17:13:04.01 ID:J84GzbWK0

そう言われて、わたしは親を恨んでしまったww
自分が蒔いた種なのに、責任転嫁かもしれないけど家族を恨んだ。

もう付き合うことはない。
ハッキリと言われて、ある意味スッキリもした。

わたしと糸色くんは公園を出て、また夜道を歩いた。

わたしたちの前にカップルがいて、手をつないで歩いていた。
いいなあと思ってると、糸色くんに心を読まれたww

糸色くん「なに?手つないでほしいの?」

もちろん素直にうなずきましたともwwwww



227:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 17:17:27.55 ID:J84GzbWK0

まあでも手つないではくれなかった。
そしてどこに向かって歩いているのか、なんとなく気づいてはいたけれど、あえて突っ込まなかった。

着いた先は糸色くんのマンションwwww

以下、糸色くんの独り言。

「…外で話してたらやっぱ寒いな、中に入るか。」
「でもさすがに部屋はまずいだろ部屋は。」
「いや、なにもしねえしまずくはないか。寒いもんは寒いし。」
「不可抗力だ。入ろう。」



229:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 17:28:52.65 ID:J84GzbWK0

部屋に上がって話の続きをした。
とは言っても、もうこれと言って話す内容も無かったので、アニメの話や漫画の話で適当に会話を続けていた。
話がないなら帰れって言われそうで怖かったから。

糸色くんは疲れたのか、いつからかベッドに寝転んでわたしの話に相槌を打ってくれていた。
わたしもそこに、上半身だけ体を預けた。

「おい近寄るなって。」
糸色くんが起き上がって、上からわたしを見下ろした。
糸色くんの顔がよく見えた。

「そんな目で見らんとって。」
糸色くん言った。



230:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 17:33:47.71 ID:J84GzbWK0

「やだ、見たい!」
わたし糸色くんに抱き着いたwwwwww
糸色くん溜息つきながら、こう提案してきた。

糸色くん「まあ、俺たちはすぐ別れてしまった仲だ。やり残したこともたくさんあるだろう。仕方ない、けじめをつけるために、お互いのやりたかったことをぶつけることにするか。」



231:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 17:38:24.72 ID:J84GzbWK0

まじかよwwwwwと心の中で叫んだ。
正直うれしくてたまらなかった。まだわたしのこと好きなんじゃないのか?と思ってしまった。
もちろんその提案にのることにした。

糸色くん「まずおまえからな。何がしたい?」

わたし「ぎゅってしたい!」

糸色くん「今まさにしているところだと思うのだが。」

わたし「もっと強く!」

糸色くん「あー、ハイハイ。ぎゅー。」

結構痛いくらいに抱きしめてくれたwwwwww関節がポキってなった。



232:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 17:41:36.70 ID:J84GzbWK0

わたし「じゃあ糸色くん言っていいよ!何したい?」

抱き合うのをやめて少し距離をとり、わたしは聞いた。
糸色くんは少し間をあけて、小さな声でつぶやいた。

糸色くん「ひざまくら・・・・して。」



234:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 17:46:29.49 ID:J84GzbWK0

えっ!て思わず声が出た。
嫌なら別にいい、とそっぽを向く糸色くん。
慌てて「やるやる!」と言うと、「まじでーーーっ!」とすごい笑顔になって、わたしの膝に頭を置いてきたwwwww

糸色くん「ふともも柔らけえ・・・」

なんだかとてもかわいく思えて、糸色くんの頭をなでてあげた。
すっかり恋人気分だった。



236:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 17:53:43.43 ID:J84GzbWK0

そんな感じで、お互いのしてほしいことを交互に言い合った。
わたしがした注文は、
「手つなぎたい」「頭なでてほしい」「歌ってほしい」「ほふく前進して見せてほしい」

糸色くんがしてきた注文は、
「ニーソを脱がさせろ」「ニーソを履かせろ」「ご主人様と言ってくれ」「メイドになれ」



239:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 17:57:37.99 ID:J84GzbWK0

わたしはネタがきれてきた。
何してほしいか。そこで質問をしてみた。

わたし「こえちゃいけないガイドラインはどこ?」

糸色くん「常識で考えて。」

わたし「ちゅーして」

糸色くん「それはアウトラインだ・・・・」



240:名も無き被検体774号+:2012/06/08(金) 17:59:03.78 ID:Jzwas6r3i

やりたいことワロタww
バカなことをするのは楽しいよね




235:名も無き被検体774号+:2012/06/08(金) 17:49:43.53 ID:rY87B52n0

そしてまた調子に乗ってやらかすわけですね



244:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 18:03:51.25 ID:J84GzbWK0

…と、糸色くんは言いながらキスしてきた。

>>235のあおる通り、調子にのってやらかした。
わたしは糸色くんが好きだから、くっつきたくなる。
じゃあ糸色くんがこんなことするのはなんで?と思った。

わたしも子供ではないから、恋愛感情と性欲は別物だということくらいわかってはいたけど、それでも
「まだわたしのことを想ってくれてるから、優しくしてくれるんじゃないのか。」
そんな期待も大いにあった。



245:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 18:11:31.26 ID:J84GzbWK0

一夜が明けた。

♪我らはメイズ!メイド姿で参上 参上!ここらは冥途! 事件現場は 惨状 惨状!♪

糸色くんの、その賑やかなアラームの音で目が覚めた。
糸色くんはうでまくらをしてくれていた…。



248:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 18:18:36.04 ID:J84GzbWK0

それから、頻繁に連絡のやりとりをする日々が続いた。
まだ付き合っているのではないかと錯覚してしまうくらい親密だった。※この期間セクロスはしてない

確かにわたしは強引で、むりやり糸色くんの部屋に押し掛けてしまったり、家まで送ってもらったり、ゲーム売るのを付き合ってもらったり、帰りたくないとごねたり・・・。

わたしの弱さだった。だけどこのとき、糸色くんもまだそこまでわたしを嫌がってはいなかったんじゃないかと思う。
それは後に糸色くんがくれるメールで知ることにもなる。

大きく状況が変わるのは、家を出てから約2週間後のこと…。



253:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 18:25:58.39 ID:J84GzbWK0

前回のようにわたしの押しに糸色くんが負けてしまい、終電を逃してしまった。

わたしは糸色くんが好きなままだった。
触れたいと思ってしまう。その夜もわたしの望みは叶えられた。けど何か違った。
気持ちをまったく与えてもらえなかった。
別れているから当然なのだけど、ひどく放心状態を味わった。

これが俗に言うセフレなのかと思った。
もうこんなの嫌だと思った。どうしてこうなってしまったのだろう、すべてわたしの弱さが原因だった。

涙が出てきた。
友達の家に帰る。何もする気になれず、ただじっとしてた。
心が疼く。いてもたってもいられなくなった。

糸色くん宛てのメールを打ち始めた。



255:名も無き被検体774号+:2012/06/08(金) 18:29:10.40 ID:H/I0uIxZO

厳しい事言うと登場人物全員頭おかしい。別れた相手家に入れるとか情けなくねーのかな。中学生みたいな付き合いしてたんだね



258:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 18:33:13.92 ID:J84GzbWK0

>>255
うーん、仮に糸色くんがおかしいのなら、それはわたしのせいだ…。
糸色くんをわたしがおかしくしてしまったんだと思う。



260:名も無き被検体774号+:2012/06/08(金) 18:40:18.46 ID:bZFPIIg0i

>>258
案外正常な女心にみえる
糸色くんもショックが大きかっただけにも



256:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 18:31:10.30 ID:J84GzbWK0

大切にしたい恋だったのに、壊してしまったのはわたし自身だった。
ごめんねという気持ちと、ありがとうの気持ちをありったけ詰めて、もう諦めるからという内容で、心の底からつらい気持ちを振り絞って送信した。
もちろん本心だった。
会えなくなるのを覚悟で、送信ボタンを押した。



257:名も無き被検体774号+:2012/06/08(金) 18:32:40.50 ID:Jzwas6r3i

半年前の話だからあまり気にするな
もう終わりだろうしな



261:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 18:43:21.36 ID:J84GzbWK0

糸色くんから返事が来たのは次の日の夜中だった。
糸色くんの本音がつづられていた。読んでいるうちに涙が流れてきた。
何度も何度も読み直した。わたしのことを、糸色くんは、はじめて恋人という関係になれた、はつ恋の人だと言ってくれた。

わたしの存在は、決してマイナスになったわけではないこと、それを知れて目の奥が熱くなった。

「信頼という木は時間をかけて大きく育つ。僕らは出たばかりの芽に肥料や刺激を与えすぎた。それが別れる原因になってしまった。」
「まといさんは僕にとって鏡のような存在だった。知らなかった自分に出会うことができた。」
「僕がもっと素直だったなら、結末は違っていたかもしれない。」

「恋人をつづけることができなくて、すまない。でも、まといさんに出会えてよかった、ありがとう。」

糸色くんがくれたこのメールは、今でも大切に保護してある。等身大の彼の真っすぐな言葉だと思う。



263:名も無き被検体774号+:2012/06/08(金) 18:52:52.25 ID:vh3sdlHF0

見てるよー

なんか糸色くんに共感するww

俺もずっと童貞でようやく彼女できたときは
してほしいことが腐るほどあったからwwww

一回出来たけどすぐに別れたから
何かたまってたんだよねwwww

そんなことお願いするのは
本当に好きで信頼してる人じゃないと俺は出来ないけどね



265:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 19:02:28.19 ID:J84GzbWK0

>>263
見てくれてありがとう!
糸色くん、適当な気持ちで捨てるくらいなら俺は一生童貞でいい!と言っていた時期もあったw
それがこんなかんじになっちゃって、
正直いまだにそこらへんの糸色くんの本音はわからない…



264:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 18:57:59.28 ID:J84GzbWK0

そのメールから約一週間後。

わたしは自力で一人暮らしの物件を見つけていた。
貯金も少なかったけど、いつまでも友達の家に居候するわけにもいかないのでwww

家を出てから3週間経っていた。
実は書くタイミングを逃していたけど、この間に母と和解していたwww
友達の家に転がり込んでから数日で母から電話がかかってきて、平謝りされた…。
その時点で物件は見つけてたんで、それを告げるとひどく悲しまれた。

で、まあわたしも謝って、なんとか仲直りできたというわけです。

引っ越しは手伝ってもらった。
業者には頼まずに、親戚のオジサンやお兄さんにトラックで運んでもらった。
ありがたい・・・。



267:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 19:07:00.87 ID:J84GzbWK0

引っ越しも官僚、さあ新たな生活の幕開けだ!と思っていた矢先。

職場で、糸色くんとすれちがった。
糸色くんはわたしにこう言ったんだ。

「引っ越しおめでとう。」

最後にメールする前に引っ越しの日は決まってて、それを糸色くんにも教えていたからそう言ってくれたんだと思うけど、覚えてくれていたことがうれしくてwwww
もうみんな予想できちゃうだろうけど、わたしはやっぱり変わっていなかったよ…。



269:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 19:09:49.32 ID:J84GzbWK0

その日、家に帰って糸色くんに電話した。
我慢ができなかった。糸色くんは怒るでもなく普通に会話をしてくれた。
おやすみと言って電話を切った。落ち着かなかった。
会いたくなった。職場ですれ違うたび、その想いは強くなった。



270:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 19:12:04.43 ID:J84GzbWK0

引っ越しから3週間後、直球に会いたいと連絡した。
返事は、いいよ。
信じられなかったけれどうれしさで飛び上がった。
結果、また終電を逃し泊まることとなる。



271:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 19:16:26.88 ID:J84GzbWK0

そして関係はどんどん悪化していく。
日付は12月22日、わたしはケーキ屋なんだ。その日ホールケーキが余った。
連絡しないまま、休みだった糸色くんの部屋の前まで行った。

明かりがついていなかった。
ケーキあげたいんだけどとメールした。返事はすぐ来た。
今家にいないからもらえないのだ、ごめん。と、最近の糸色くんにしては柔らかい断りの文。

残念に思いつつ、仕方ないなと家に帰って、ホールケーキは一人で食べたwww
翌日も糸色くんは仕事に来なかった。
気になってまた、部屋の前まで行った。明かりはついている。
チャイムを鳴らした。出ない。

何度か鳴らしたとき、ようやくドアが開けられた。
出てきたのは今にも倒れそうな糸色くんだった。



272:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 19:17:55.87 ID:J84GzbWK0

糸色くん「お前・・・二度鳴らして出なかったら、出たくないってことだから諦めて帰ってくれ・・・。」

糸色くんは胃腸炎になっていた。
悪化させてしまっていたらどうしようと考えながら帰った。
何かできることはないかと思ったけれど、近寄らないことが一番糸色くんのためになるということに気づき落ち込んだ。



273:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 19:22:11.00 ID:J84GzbWK0

そしてクリスマス、糸色くんがわたしの売り場でショートケーキを買ってくれた。
ケーキを食べられるようになったってことで、回復したのだと思い込んでしまった。

そのクリスマスの夜、カフカ先輩とバーに飲みに行った。
終電の10分前、カフカ先輩がビールのおかわりをした。

「えっ、まだ飲むんですか。」思わず焦るわたしに、「じゃあ帰る?」とビールに口をつけぬままカフカ先輩は立ち上がった。
どうしようと思った。この日、カフカ先輩は傷心していた。
仕事が忙しかったせいで彼氏と別れる羽目になったからだ。

わたしはもう、何も言えなかった。
「じゃあ糸色くんに泊まらせてくれるよう頼んでみますよ・・・どうぞ飲んでください。」

店のバーテンダーとはしゃぐカフカ先輩を横目に、わたしは糸色くんに電話をかけた。
出ない。0時を過ぎているわけだし寝ていて当たり前だった。

こうなったらもう家まで行ってみるしかなかった。



274:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 19:25:21.42 ID:J84GzbWK0

また嫌われる・・・なんともいえない心情で、カフカ先輩を連れて糸色くんの部屋の前に立った。
チャイムを鳴らすと出てくれた糸色くん。やっぱり行くべきではなかった。
彼はまだ、とても調子が悪そうだった。

諦めたわたしたちは、行くあてもなく駅で立ち往生。
すごく寒い夜だった。カフカ先輩はホテルに泊まることを提案してきた。
わたしにそんなお金はなかったwww

わたしは大丈夫なんで、先輩は気にせずにホテル泊まってくださいと頼んだ。

ひとりになったわたしは駅の地下に移動し、地面にへたりこむ。
携帯もほとんど充電が残っていない。
深夜2時を過ぎていただろうか。
意地悪のつもりで、糸色くんに今の状況のメールを送りつけた。

最低だなあと思う。
手も足もかじかんで、マフラーに顔を埋めて始発の電車を待った。

本当に最低…。



275:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 19:29:00.75 ID:J84GzbWK0

新しい年になった。
2012年、今年になってからの話ね。

糸色くんにあけましておめでとうのメールを送った。
今年は飛躍だと返事が来た。

やっぱり連絡が取れたことはうれしかった。

次にわたしが糸色くんに連絡をしたのは1月の中旬だった。
糸色くんと知り合ってから、ここまで連絡を取らない日があいたのは初めてのことだった。
我慢に我慢を重ねた。
必死にほかのことで気をまぎらわせた。

それが、ついにもたなくなってしまった。
少しでいいから話できないかな?と、メールを送ったwwwww
ごめん今無理だと返事が来た。

次の日に再びメールした。
今度は友達と会うから無理だと言われた。
構わずしつこくして、少しやりとりがつづいた。
うっとうしいと言われて泣くほどショックを受けたが、立ち直るのも早くなっていたwwwww

わたしはある意味強くなっていた。
メールは強制的に終了させられた。また翌日もメールを送った。完全に嫌われてしまった。



284:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 20:07:42.60 ID:N5jJBzFA0

それから約一か月経った。
2月14日がやってきたんだ…。バレンタインデーw

悩んだ末、糸色くんにチョコを渡すことを決意した。
一か月前のメール以来、仕事場でもほとんど口をきいていなかった
。とても勇気がいることだった。
いらないと突き返されるんじゃないかと怖かった。

その日の仕事にはとても集中できなかった。



286:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 20:13:35.38 ID:N5jJBzFA0

お店が閉店して、わたしは彼の売り場に神経を集中させたww
他の従業員に見られないように、バッグヤードに行ったところを狙おうと思ってた。
糸色くんが動き出すのを、ずっと待ってた。

しばらくして、色糸くんはカバンを持って売り場を離れた!
どきどきする気持ちをおさえながら後をこっそりついてった。



287:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 20:17:47.78 ID:N5jJBzFA0

更衣室に入ってった糸色くん。
少し離れたところで、待機することにした。ここにいたら、着替え終わった糸色くんが目の前を通る!
心臓ばくばくwwwwww

そんでとうとうその時はやってきた。
糸色くんと目が合って、お疲れ様ですとあいさつされた。

糸色くん通り過ぎた。
うしろから糸色くんを目で追うと、すでにたくさんのチョコの紙袋を持ってたwwwww



288:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 20:23:36.54 ID:N5jJBzFA0

一瞬やっぱ渡せないと思ったけど、その考えは振り切って声をかけた。

「よかったらこれももらってくれませんか?」

声が震えていたwwwwwwww



289:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 20:31:05.29 ID:N5jJBzFA0

糸色くんゆっくりと振り向いた。
少し姿勢を低くしてくれて、目線がわたしのそれと同じ高さになった。
何も考えられなかった。
すごい時間が長く感じたwwwwww

そしたら糸色くん、ニコっと笑った・・・。
こんな顔いつぶりってくらいに最高の笑顔を見せてくれて、「お~!さんきゅー!」ってチョコを受け取ってくれたよ。
何も言えなかった。
糸色くん、背中を向けて帰っていった。

わたし、なんか感極まって涙があふれたwwwwww
しばらくその場に立ち尽くしてたwww



290:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 20:37:46.15 ID:N5jJBzFA0

家に帰ってからも嬉し涙が止まんなくてwwww
受け取ってほしいものを笑顔で受け取ってもらえるって、こんなに嬉しいことなんだね。
ありがとうと何度も心の中で思ったwww

渡してよかったと思った。

んで、それから約10日が過ぎた日のこと。
この日は糸色くんの誕生日だった。



291:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 20:45:27.77 ID:N5jJBzFA0

バレンタインは世間の行事として受け取ってくれたとしても、さすがに誕生日まで何かするのは重いかなと思った。
でも、何もしないでいられるわけがなかった。
ごみにならず、気持ちもこもりすぎず、役にたつもの・・・。
色々考えてはみたけど、ひとつしか思いつかなかった。

図書カード。
絵柄はルノワールの「読書」にした。暖かみのある、わたしも好きな絵だった。

直に糸色くんの売り場まで届けに行った。
相変わらずドキドキは止まらなかったけれど、「ハッピーバースデー!」って声をかけると同時に、渡すことに成功したんだ。
「覚えてたんだ!!」ってびっくりしてた。
あたりまえwwwwww

ふたたび喜んだ顔を見ることができて、もう最高に幸せでたまらなかった。



294:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 21:02:59.71 ID:N5jJBzFA0

それからというもの、心なしか仕事場ですれちがうとき、ちょくちょく会話ができるようになっていた。
話ができた日は一日中幸せだった。目が合うだけでときめいたwww

そしてホワイトデーが訪れた。
糸色くんは休みだった。そりゃ本音を言うとほしかったけど、たぶん、くれないかなと思っていた。
わたしが調子に乗ったらどうなるか、糸色くんは誰よりよく知っていると思っていたからwwwwwww

でも、ホワイトデーは仕事が忙しくて、いつのまにかすっかりそのことを忘れてた。

少しお客さんが落ち着いてきて、わたしは売り場で店長(男)と仕事の話をしてたんだけど、突然「ホワイトデー!」って前から声をかけられて、目の前に何かが差し出された。
糸色くんだった。
「ありがとうございます!」といって受けとったwwwいきなりすぎてそれだけ言うのでやっとだったw

糸色くんすぐにいなくなって、わたしはもらった袋を抱きしめて店長を見た。
店長もわたしを見てた。
「ラブなのか?いいなあ」って言われたwwwwww



295:名も無き被検体774号+:2012/06/08(金) 21:04:30.47 ID:ybK+5eBW0

やってることが私と同じだ
気持ちがわかる



296:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 21:08:06.74 ID:N5jJBzFA0

うれしいってもんじゃなかった。
すぐ裏に回って中身を見た。

リラッ●マのデザインのお菓子だった。
はっとして、付き合いたての頃の記憶をたどったwww
そういえば最初のころに、わたしは糸色くんにペアのストラップをあげていたことがある。
それがリラッ●マだったwwwww

偶然かたまたまなのかもしれないけど、これには意味があるんじゃないかと都合の良い期待をしてしまうくらいに舞い上がっていた。
写真を撮りまくった。友達にも自慢した。もったいなくて一口だけ食べて棚に飾った。。



298:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 21:11:46.34 ID:N5jJBzFA0

次の日。
直接ありがとうが言いたかった。
仕事場で、ずっと様子をうかがっていたのだけど、話せる機会はこなかった。

家に帰ってから悩んだ。
悩んだ末にメールを送ることにした。二か月ぶりのメールだった。
返事がきてこれまた飛び上がった。聞きたいことや言いたいこと、話したいことはたくさんあったけれど、ぐっとこらえておやすみと送り返した。
不思議なくらいに事がうまくいってた。



299:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 21:21:24.44 ID:N5jJBzFA0

ホワイトデーの10日後。
この日、カフカ先輩が職場で衝撃的な場面を目撃した。

うちの売り場の同じフロアの、とある食品コーナー。
そこの若い店長は変態で有名な人なんだけど、その店長が他の従業員に、
「ぼく~朝からえっちなこと想像しちゃって…。鼻血が止まらないんですうw」と、
血を流しながら言っていたらしいwwwww

くだらないことだけどwww
それは同じ職場のわたしたちにとってはとても衝撃で、糸色くんにも教えたくなったwww
しかも糸色くん、この変態店長と仲がいいのだwww



300:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 21:31:38.36 ID:N5jJBzFA0

運よくバッグヤードで糸色くんとすれちがうことができて「やばいこと聞いちゃった!」と伝えることに成功した。
予想以上に糸色くんは食いついてきた。
「でもここじゃ職場だし話しづらいから」そう理由を付けて帰ってからメールすると言った。
糸色くんはうなずいた。



301:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 21:37:26.54 ID:N5jJBzFA0

家に帰って糸色くんにスカイプのIDをメールで送った。
正直無視されるかなと思っていたら、すぐにスカイプの方でコンタクトが届いた。
一人で「やったーwww」と叫んだw

更に間もなく、スカイプでまさかの着信が入った。
糸色くんが通話をしてきてくれた。本当にびっくりだったw
テンションはMAXで、夢みたいだった。

あんなに恋焦がれていた糸色くんと、またこうして話している。
それはまぎれもない現実だった。
メインの変態店長の話をしたあと、お互いの近況を伝えあった。

糸色くんに今も新しい彼女はできていないことを知って安心したwwww

すごく楽しい時間だった。
思い切って飲みに行こうと言ってみた。
だめなのかいいのかよくわからない返事がきた。

はっきり断られたわけではないので、それはそれで良いと思えた。
今後にとても期待した。



302:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 21:42:25.41 ID:N5jJBzFA0

スカイプで通話をした次の日。
仕事を終えて糸色くんにメールを送った。飲みに行こうと。
返ってきたのは気乗りしない答えだった。

やっぱりだめなのかと落ち込んだ。でもここで引き下がるわけにはいかなかった。
従業員出口で糸色くんが出てくるのを待った。

迷惑そうな糸色くんの顔を見て、心が折れそうになった・・・。
すると糸色くんは、とりあえず帰るから。と、糸色くんの家方向に自転車を向けた。

仕方ないのでわたしも帰ろうとしたら、糸色くんがこっちを見ている。
いいのかな?と思ってついて行くことにした。

到着すると、「見送りありがとう」と言われた。
呆然としていたら「そこにいたら近所に変な目で見られるから入れ」と、玄関に上がらせてくれた。

これでもうれしかったけれど、目的は飽くまで飲みなので、しつこく誘い続けた。
いつからか、話の流れが自分たちのことになっていた。



303:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 21:45:34.36 ID:N5jJBzFA0

「まだ帰る気ない?まだ話ある?」
糸色くんが聞いてくる。うなずくと、部屋に入るようにと言われた。

その通りにして、話を続けた。けれど肝心なことが言えなかった。
察したのか、最初からわかっていたのか、糸色くんは
「言いたいことがあるなら言えばいいよ、聞いてあげるから。」そう言った。

胸が高鳴った。
正直、期待した。

わざわざ言わせるということは、それなりの答えをくれるつもりなんだと思った。
わたしは一気に言った。

「ずっと忘れられない。今もまだ好き。」

精一杯で伝えた・・・。



305:名も無き被検体774号+:2012/06/08(金) 22:22:25.02 ID:Ikd6xQam0

見てるよ、待ってるね



306:名も無き被検体774号+:2012/06/08(金) 22:39:34.32 ID:egwYc4Ioi

メンヘラやないけ



308:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 22:45:06.68 ID:N5jJBzFA0

その精一杯は、
「ごめん」という言葉で片付けられた。
何それと思った。

好きで好きでどうしようもなかった。
諦めなければ叶うかも、その一心でここまできた。
その可能性だけを追いかけてきた。

いまそれが、静かに去ってしまった。
何を目標に生きていけばいいのかわからなくなった。
結局、終電も逃した。



309:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 22:45:48.83 ID:N5jJBzFA0

こんなにつらい気持ちだったのに、なぜかこの日もセクロスになった。
経緯はまるで覚えてない。
それもゴムが合わなくて途中までになった。

好きな気持ちは、どうしても消えてくれなかった。

その後は平和な日々が続いた。
糸色くんがスカイプの相手をしてくれたり、なんだかんだでわたしを構ってくれていたんだ。
とても楽しかったし、幸せだった。
けど人間って贅沢で、また糸色くんと外で会って遊びたいと思ってしまった。



310:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 22:46:27.73 ID:N5jJBzFA0

4月中旬、飲みに誘ってみる。前回同様断られると思っていた。
答えは「わかった、また連絡する。」
糸色くんから連絡が来た時には、心底喜んだ。

付き合えなくたって、また違う喜びがある。
舞い上がっていた。
そんな気持ちは、わたしの身勝手なひとりよがりだということを、あとで思い知ることになるんだけど。



311:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 22:46:56.51 ID:N5jJBzFA0

約束の日。従業員出口で糸色くんを待ってた。
出てきた糸色くんに「お疲れ」と駆け寄ってみるものの、反応はそっけない。
速足で改札に向かって、電車内でもほとんど口をきいてもらえなかった。

無言でネットを見ている糸色くん。これにはわたしも落ち込んで、涙がこぼれそうになるのを懸命に堪えた。

わたしの家の最寄駅に着いた途端、糸色くんは笑顔になって「さあ行くか!」と明るく言った。
それは糸色くんの優しさだと、わたしは悲しい気持ちを忘れることにした。

糸色くんに着いて感じのいいバーに入った。
恋人に見えてるかな?などと考えてドキドキした。



312:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 22:47:28.46 ID:N5jJBzFA0

飲み物や料理を注文して、目の前の糸色くんに見とれた。
いつのまにか、わたしはすっかりアルコールに負けてしまっていた。
気づいたら糸色くんにおぶられていて、ぼんやりと鍋会のことを思い出した。

あのときと一緒で、あったかくて優しい背中だった。
甘えたくてしょうがない気持ちになった。
酔いが覚めたとき、糸色くんは隣にいてくれた。
終電の時間は過ぎてた。

抱き着いてみたりした。そんなに抵抗されなかった。

その夜は恋人みたいに、糸色くんがやさしかった。



313:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 22:47:57.09 ID:N5jJBzFA0

2週間後。
仕事が終わって、わたしはスーパーに寄った。
魚のフライとコロッケと、玉子を買った。

帰ろうと駅に向かいながらふと思った。
この道を通って帰ってたら、糸色くんとすれ違えるんじゃないか。
その道は糸色くんが仕事から家に帰る時の道だったから。
そんな期待を抱きつつ歩いた。

予想は的中、正面から自転車で走ってきた糸色くんが止まってくれた。
「奇遇だね!」間を空けないように話しかけ続ける。
少しでも長くいっしょにいたかった。



314:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 22:48:32.48 ID:N5jJBzFA0

しばらくすると、うんざりしてきた糸色くんが「友達と飲む約束あるんだけど。」と切り出した。
ここまでか・・・と思った。
「じゃあまた遊んで!アポ取らないと嫌がるよね?今アポとって!」そう言ってしまった。

そしたら「遊びたくねえし、取らねえよ。おまえといたら気つかうし、楽しくないし。」ってぶっきらぼうに言われてしまった。

なんて言えばいいかわからなくなった。
少なからず、糸色くんも楽しいと思ってくれてるんだと思い込んでたから。
自意識過剰のおめでたい女だった。

こうなると、だだをこねることでしか自分の感情を伝えられなくなってしまう。

わたし「じゃあ帰っていいよ!」

糸色くん「おまえが帰らんと帰れん」



315:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 22:49:00.56 ID:N5jJBzFA0

糸色くん「つっか寒い。いいわ、言いたかったこと話してやる。ついてこい。」

歩き出した糸色君を、半泣きでわたしは追いかけた。
糸色くんの部屋に通されて、少し落ち着きを取り戻した。

わたし「それで・・・話ってなに?」

糸色くん「いや・・・やっぱ、女の子をこんなに傷つけたらいけん気がする。」

糸色くん「あ―、もう、悪かった!さっきは言い過ぎた!別にまったく楽しくなかったってわけじゃないから!」

糸色くんはわたしの頭を乱暴に撫でた。
ずるいなあと思う。どうしても好きという想いが離れない。
終電の時間が近づいた。



316:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 22:49:31.86 ID:N5jJBzFA0

糸色くん「やべえ、送るわ。」

久しぶりに乗った糸色くんの自転車の後ろ。
時間を気にしながら急ぐ糸色くん、急にこぐのをやめて、Uターンした。

糸色くん「間に合わんわ、もう。」

糸色くんの部屋に戻って、この夜は何もせずに寝た。

次の日、わたしたちはいっしょにテレビを見てた。
なんでもないこういう日常が幸せに思えた。



317:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 22:50:03.89 ID:N5jJBzFA0

昼過ぎて、近くにある神社に歩いて行った。こどもの日だった。
糸色くんの目当てだった藤の花は、まだあまり咲いていなかった。

おみくじを引いてその結果に驚いたww

決してあきらめないで、ぶつかりなさい。
この恋は再び燃え上がる日が来ます。

相性の良い人と書かれてある欄を見ると、糸色くんにほぼ一致していたww
年齢や干支や、血液型、生まれ年www

糸色くんにとっては最悪な結果だっただろう。
もう俺この神社来たくないと言っていた。



318:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 22:50:28.81 ID:N5jJBzFA0

ふとまわりを見渡すと、親子連れに加えてカップルも少なくなかった。
わたしはこのとき、本当は手をつなぎたかった。
もちろんそんなこと言えるはずもなく、ただ日傘の柄を握りしめて我慢した。

帰り道、日傘で顔を隠すわたしに糸色くんはなんとなく不安を覚えたのか、何度か話しかけてきた。
心が晴れず、そっけない返事しかできなかった。
おみくじの結果が頭を離れなかったのもある。
糸色くんと一緒にいられるにもかかわらず、わたしは憂うつだった。



319:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 22:50:55.08 ID:N5jJBzFA0

糸色くんの部屋に帰ってからは、いっしょにガンダムを見た。
少し気分もやわらいで、アニメにはしゃぐ糸色くんがかわいく思えたりした。
夜が深まっていくにつれて、もうお別れかと物悲しくなっていった。

わたしには他に気がかりなこともあった。



321:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 23:07:23.45 ID:N5jJBzFA0

わたし「あのさ。本当に好きなら、その好きな人の幸せを一番に願うものだよね。」

糸色くん「…。場合にもよるな。」

わたし「好きな人が幸せそうなら、それがたとえ自分以外の誰かと楽しそうに過ごしているとしても、いっしょになって喜べるのが本当の愛だよね?」

糸色くん「それはただのきれいごとだな。そんなことを真顔で言うやつがいたら、信用できないな。」

こんな会話をして、言おうかどうしようか迷っていたことを言う気になった。



322:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 23:08:39.30 ID:N5jJBzFA0

わたし「引っかかってることがあって。」

糸色くん「なに?」

わたし「絶対に怒らないって約束してくれる?」

糸色くん「わかった。」

素直に話すことにした。
わたしは最近糸色くんにマイミク申請を送っていて、糸色くんも承諾してくれて彼の過去の日記も見ることができるようになってた。
それで糸色くんの大学時代のやりとりを見てしまったんだけど、そこに「支えになってくれてありがとう。●●がいてくれたおかげで頑張れた」と、後輩あてに書いてあった。
それがモヤモヤしてしまったと、わたしは糸色くんに告げた・・・。

糸色くんはためいきをついた。
「滑稽だな!」
鼻で笑われた。



323:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 23:09:13.13 ID:N5jJBzFA0

「呆れる。引く。救いようがない。くだらない。」
「おまえにおれの大学生活の何がわかる?」

最悪なことになってしまった。

自分が何を言っているのかもわからなくなっていた。

わたし「わたしと、二度と会えなくなったらなんて思う?」

糸色くん「残念に思うかな。」

わたし「じゃあ後輩がいなくなったら?」

糸色くんは黙り込んだ。

わたし「さみしい?嫌だ?」

もう糸色くんの顔が見れなかった。答えがないことが答えだと思った。



324:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 23:09:56.03 ID:N5jJBzFA0

「わたしと、後輩の、その差は何?」聞いてしまった。
「過ごした時間が違う!」即答だった。何かが切れた。

「もう帰る!」爆発してしまいたい衝動に駆られ、わたしは玄関に走った。

すぐに糸色くんが冷蔵庫を開けて、預けていた玉子を差し出してくる。

わたし「いらない!捨てといて!」

糸色くん「食べ物を粗末にするやつ嫌い。」

わたし「嫌いでいい!」

泣きながらドアノブに手をかけたとき、糸色くんがわたしを引っ張った。
「離して!」そう叫ぶわたしを、糸色君は自分の方に抱き寄せた。



325:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 23:15:32.87 ID:N5jJBzFA0

糸色くんに抱きしめられた。
背中をトントンと優しくなだめられた。
こどもみたいに激しく泣き続けてしまった・・・。メンヘラだと笑っていいよw

糸色くんの体温は優しかった。
愛情と錯覚してしまうほどに。
糸色くんにとっては、ただ泣き止ませるために取った仕方のない行動だったのかもしれないけれど、わたしは体が引きちぎれそうなくらい、いくつもの感情が生まれては消えていた。

付き合った日のことを思い出した。
あの夜もこうして、抱きしめてくれた。
あのときは愛情や恋しい気持ちでいっぱいだった。それが今はこんなに切ない。
やりきれなかった。大切で、かけがえのない糸色くん。

けれど糸色くんにとってわたしは、人生の中で少しかかわりのあった人物というだけ。
誰にもかなわない。もう終わってしまった恋。30分くらい、そうしていたかな。

わたしが口を開いたら、「やっとしゃべってくれた」と糸色くんは笑った。



327:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 23:17:42.45 ID:N5jJBzFA0

その後なぜかベッドに運ばれて、念入りにマッサージをしてくれた。全身。
下心は全く感じなかった。真剣なマッサージだったww
あれは、なんだったのだろう。
多少なりとも糸色くんに罪悪感があって、そこからくる行動だったんだろうか。今となってはもうわからない。



329:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 23:22:18.83 ID:N5jJBzFA0

自転車で駅まで送ってもらって、家に帰った。

帰ったはいいけど、自分を止めることができなかった。
シャワーを浴びて、すぐまた駅に走った。電車に乗った。その日の最終列車だった。

糸色くんに一通メールを送信して、糸色くんの最寄駅で時計台を眺めていた。静かな夜だった。
何も考えたくなかった。

「顔あげて。」糸色くんは来てくれた。
顔をあげると、頬を叩かれた。まったく力は込められていない、形だけのビンタだった。

「おまえも俺も、明日朝から仕事なんだけど。社会人としての自覚もねえんじゃねえの。」
その言葉は大きく突き刺さった。その通りだとも思った。
情けなかった。ひとりで寝るのが嫌だった。ずっと糸色くんといたかった。



331:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 23:25:46.54 ID:N5jJBzFA0

相手が断っているのに、それを認めようとせず、相手の気持ちを無視している。
どうしようもないことを悟らなければならないのであって、もうどうにかできる段階はとっくに終わってる。

これを、とある人に言われた。
わたしは思った。その通りだと。諦めようと。この気持ちに見切りをつけようと、そう思った。



332:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/08(金) 23:30:00.82 ID:N5jJBzFA0

ここまで見てくれてありがとうございました。
メンヘラっぷり炸裂で情けないですww
もう、残すところあとちょっとになりました。



347:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 17:20:04.15 ID:AbrDdVY30

ではラストまで投下しようと思います。
その前に少し、この時の心境をば。

何をしても何度好きだと言っても、
ギャン泣きしても好きじゃなくなった素振りを見せてみても、
少し連絡するのをやめて様子をうかがってみても、

糸色くんはいつも冷静沈着で答えは毎回「NO」だった。

何がダメなのか。
付き合うのは当たり前にダメ、プレイべートで遊ぶのも嫌、
メールや電話ももうしたくない。
スカイプもいつも、とり込み中にしてあからさまに無視!

それなのに嫌いじゃないと言い張る。
「好きじゃないけど嫌いなわけでもない、お前は白か黒しかないのか?」
いつしかそれが糸色くんの口癖になってた。



349:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 17:25:44.02 ID:AbrDdVY30

「じゃあセフレでもいい。」
プライドも何もかも捨てて言ってみたことがある。

やっぱり断られたんだけど、その理由はこうだった。

「最初は良くても、そういう中途半端な関係に、だんだん俺が嫌になると思う。自分のことだからわかる。」

わたしとしては、体だけでもいいから必要としてほしかった。
今はそんなこと、もう絶対に考えないけれど。



350:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 17:32:26.03 ID:AbrDdVY30

嫌がる糸色くんを追いかけまわしてしまったようなわたしだから、
愛なんてとてもじゃないけど語れない。
恋に恋しているだけだよって友達に言われたこともある。
それでも好きだった。確かに好きだった。

これ以上苦しませたくないと本当に思った。
糸色くんの嫌がる気持ちを尊重する。

それを貫くことができるのか、ここからのわたしの課題はそれだった。

それでは話に戻りますwwww



351:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 17:39:02.49 ID:AbrDdVY30

もう諦める、どうにか忘れる努力をしよう。
そう決めた次の日の夕方のこと。

暇な売り場でカフカ先輩としゃべっていた。
ふと、糸色くんの売り場の方に目をやる。この日、糸色くんは会議らしくこの百貨店にはいないはずだった。
ところが、視界に入ってきたスーツ姿の糸色くん。

それは一瞬だった。
まず、動悸を感じた。これはまずいと思った。
落ち着いて息をしようと空気を吸い込むものの、うまく呼吸ができずにしゃくりあげてしまった。
その場にへたりこんだ。

すぐにカフカ先輩が「どうしたの!?」と声をかけてくれた。
かすれた声で「大丈夫です。」とだけ言うことで限界だった。
もちろんその様子は普通じゃなくて、カフカ先輩に支えられて、裏に移動した。

呼吸がいくらか落ち着いてくると、今度は頭がぼーっとし、手足がしびれてきた。
わたしは医務室に寝かされた。



352:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 17:46:04.11 ID:AbrDdVY30

翌日の仕事では何も起きなかった。
糸色くんは休みでいなかった。そしてまたその次の日。

朝、開店前、わたしは作業のためにバッグヤードへと移動した。
そこで糸色くんの姿を目にしてしまう。一昨日と同じように立っていられなくなった。
ドクン、ドクンと、鼓動が全身で響いているような感覚。
めまいが止まらなかった。

「大丈夫!?」
そんなわたしに他の従業員の人たちが気づいた。
保安の人に誘導され、医務室へ行くことになった。
苦しくて、胸がもがれそうだった。

その日は早めに上がらせてもらうことになった。
たくさんの人たちを心配させてしまった。



353:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 17:51:05.26 ID:AbrDdVY30

休みになった日、大学病院に行って心電図と採血検査をした。
なんとなくわかっていた。
結果が問題ないということは。

先生はこう言っていた。

「仕事忙しい?ストレスからそうなることもあるんだよ。疲れてるんだろうね。」

心療内科に行けば薬も貰えるけど、とも言われた。

けど、わたしは心療内科に行くつもりはなかった。



354:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 17:55:10.71 ID:AbrDdVY30

たかが失恋で心療内科だなんてwww
本当に苦しんでいる人たちがこの世の中にはたくさんいるのに…
わたしなんか全然平気なレベルだしwww
死ぬわけじゃないしwwww
メンタルは強いほうだしw自傷したことも無いしwwwwww

こんなことを思った。
気の持ちようでなんとでもなる、と思った。

ただ、糸色くんを見るたびに倒れてしまっていては職場に迷惑がかかる。
それが不安だった・・・。



356:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 18:02:21.86 ID:AbrDdVY30

糸色くんを諦めるということが、自分にとってこれほど重いものだったとは。
どうにかして糸色くんを克服しなければ、前に進むことはできないんだと思った。

煮え切らないモヤモヤした感情、これが一番の荷物なんだと思った。
この荷物を捨てるためには…。

これで最後、そう自分に言い聞かせて、わたしは糸色くんのマンション付近まで行った。



357:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 18:08:22.20 ID:AbrDdVY30

時間は夜の9時。
糸色くんの部屋の明かりがついていることを確かめて、少し離れた場所に移動した。
アドレス帳から糸色くんの番号を呼び出して、発信を押した。

何コール目かで出てくれた。
わたしは言葉が出なかった。
「もしもし、もしもし?」何度も糸色くんが声をかけてくれているのに、結局なんにも言えなくて、切られてしまった・・・。



358:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 18:12:59.94 ID:AbrDdVY30

すぐにメールで謝って、再度かけなおした。
会話になるんだったらかけてきていいよ、と言ってくれたから。

心臓は高鳴っていたけれど動悸ではなかった。
なんとか言葉を探しながら、時間をかけてしゃべった。

職場で立てなくなって医務室に行く姿を見ていたらしく、「それって俺が原因?」と聞かれてしまった。
うん、と返事した。だから克服するために電話をかけたんだと、正直に伝えた。



359:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 18:22:29.20 ID:AbrDdVY30

糸色くんは、いつもの落ち着いた口調でわたしにこう言った。

「ゆっくりでいいよ。ゆっくりで。すぐに諦めるなんて、無理だろ。急ぐことはないんだ。焦らなくていい。」

ああ、会いたい・・・そう思ってしまった。
糸色くんと話していると、いつのまにか自分も落ち着くことができていた。
不安よりも、どうしても恋しさが出てきてしまっていた。

「最後にもう一度、会いたい。」

お願い、という気持ちを込めて言った。
何度も何度も何度も言った。
でも糸色くんは「わかった」とは言ってくれなかった。



360:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 18:28:02.48 ID:AbrDdVY30

最後だなんて、うそだろ。
どうせそうやってまた部屋に上がりこんで、終電逃して、泊まるつもりなんだろ。
甘えるももいい加減にしろ。他を当たれ、俺にはもう関係ない。

これが糸色くんの言い分だった。
そんなこと思ってない!と言ったら嘘になってしまう。
糸色くんの言うことは正論だった。

苦しくなって胸のあたりを握りしめた。
服のボタンに手が触れた。



361:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 18:35:13.88 ID:AbrDdVY30

わたしは電話の向こうの糸色くんに言った。

「あのさあ…取れかけのボタンって、気持ち悪いよね。どうせなら、思いっきり引っ張って、契り捨てたくなっちゃうよね。」

糸色くんにつきまとっている自分を、ボタンに例えた上での話だった。
糸色くんはそのわたしの言葉に対し、妙に語りかけてくるような口調で言った。

「取れかけたなら、縫い直せばいいじゃねえか。取り繕えばいいじゃねえか。」
「おまえって、いつもそうなんだよ、嫌なことからすぐ逃げる。もっと、真剣に向き合えよ。なんとかなるんじゃない、なんとかするんだよ。」

もうわけがわからなかった。



362:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 18:41:14.69 ID:AbrDdVY30

糸色くんのマンションの近くに来ていること、ばれていたみたいだった。

「ちゃんと終電までに帰れよ、絶対に泊まらせないからな。」そう言って電話を切られた。
煮え切らない、モヤモヤした荷物を抱えたまま、わたしはホームに引き返すしかなかった。

電車を待つあいだ、悪い妄想が頭を離れなかった。
涙が出そうになって、なみ先輩にメールを送った。

「もう電車に飛び込んでしまいたいです」



363:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 19:12:04.71 ID:AbrDdVY30

某居酒屋。
向かいには、なみ先輩。心配したなみ先輩が駆けつけてくれたんだ。
心底申し訳ないと思った…。

話を聞いてもらううちに、心は軽くなっていた。
糸色くんに会ってちゃんと終わらせたい、今度こそすっきりした気持ちで諦めたい。そう話した。
なみ先輩は、「わたしが糸色くんにメールするよ」と言ってくれた。

後日、なみ先輩が糸色くんに送ってくれたメール。
「まといちゃんがけじめをつけたいと言ってるから、会ってあげてほしい。昼間で構わないから。」

糸色くんの返事はすぐに送られてきたらしい。
「わかりました、空いた日があったらまといにメールします。なんかすみません。」

そしてわたしの半年続いたこの恋は、
予想もしてなかった形に大きく変わり、終わりを迎える。



367:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 20:05:42.11 ID:AbrDdVY30

先月、5月の21日。
事の発端はツイッターだった。ふと思い浮かんで、数週間ぶりにアクセスしたんだ。
それを目にしたのは、本当にたまたまだった。
タイムラインに見慣れたプロフ画像、糸色くんだった。

内容からして、何かの歌を練習中で、
さらに明日(これを見たのは21日、更新されていたのは20日なので、正確に言うと今日21日)カラオケか何かがあるのだということがわかった。

もちろんこれだけなので、そっかあいいなあくらいにし思わない。
今思えば、そこでツイッターを見るのをやめておけばよかったと思う。
ちなみに相互フォローじゃなくて、わたしの一方的フォローね。
わたしがフォローしていることは、糸色くんも多分知ってたと思う。



368:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 20:10:55.97 ID:AbrDdVY30

気になって次の日もアクセスした。
日が変わったばかりの22日、タイムラインが更新されている。
楽しいってツイートされてあった。
こんな時間まで歌ってたんだね、とほほえましい気持ちになった。

そこで、糸色くんのフォロー数が増えていることに気付いた。
目についたのは、メイドバー(※偽名)というアカウント。
なにこれ?と見てみると、どうやら糸色くんのマンションの近くにある、コスプレバーらしいということが判明。

もうひとつ、セクロスなんとか(※偽名)が目についた。
品の無いアカウント名だったから。



369:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 20:12:58.62 ID:AbrDdVY30

そのページにアクセスしてみると、某絵サイトへのリンクがかけられていた。
飛んでみる。中途半端なエロ絵たち。
わたしはこれで、すっかり男だと思い込んだ。

糸色くんはまた、変わったことに興味持ったんだなあと思ってページを閉じた。
少し悪い想像が頭をよぎったけど。



371:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 20:15:51.76 ID:AbrDdVY30

翌日、嫌な想像は当たってしまうこととなる。
夕方、ツイッターをひらいた。
糸色くんが、あのセクロスなんとかにツイートを送っていた。

もう一度どセクロスなんとかのページを確認してみる。
ツイート内容からして、女だということに気付いてしまった。
メイドバーの店員か、もしくは居合わせた客なんじゃないかとおもった。

そこに行った糸色くんがこの人と仲良くなって、こうしてやりとりしているんじゃないか。



372:名も無き被検体774号+:2012/06/09(土) 20:20:46.88 ID:eHgl/WPiP

現実見えちゃうね



373:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 20:21:35.74 ID:AbrDdVY30

そんなことを考えながら(仕事中)、商品を取ってくるためにバッグヤードへ。
脚立を使っていても一番上に置いてある商品が取りにくく、さてどうしようかと思っていたら糸色くんが来た。
「取ろっか?」
そう言ってくれた。あの電話以来の会話だった。

商品を取ってもらって、チャンスとばかりに話しかけてみた。
ほんの一瞬だったけど楽しかった。他の従業員が入ってきて会話終了。

そのやりとりがうれしすぎて、嫌な想像はどこかへ吹っ飛んでしまった。



374:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 20:25:55.40 ID:AbrDdVY30

そして更に翌日。

新しいツイート。[居心地いいからって通いすぎ俺。]

心臓が跳ねた。想像が確信に変わりつつあった。
どこに通っているかまで書かれていたわけではないけど、ここ数日の流れからして一か所以外考えられなかった。

考えすぎだと思いたかった。
間もなくして、セクロスなんとかがそこにツイートを送っているのを見るまでは・・・。

[通ってもいいのよ。]

目をこする。何度確認しても、書かれている現実は変わらない。
セクロスなんとかはメイドバーのスタッフだった。
糸色くんは1・2回ではなく、毎晩のように通い詰めていた。



375:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 20:30:31.82 ID:AbrDdVY30

いつも早く寝るあの糸色くんが・・・。
次の日が仕事でも気にもしないで?

この女に見られたいがために、更新が増えたわけ?
これから近所を走るっていうツイートも、自己アピール?
カラオケ好きじゃないって言ってなかったっけ?

そんなに、居心地いいの??

悪夢は続いた。

セクロスなんとか[明日は後輩デ―ですにゃ!せんぷぁい!]

糸色くん[そうか行くぞ!待ってろ後輩よ。]

なにそれ?調べてみたらすぐにわかった。
スタッフが客を先輩と呼ぶらしい。血の気が引いた。



376:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 20:32:53.84 ID:AbrDdVY30

糸色くんがセクロスなんとかに送ったツイートに、
[な、なんだか丸め込まれている気がするぜよwww]
ってのもあった。

気がするんじゃなくて実際そうなんだよ!と言いたかった。
ここまで抱いていた糸色くんにたいする尊敬の気持ちが、かなり大きな音を立てて崩れてしまった…。



377:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 20:44:25.65 ID:AbrDdVY30

そしてわたしはまた、バッグヤードで糸色くんと遭遇した。
本当はストレートに聞きたかった。でも自分の立場を考えると、言えるわけがなかった。

「なんかいいことでもあった?楽しそうだね!」皮肉たっぷりに言ってやった。
別に無いよと言う糸色くんに、正直ほっとした。
泣きそうだった。

半ばその場を逃げた。
調査を重ねて、セクロスなんとかのバーでの名前を知った。
ここあ、というらしい。(※偽名)

夕方、再びバッグヤードですれ違う。

「ここあ好き?」できるだけ感情を沈めて聞いた。

「はっ!?」想像どおりの反応が返ってきた。
すかさず「ココアはココアだよ!今の時期アイスココアがおいしいよね」と言い直した。

「あ、ああそうだな。」と糸色くんは肩をなでおろした。
なんだか少しかわいそうになった。
わたしは憂鬱な気分でその日、家に帰った。



378:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 20:47:24.89 ID:AbrDdVY30

糸色くんは昔少し付き合っていただけの人であり、今はもう何の関係もない。
その糸色くんがコスプレっ娘のいるバーに通おうが、たとえ風俗に行こうが彼女をつくろうが、
何も悪いことではないのだし、ましてやわたしが口出していいわけがない。

よっぽど気に入っているんだろうということもわかる。
万が一、彼がここあに恋愛感情を抱いているとしても、仮に付き合うことになっても、わたしは何も言っちゃいけない。
それくらい理解できている。

むしろ糸色くんが楽しいのなら、糸色くんが笑顔で過ごしているのなら、それはわたしのしあわせでもあるじゃないか。

そう自分に言い聞かすしかなかった。



379:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 20:51:30.73 ID:AbrDdVY30

本音を言うと、メイドバーに乗り込もうかとも思った。
でも、ぐっとこらえた。
なみ先輩が頼んでくれた、糸色くんがくれるというメール・・・今はそれをただひたすら待つしかないんだ。

いまごろ先輩と呼ばれ、ちやほやされていい気分でいるのかな?
そう思うとやりきれなくて、身が引きちぎれそうだった。

デスクの横には空の缶チューハイが山積みになっていた。
アルコールに頼らないと精神を保てない自分になってしまったらしい。



380:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 20:53:55.36 ID:AbrDdVY30

そしてまた糸色くんのツイートが更新された。
どうやらここあの具合が悪いらしく、それを気遣うツイートだった。

わたしが調子悪くても、安静にしとけの一点張りだったのに。

むりだ、もうがまんできなかった。



381:名も無き被検体774号+:2012/06/09(土) 20:54:59.88 ID:VM+aj5OQ0

うむ……見入ってしまう



382:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 20:56:52.99 ID:AbrDdVY30

一夜が明けた。

からだがだるい。服も着ていない。
深夜、あれから何があったのか思い出した。

ここあを気遣う糸色くんのツイートを目にしたあと、わたしは耐えきれず糸色くんにメールを送った。
ミスチルのアルバム買ったよ、貸そうか?ってメールした。

このときのわたしは、ただ返答がほしい、それだけだった。
女の子と仲良くしても仕方ない、同じようにその友達の一人として扱ってほしかった。

メールの返事は来なかった。もう寝たのだと思った。
わたしも寝ようと思って布団にもぐり、最後にもういちどツイッターを開いた。

糸色くんのツイートが新しく更新してあった。



383:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 21:04:07.72 ID:AbrDdVY30

[おいww何デレてんのwwここあ後輩よ、なにはともあれ大事にしろよ。]
[明日からの●●(※県名)も無理すんなよ!写真撮ったら見せてな、じゃあまた次の出勤の日に。]

ここあの返信も見た。
[ドリンクと熱冷まシートさんくすでした、また元気な姿でお会いしたいでつ。]

その瞬間、からだの奥が熱くなるのを感じた。
また息苦しくなった。
天井がぐるんぐるん回った。

震える指で再度、糸色くんにメールを送った、好きなんですか?って送った。
当然のように返事は無い。
それが答えだと思った。

返事くれないから手首切る、そう打ってもう一度メールを送った。

気を引きたかった。心配してくれたらそれでよかった。
一言、落ち着けと言ってほしかった。



384:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 21:05:23.98 ID:AbrDdVY30

結局返事は来なかった。
死にたければ勝手に死ね、そういう意味だと思った。
おまえは俺にとって障害でしかない、過去の黒歴史。そういう意味だと・・・思った。



385:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 21:09:07.78 ID:AbrDdVY30

呼吸の乱れはおさまりつつあった。
いままでのわたしの気持ちはなんだったのだろうと、ただただ虚しさでいっぱいだった。
ふらつく足元で、コンタクトを外した裸眼のまま、鍵も締めずに外に出た。

コンビニで飲めやしないハイボールに手をのばした。
かごいっぱい詰めてレジに置く。ありがとうございました、と言われて泣きそうになった。

そういえば今日も職場で、従業員の人たちに元気になった?と聞かれた。
数日前のことを今でも気にしてくれていたんだ。もう大丈夫ですと返したら、よかったねええ!と笑顔を向けられ、うれしかったのを思い出した。

わたしは恵まれている。かわいがられ、愛情をめいっぱい受けて育った。
真っすぐに生きてきたはずだった。

気づけば一缶飲み干していた。
ほぼ一気飲みだった。苦く辛く、どうしようもないくらいまずかった。
すぐに次の缶を空け、口に運んだ。

えずきながら、吐きながら飲んだ。
もう飲めなかった。

右腕の長袖をまくって洗面所に移動した。白く怪我ひとつない腕だった。
剃刀を握って、手首に当てた。思い切って肉に押し付けた。



386:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 21:12:34.31 ID:AbrDdVY30

親の顔が浮かんだ。
大切に育ててくれた。
いろいろあったけどわたしも母が大好きだった。大切だった。
いつも守ってくれていた。このからだは自分だけのものではなかった。

おじいちゃんの優しい顔も、おばあちゃんの暖かった手のひらも思い出した。

剃刀は音を立てて浴室の床に落ちた。
手首には押し付け跡が残るだけで、切り口ひとつとして無かった。

部屋に戻りベッドに倒れこんだ。
酔いのせいか酷くからだが重たかった。

最後に糸色くんの笑顔を思い出して、声を上げて泣いた。
悲鳴にも近い泣き声だった。

熱くて暑くて着ていたものを脱ぎ捨てた。

全身があせでびっしょりだった。いつのまにか眠りについていた。



387:名も無き被検体774号+:2012/06/09(土) 21:19:25.20 ID:quw39ADS0

俺が糸白だったら耐えられんなww



388:名も無き被検体774号+:2012/06/09(土) 21:21:46.66 ID:QAEZSPtrO

糸色もずるいなー ちゃんとしてからやりゃいいのに



390:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 21:30:24.78 ID:AbrDdVY30

5月27日。わたしはとても落ち着いていた。
いつもと同じように仕事に行って、お客様に笑顔で接客して。
そして閉店業務を終え、向かった先は何度も通った糸色くんのマンション。

部屋の前に立って、糸色くんにメールを送った。

「ドアの前にいます。渡したいものがあって来ました。」



391:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 21:35:17.27 ID:AbrDdVY30

この日も静かな夜だった。

メールを送信して2分くらいで、ドアの内側からノックする音がした。
身構えると、糸色くんが部屋着で出てきた。

わたしはすぐに謝った。

「ごめん。アポ無しで来て・・・。」

糸色くんは携帯をわたしに見せながら、
「アポなら今くれたじゃん。」って言った。



392:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 21:39:12.73 ID:AbrDdVY30

ごくりと唾を飲みこんだ。
覚悟を決めて、切り出した。

「けじめを、つけさせてください。」

声が震えた・・・。
糸色くんがわたしを見ている。
あの、大好きな糸色くんと、今わたしはこうして会っている。

これは本当に本当に、最後なんだ。



393:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 21:44:35.89 ID:AbrDdVY30

ぽつりぽつりと、ひとつの言葉を噛みしめながら話した。
本当はなみ先輩が頼んでくれたメールを待っていたかったこと。
でも、もう限界だったこと。

糸色くんを好きでいると、死んでしまいたくなるくらい辛いということ。
本当に大好きで大切な人、その気持ちは今も変わらないということ。
でも、もういいいってこと。

糸色くんは、ただ静かに、わたしの話に耳を傾けてくれていた。



394:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 21:49:02.22 ID:AbrDdVY30

ここあって誰なのさ、好きなの?いいかんじなの?
なんでメールの返事くれなかったの?わたしが死んでもいいの?

そんな野暮なことは聞かなかった。
そんなこと言うくらいなら、ありがとうの気持ちをひたすら伝えたかった。

「あと・・・これ、返すね。」

わたしは二冊、糸色くんから借りたままだった本を返した。

「それと、もう一冊・・・」

夕焼けの写真が表紙に印刷してある本。
最後にそれを渡した。



395:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 21:53:12.66 ID:AbrDdVY30

それは糸色くんと出会ってから、今日までの約半年間。
自分たちのことを小説にした、わたしの手作りの本だった。

表紙を見た糸色くんは、なるほど創作意欲ってやつね。と呟いた。

「わたしが帰ってから、あとで読んでね。」

渡したいものを渡した。
もうお別れしなければならなかった。



396:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 22:02:12.77 ID:AbrDdVY30

「じゃあ・・・。」

わたしがそう切り出すと、糸色くんは背筋をのばして、しっかりと正面から向き合ってくれた。
真っすぐと顔を見た。
目を見た。わたしの好きな糸色くんだった。

目頭が熱くなって、零れ落ちそうになる涙を必死にこらえながら、わたしは笑顔を作った。

「最後くらい、笑ってお別れしたいよね!」

くちびるが震えていた。

糸色くん何も言わなかった。糸色くんも笑顔だった。
けど、目線が斜め上にいってた。
その目は潤んでいるように見えた。
本当に、そう見えただけかもしれないけれど、糸色くんも何かを耐えているようだった。



397:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 22:10:51.97 ID:AbrDdVY30

そんな糸色くんを見て、わたしはもう限界だった。
これ以上ここにいたら、また恋しくなってしまう。
離れたくなくなってしまう。

そんなことを思っていると、糸色くん、わたしに手を差し出してきて、言った。

「最後ってことで。」

でも、その手を握ることは、わたしにとってはとても酷なことだった。

「ごめん、できない。」

下を向いた。
一気に言った。

「今までありがとう、元気でね!ばいばい!」

手を振って走った。
気をつけてなー!と言う糸色くんの声が後ろから聞こえてきた。
走りながら、もう我慢できなくなってわんわん泣いた。

後ろは振り返らなかった。



398:まとい ◆V1v9uyq99Q :2012/06/09(土) 22:17:26.20 ID:AbrDdVY30

話は以上となりますwwww
長々とお付き合いいただき、本当にありがとうございました!!

悔いの残らない、本当にすっきりとしたお別れをすることができました。
約10日経ちますが、あれからわたしは泣いていません。
もう糸色くんを追いかけることはないですwww

相変わらず好きなままではありますが、時間がどうにかしてくれると思っていますwww
糸色くん幸せになってねコノヤローww



402:名も無き被検体774号+:2012/06/09(土) 22:21:28.23 ID:WofUkGWz0

こんな叶わない恋辛すぎるー!!!メンヘラになってしまうのも仕方ない(´;ω;`)



399:名も無き被検体774号+:2012/06/09(土) 22:19:47.26 ID:R2gCfw4RO

乙!マジでドラマみたいな恋だ…
>>1の潔さに敬礼



401:名も無き被検体774号+:2012/06/09(土) 22:21:04.41 ID:siCremIM0

>>1もお幸せに






7 件のコメント:

  1. オタク?にわかの間違いだろ

    返信削除
  2. くせえくせえ

    返信削除
  3. なげー
    誰か産業でオナシャス

    まあ女がビッチってことくらしかわからんな

    返信削除
  4. どいつもこいつも気持ち悪いな

    返信削除
  5. 一応サラっと全部見たけどライター臭がする
    素人の割には文章がきれい

    返信削除
  6. 気持ち悪いなー

    返信削除
  7. ホントにいたら俺も引く。

    話を聞かないにも程がある。

    返信削除