1:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 00:55:25.68 ID:buIvxB9f0
垂れ流したい。
私が言う「好き」は家族として、友達として、動物的な愛でもっての好き。
別に性的な目で見てる訳では無いので。
2:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 00:57:36.66 ID:buIvxB9f0
それまでは普通に普通の姉妹だった。
むしろ中3の頃は1年に渡る猛烈な喧嘩をしていた。
気付いたら仲直りをしていて、それまでしたことの無かった買い物などにも行くようになった。
たぶん、私が高校に入りバイトを始め、お金を使って遊ぶことを覚えたからだと思う。
その頃妹は中1で、ちょうどおしゃれなどに目覚め始める時期。
そんな妹とする買い物は楽しかった。
給料日は必ず妹と買い物→外食の流れだった。
他の休日も長い時間を妹と一緒に過ごした。
3:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 00:59:26.75 ID:slQSp/dIP
4:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 01:00:16.48 ID:buIvxB9f0
私には友達と、小さいころからスポーツをしていたのでチームメイトも居た。
けれど妹には友達が一人しか居なかった。
あとで知ったのだが、妹は学校でいじめられていた。
そんなこととは露知らず、私と妹はせっせと2人で遊んでいた。
5:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 01:00:55.47 ID:oRZH59Kj0
6:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 01:03:34.12 ID:buIvxB9f0
「私が」ってことなら無しだね
擁護愛→家族愛って感じかな
私が部屋で勉強していると、必ず遊びに来た。いっときさんを連れて。
いっときさんはうちで飼ってるオカメインコ様だ。
いっときさんを連れて行けば勉強中といえど、鳥狂いの私ならば相手をしてくれると考えていたらしい。
私は見事にその策にはまり、テストは散々な結果に終わっていた。
でもそんな妹も大好きだった。
分かりきった策を用いる妹の馬鹿さ加減が可愛い。
7:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 01:07:32.22 ID:buIvxB9f0
私の太ももに両腕をひっかけて、足を体育座りにしてる状態。想像できるかな?
「あったかーい」
とか言ってずっとはさまっていた。
私は机に向かって勉強している訳だから、妹は机の下に入ってることになる。
某お化けみたいでちょっと怖かった。
8:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 01:09:40.03 ID:buIvxB9f0
毎日では無いけど、頻繁に一緒に入ってた。
頭を洗ってあげたり、背中を流してもらったりした。
母も時々一緒に入ってた。
というのも私が小さい頃、母は貧血気味だったせいで風呂場で倒れたことがあった。
それ以来家族みんなでお風呂に入るのがお決まりになった。
兄と親父は除外。
9:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 01:12:39.06 ID:buIvxB9f0
何度も言うが別に性的な意味ではない。
その頃の私はガリガリのヒョロヒョロだったので、子供の割に豊満な身体の妹が羨ましかった。
今では私の方が豊満だけど。豊満すぎるけど。
妹が中2になった頃にはすでに私よりセクシーだった。
綺麗な身体をさらに綺麗にしてあげてると思うとワクワクした。
妹には女の色気があった。
ちなみに私はワクワクしながらも完全に負けたと思ってた。
10:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 01:13:30.16 ID:oCsx/juy0
12:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 01:15:49.64 ID:buIvxB9f0
私が音楽を流すと、妹は興味深げに聞いていた。
私が流すのはJ-POPでも洋楽でも無いいわゆるおまいらが大好きなゾーンのもの。
だと思う。
「不思議なこと言ってるね」
「愛ってな、重いんだよ」
「そうなの…」
その時流してたのは「放課後ストーキング」
今考えれば中学生の妹にこんなの聞かせてるお姉ちゃんって死ねば良いと思う。
15:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 01:17:50.82 ID:plDiQNFr0
16:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 01:19:23.75 ID:buIvxB9f0
夏は麦茶、冬は緑茶。
勉強してるはずなのに、妹とそうやっていると心地良かった。
一時間おきに休憩をして、一緒にクッキーやチョコを食べた。
冬は羊羹を食べる率が高かった記憶がある。
緑茶に良く合うんだ。
17:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 01:23:13.01 ID:buIvxB9f0
当時はまっていたのはFFⅩ。
300時間以上やり込んでいた。
私がリビングで寝そべりながらやっていると、必ず隣に妹が寝そべってきた。
冬はみかんを剥いて食べながら、テレビの画面を見ていた。
時々剥いたみかんを私の口に入れてくれた。
今でも時々みかんを食わせてくることがあるんだが、未だに言えずにいる。
みかんの繊維が苦手なこと…。
18:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 01:26:26.47 ID:buIvxB9f0
どうしたのかと聞いても何も言ってくれない。
1時間、2時間、とずっと妹のそばに居た。何か言ってくれるまで待った。
そしてようやっと話してくれた。
「マフラー壊された…」
妹の通学バックの中からゴミが大量に、ボロボロの教科書。
そして私と母で作った原型の無いマフラー出てきた。
詳しく聞くと、妹の唯一の友達のあみちゃんと妹はクラスの男子にいじめられてるらしかった。
ゴミを投げられたり、酷い言葉を言われたり。
給食をひっくり返されたり。デフォルトのようないじめの数々。
毎日のことで今更気にしないようにしていたが、さすがにマフラーをボロボロにされたのは応えたらしかった。
19:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 01:29:50.64 ID:buIvxB9f0
あみちゃんの家の両親も共働きで帰ってきて無かった。
あみちゃんには兄が2人いるのだが、二男の方の兄はボロボロだった。
どうやらあみちゃんを守るのに怪我をしたらしい。
二男くんもヒョロヒョロガリガリだった。
長男の方は進学校に通っており、その日の帰宅も遅かった。
とりあえず二男くんとあみちゃんの話を聞いて私は家に帰った。
20:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 01:32:30.61 ID:buIvxB9f0
もちろん今は妹とあみちゃんが通っている。
その日は二人、学校を休ませた。
私は武装していた。
私が小さいころからやっていたスポーツはアイスホッケー。
スケート靴とスティック以外の防具を身に着け、学校へ向かった。
田舎だし、通い慣れた学校だったし、誰にも見つからずに潜入するのは容易だった。
21:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 01:33:18.07 ID:6XFqYG6s0
支援
22:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 01:34:56.68 ID:buIvxB9f0
私は教室の目の前でうずくまった。
緊張で心臓が爆発しそうな気がしてた。
もしかしたら通報されて逮捕されるかもしれない。怖いな…。
いろいろ怖かったけど、妹がいじめの末に自殺、なんて結果よりは怖くなかった。
意を決して、私は教室の扉を一気に開けた。
23:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 01:36:49.06 ID:buIvxB9f0
精一杯の声を張り上げる。
チョークを持ったまま硬直してる女教師、きょとんとする生徒たち。
「どいつなんだよ!田村!伊澤ぁ!」
女子たちが目配せをした。
その女子たちの様子から、妹のいじめが常習だったのが良く分かった。
視線の先には見るからに田舎のDQNっぽいのが居た。
24:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 01:40:01.70 ID:buIvxB9f0
「私は佐藤です。佐藤まなみの姉です」
きょどる教師を無視して私はDQNの前に立つ。
ニヤニヤしていた。
「お前、うちの妹の教科書とマフラーボロボロにしただろ」
「は?してねーすけどw」
「…うそつきはしね」
生まれて初めて人を殴った。
我に返ったのか、女教師がテンパりながら私を止めた。
そこで私は名札を確認した。私が殴ったのは田村だった。
田村は私を殴り返してきた。
頭はヘルメットでばっちり守っていたせいか、腹を狙ってきた。
けど安心。ホッケーの防具は全身を守るようにできている。
隙間もあるけど、ホッケーの経験者じゃなきゃ、どこが隙間になってるか分からない。
おかげで田村のパンチは少しも効かなかった。
25:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 01:40:09.84 ID:Ui8yObga0
26:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 01:43:29.96 ID:buIvxB9f0
私は2発、3発と田村の顔を殴った。
騒ぎを聞きつけた他のクラスの女教師が来て私を抑えた。
田村を見ると鼻血を出していた。伊澤は殴れなかったが、とりあえず満足。
私はそのまま指導室に連れて行かれた。
在学中は一度も来たこと無かったが、卒業してから来ることに。
「良いですか!!ここに居てください!」
安易な女教師二名。
私を一人にしてどこかに行った。
けど逃げるつもりも無かったので、私は誰かが来るまで防具をはずしていた。
というか殴ったこととか今後のこととか考えると、足が震えて逃げれなかった。
やって来たのは川村先生だった。
私が3年のころの担任。
27:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 01:46:26.26 ID:6XFqYG6s0
28:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 01:46:51.14 ID:buIvxB9f0
冷静にことの経緯を話した。途中で教頭も来た。
全部あいつらが悪いといった感じで説明した。
川村先生も教頭も口を挟まずに聞いてくれた。
「半殺しにしてやろうと思ったんだけど失敗しちゃった」
「失敗して良かったよ馬鹿たれ」
警察が来るかとハラハラしたが、来たのは母ちゃんだった。
私を見るなり一発、強烈なビンタをかましてきた。
先生と母ちゃんに先に帰ってろと言われ、とぼとぼと帰宅。
家で妹は私の大好きなゲームをやっていた。
「レベル上げておいたよ」
29:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 01:50:07.31 ID:buIvxB9f0
「……迷惑かけてごめんなさい。でもあいつらが悪いんだし殴ったことは謝らないからね!」
とりあえず言い訳。
どう怒られるかヒヤヒヤした。もしかしたら家を追い出されるかもしれない。
そんな私の不安をよそに、母ちゃんは私と妹を同時に抱きしめてくれた。
「まぁもなぁも大変だったね。まぁのこと気付いてあげれなくてごめんね」
妹はわんわん泣いてしまった。
「なぁもありがとうね、ちょっと…いや、だいぶやり方は悪いけど」
私も静かに泣いてしまった。
31:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 01:52:46.93 ID:buIvxB9f0
いつもはあんまり話さない親父だったが、今日もあまり話さなかった。
ただ少しだけ。
「やり方は最低だったが、父ちゃんはお前を誇りに思うよ」
それから
「お前がやらなかったら父ちゃんがその男子を殺していたかもしれないな」
と。
それだけ言うと、私の作ったカレーをぱくぱく食べていた。
ちなみに母ちゃんも仕事をしているので晩飯は私の担当だった。
妹は料理ができないけど、お菓子作りは得意だったのでデザート担当。
30:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 01:50:35.51 ID:Ui8yObga0
ネタじゃないなら素直に尊敬する
32:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 01:55:18.25 ID:buIvxB9f0
当時すでに痛いほどのシスコンだったもんでw
正義を大正義としてかざす痛い性格も手伝ってそうなってしまった。
後日、今回のことがどうなるのか不安がっていたが、割と何も無かった。
田村と伊澤の両親は思いのほかまともだった。
両名は家に帰ると両親にボロッカスにやっつけられたらしい。
聞けば両家ともに警察なんだとか。
それを紋所のように使い妹とあみちゃんをいじめてたらしい。
母ちゃんと私とで両家に謝りに行くと、逆に謝られた。
来させてしまって申し訳ないって。
るんるん気分で家に帰った。
33:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 01:58:54.82 ID:buIvxB9f0
時々、あみちゃんも交えて遊んだ。
私の大会なんかがあって県外に行くと、必ずついてきた。
なぜかあみちゃんの家族も。
他のチームメイトの家族と一緒に、チームの旗を振って応援してくれた。
私はあんまり活躍できなかったけど。
34:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:00:04.70 ID:buIvxB9f0
ずっと行きたがっていた県内では有名な女子高に受かっていた。
私と違って脳みその出来は良かった。
車と免許を手に入れた私は、毎日と言ってもいい頻度で送り迎えをした。
運転に慣れてきたころ、あみちゃんも乗せるようになった。
35:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:00:51.05 ID:buIvxB9f0
自車校+車と大学の費用、どっち出してほしいか親に聞かれたので前者を選んだ。
いつまでもホッケーのお金を払ってもらう訳にはいかないし、車も買ってもらえるなら前者の方が良かった。
そんなこんなで一緒に通勤通学をしていた。
36:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:00:58.84 ID:T7gn95QpO
39:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:05:09.85 ID:buIvxB9f0
37:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:01:54.64 ID:Ui8yObga0
39:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:05:09.85 ID:buIvxB9f0
ありがとう
通勤通学は一緒だったが、妹には新しい友達が出来て私と遊ぶ時間が減った。
といっても私も就職したばかりで右も左も分からない状態。
ちょうど良かったのかもしれないが、やはり少し寂しかった。
仕方がないのでいっときさんに癒してもらっていた。
いっときさんの元気がないことに気付いた。
私は慌てて母ちゃんに言った。
「もうこの子もおばあちゃんだもんねぇ」
気付けばいっときさんももう17歳なのだ。
妹より一つだけ年上だからそのはずだった。
私が就職してから、いつものお世話をしているのは母ちゃんだった。
こんな大切な変化にも気付かなかった。
38:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:04:18.90 ID:7p4oeOHw0
40:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:07:22.49 ID:buIvxB9f0
ありがとう
その変化に気付いた途端、胸が締め付けられるような感じになった。
いっときさんをずっと抱っこしていた。
抱っこされたまま、いっときさんはほとんど飛んだりしなかった。
丸くなって、静かにしていた。
あまり遅くまで起こしておけないので部屋に戻してあげる。
そのまま止まり木に上らず、地べたで丸くなっていた。
いよいよ近いのかもしれないと思って、さらに胸が痛かった。
41:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:09:47.67 ID:buIvxB9f0
その日は妹と一緒にお風呂に入り、妹と一緒の布団に入った。少し狭かった。
「姉ちゃん大丈夫?」
「うん…まぁは大丈夫?」
「ちょっと怖い」
「だよねぇ…」
私と妹は小さい頃もこうやって一緒に寝ていた。
昔の妹は極度の寂しがり屋で、私に手を繋いでくれとせがんできた。
私はそれが煩わしくて、受け流していた。
いつ頃からだったが、布団の中で背中をかいてもらうようになった。
自分の手が届かないところをカキカキとしてもらった。
そのお礼に私は手を繋いであげていた。
42:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:12:06.71 ID:buIvxB9f0
「それはまぁが言ってたことじゃんか」
「今日は姉ちゃんがつないでもらいたそうだったから」
「そばで誰かが寝てくれるだけで安心だよ」
妹とゆっくり話してると落ち着けた。
いっときさんは、それから1年後に永眠した。
平均寿命より長く生きてくれて、大往生だったと思う。
いっときさんは庭に埋めた。
うちの庭には良くスズメが来る。いっときさんの古いご飯を求めて。
いっときさんも庭なら寂しくないはずだ。
45:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:14:56.63 ID:buIvxB9f0
妹は県外の、それもとても遠い大学に行ってしまった。
受験の時、私は本当に嫌な人間になっていた。
妹が落ちれば良いと思っていたから。
妹の夢は応援したいけど、そばに居ないのは不安で仕方ない。
もしも遠くの地で何かあっても、すぐには助けに行ってあげられない。
しかも彼女が行こうとしているのはそれはそれは都会だ。
いろいろ治安が悪いかもしれない。
そんなところに行ってほしくなくて、それとなく妹に伝えたが、伝わらなかった。
結局頭の良い妹はすんなり合格し、行ってしまった。
43:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:14:28.78 ID:T7gn95QpO
46:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:17:19.97 ID:buIvxB9f0
44:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:14:40.57 ID:1AjE8QRL0
由来はわからんが可愛い名前だね
46:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:17:19.97 ID:buIvxB9f0
私が間違って「鴇だすげー!」って言ったのが由来w
私の勘違いもひと時だろう…という。
私が会社にも慣れて少し偉くなった頃、妹が大学生になった。
妹は県外の、それもとても遠い大学に行ってしまった。
受験の時、私は本当に嫌な人間になっていた。
妹が落ちれば良いと思っていたから。
妹の夢は応援したいけど、そばに居ないのは不安で仕方ない。
もしも遠くの地で何かあっても、すぐには助けに行ってあげられない。
しかも彼女が行こうとしているのはそれはそれは都会だ。
いろいろ治安が悪いかもしれない。
そんなところに行ってほしくなくて、それとなく妹に伝えたが、伝わらなかった。
結局、頭の良い妹はすんなり合格し、行ってしまった。
47:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:17:50.43 ID:buIvxB9f0
でも寂しいのは妹も同じだったらしく、初めての休みはすぐに帰ってきた。
私は妹とドライブに行ったりして楽しく過ごしていた。
日帰りで温泉に行き、ゆっくり浸かって帰った。
私は趣味で、あくまで趣味の範囲なのだが、物作りをしていた。
でもそんなに上手では無いので、出来上がったものを家族に見せたりしたことは無かった。
しかしその日はお酒も入ってか、久しぶりに妹と話せたからか、その嬉しさの延長で妹に作ったものを見せてみた。
なぜか妹は喜んでいた。
48:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:20:06.28 ID:buIvxB9f0
「何が?」
「こうやって隠してたもの見せてもらえて」
「下手だから見せたくなかったんだよね」
「そんなことないよ!これ売れるよ!」
「売らないよw」
「…あのね」
「ん?」
「彼氏ができたんだ」
「( ゚д゚ )」
49:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:23:06.63 ID:buIvxB9f0
「ひゅって何w」
「( ゚д゚ )おへ、おめでとう」
「ありがとう」
「え、何、お前から?」
「うーん、お互い好きだったんだけど、なかなか言い出せなくてね」
「( ゚д゚ )ふむ」
「二人きりで出かけたいよってアピールしたら告白された」
「( ゚д゚ )んっ ひ」
「なに?」
「( ゚д゚ )……( ゚д゚ )……( ゚д゚ )……(`・ω・´)いや、おめでとう。良かったね」
「うんwありがとう」
複雑な心境だった。
素直に嬉しいけど、素直に憎い。
50:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:24:25.66 ID:buIvxB9f0
穏やかそうで、物腰の柔らかい話し方をする子だった。
話してみて不安が解消された。
妹は本当にいい人を見つけたんだと思えた。
ついでにエヴァが大好きらしかった。
それを聞いて、こいつは良い奴だとすぐに分かった。
そしてエヴァ好きゲームオタの私は一人身。
51:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:26:04.12 ID:buIvxB9f0
同じ苗字の友人だ。
「聞いてよ佐藤さん…妹に…彼氏ができたんだ…」
「良かったじゃん」
「良くないよー、良くないよー」
「いい加減、妹離れしなよ」
「できないよー」
私の一番の味方であり、一番の友人であり、最も大切な妹だ。
そんな簡単には離れられない。
52:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:26:47.25 ID:7MKAQ8cM0
53:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:29:17.96 ID:buIvxB9f0
それは無いw
「お前も彼氏作ればいいじゃないかー」
「男に興味なんざありません!」ドンッ
「きもっ」
「きもくなーいー!」
「分かった分かった!まぁ、なんだな、そのうち妹ちゃんも結婚するんだからさ、覚悟しておけよ」
「ぴー!!!」
「なんだよぴーって」
「ぴーーー!」
「うるっせぇなもう…」
邪険にはするけど優しい佐藤さん。
この人との付き合いも結構長くなる。幼稚園からの腐れ縁で。
さすがに職場は違うが、小中高と一緒だった。
54:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:29:49.50 ID:7p4oeOHw0
55:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:32:14.75 ID:buIvxB9f0
誰だwww
「それにしても不思議なもんだねぇ」
「何が?」
「あんなに派手に喧嘩してたのに、こんなに仲良くなっちゃって」
「あー、なんでだろうね、本当に気付いたらって感じ」
「気付いたらシスコンか。きもっ」
「もうあれだね、佐藤さんは私が何を言ってもキモいんだね?」
「そうだね」
「( ゚д゚ )」
あの1年に渡る喧嘩は本当に壮絶だった。
56:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:34:13.85 ID:buIvxB9f0
15歳なんて性欲の化身みたいなもんだ。
私たちはお互いの家でしっぽりむふふと楽しんでいた。
それを知った妹は私に
「気持ち悪い」
と言い放った。
私は好きな人と好きなことをしていて何が悪いのかと逆にキレてしまった。
確かそれが喧嘩の始まりだった。
それから妹はすごかった。
一切口をきいてくれない。
けれど攻撃の手は休めない。
57:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:36:18.79 ID:buIvxB9f0
歯磨きをしようと思ったら歯ブラシが捨ててあったり。
「なんで捨てるんだよ…クソが…」
ボソっと呟くと、母ちゃんが
「あんたのボサボサになってたから捨てたってよ?」
あとで確認したらなってなかった。
ゲームをしようと思えばメモリーカードだけ無かったり。
私は何もしないという抵抗をした。
というより、腹は立ったが恋人のことで頭がいっぱいだったし、何より少々後ろめたさがあったからだ。
58:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:36:47.97 ID:7p4oeOHw0
59:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:38:57.75 ID:buIvxB9f0
それは知らんかった
こんだけの嫌がらせをしてはくる。
けれど私と恋人のあいだで肉体関係があることを、妹は両親には絶対に言わなかった。
それもあって、私は妹に攻撃はしなかった。ていうか出来なかった。
結局その人とは1年経つか経たないかに別れてしまった。
それから妹の攻撃の手数も減り、気付けば話ができるようになっていた
60:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:40:36.10 ID:buIvxB9f0
「え?なに?」
「今考えてもお前が悪いよなそれ」
「わ、分かってるよ…だから罪滅ぼししてるじゃん」
「どんなこと?」
「買い物一緒に行ったり…ご飯おごったり…?」
「それはお前がしたいことだろうが」
「すみません…」
「ちゃんと大切にしろよ」
「へーい」
やっぱりなんだかんだ佐藤さんは良い人だ。
私のよき理解者。
61:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:42:16.85 ID:buIvxB9f0
こんなに帰ってくる学生が居るのかっていうくらい帰ってきた。
少なくとも兄は夏と冬しか帰ってこなかった。
そういう学生しか知らなかったので、これは嬉しい誤算だった。
彼氏に呆けることも無く、勉強も順調らしかった。
そんなこんなで、妹が無事就職した。
ずっと夢だった仕事に就けたので本人含めみんなで喜んだ。
そんな矢先、兄が倒れた。
62:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:43:55.90 ID:buIvxB9f0
実は兄もいじめられっこだった。
兄弟の中でいじめを経験してないのは私だけだった。
兄は私の言う事をあまり聞いてくれない。
酒を嗜むようになって、兄と飲んだ時こう言われた。
「まぁには分かっても、お前には絶対に分からないことだ」
と。
すごく傷付いたけどそれ以上に兄には深い傷があるんだと思い、何も言い返せなかった。
63:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:46:10.84 ID:buIvxB9f0
職場でのいじめは無かったらしいが、いろいろ辛いことがあるらしいことは母ちゃんから聞いていた。
私はその連絡をもらってすぐ、兄のいる場所へ向かった。
ぎりぎり最終便に滑り込み、海を渡った。
兄は自分のアパートに居た。
部屋は真っ暗で、ベッドの上で膝を抱えブツブツ何か言っていた。
「兄ちゃん?」
「……」
何を言ってるのか良く分からなかった。
64:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:49:45.46 ID:buIvxB9f0
「なんだあいつ…なんであいつ…俺は…俺は…あいつなんか……俺は……」
あいつ、と、俺、しか分からなかった。
私がいくら話しかけても応答は無かった。
翌日、母ちゃんも追いかけてきた。
結局、兄は実家に戻ることになった。
私は2日間だけ兄の家に居た。
しかし全く回復する様子が無かったので、仕方なく帰ってきていた。
それから1週間、母ちゃんは会社を休んで看病していたのだが駄目だった。
風邪とかそういう目に見える病気では無かったため、看病のしようが無かった。
兄をどうにかこうにか飛行機に乗せ、母ちゃんは帰ってきた。
65:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:51:34.52 ID:buIvxB9f0
初めての社会人、その環境に慣れることで手一杯だろうと考え言わないことにした。
兄を実家に戻して1か月後、貴重であろう休みを使って兄の上司の上司が訪れた。
こんな遠くに何しに来たのかと思った。
気になったので母ちゃんと話しているのをこっそり聞いた。
とんでもないことを聞く。
同僚が自殺したらしかった。
しかも兄も働くその場所で。
仕事がきついのは知っていた。嫌な先輩が何人か居るのも聞いていた。
でも自殺していた話は知らない。
こうなのだ。兄はこれなんだ。
大事なことだけは絶対に話さない。話してくれない。
66:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:53:38.83 ID:buIvxB9f0
それから1週間、兄はフラフラしていたそうだ。
そして突然倒れた。心労がたたってのことだろうと、上司が言っていた。
「彼に戻ってくる気があるのならばの話なのですが、自分たちは待っていますので…。こんな職場嫌がるかもしれませんが」
母ちゃんは深々とお礼をしていた。
正直、私はそんな会社に兄を戻させる気は無かった。
冗談じゃない。
67:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:56:25.62 ID:buIvxB9f0
「俺のやりたいことはあそこでしか出来ない」
とか格好つけて。
現在の兄は、家に来てくれた上司直属の部下になったそうだ。
そのおかげか精神的な意味で健康的に仕事ができているらしい。
その言葉を聞くまで、私と母ちゃんと親父はずっとハラハラしていた。
68:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 02:58:27.74 ID:buIvxB9f0
連休があるということで遊びに行く予定を組んだ。
今回も温泉。
久しぶりだったので、たくさん話をした。
運転しながら話を聞いて、温泉に入りながら話をして、帰りながら話を聞いた。
面白い先輩がいること。仕事が楽しくて仕方ないこと。
彼氏と今度、結婚の挨拶に行こうと考えていること。
69:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 03:01:13.73 ID:buIvxB9f0
「結婚…しようと思ってるの」
「けほ…」
「咳?風邪?大丈夫?」
「いや、噛んだ。結婚?」
「うん」
「お、おう…」
「もう付き合いも5年以上になるし、お互い落ち着いたし、そろそろ一緒になろうかって」
「…そっか」
「うん」
「……うん、おめでとう」
71:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 03:04:46.97 ID:buIvxB9f0
親父も母ちゃんも妹の彼氏のことは知っていたので、話はすんなりだった。
「不出来な娘だけど、よろしく頼むよ」
「不出来なことないです、素敵な人です。大切にします!」
妹から彼氏がいることを聞かされた時とは違い、この時は幸せなだけだった。
自然の流れで妹と離れて、少しは妹離れできたのかもしれない。
72:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 03:06:15.80 ID:buIvxB9f0
妹の知人友人も旦那さんの知人友人も、穏やかで優しそうな人が多かった。
良い人の周りは、良い人がたくさんいる。
安心して家を出せる気がした。
それから、その日、初めて親父と母ちゃんの涙を見た。
そして一昨日、姪が生まれた。
3000…何グラムだか忘れたけど健康。元気な女の子だそうだ。
妹が、妊娠が分かってすぐのころ、私に言ってくれた。
「名付け親になってほしいんだ」
旦那と話して決めたそうだ。
息子だったら自分が、娘だったらまなみとその家族で決めてよと。
3人目はみんなで決めよう、とも言っていたらしい。
「お前もう3人も産む予定なのかw」
「私、子供は3人欲しいの」
「なんで?」
73:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 03:07:21.36 ID:buIvxB9f0
「例えば?」
「2人だと、喧嘩したとき間に入る人がいないでしょ?3人だと誰かが仲を取り持ってくれるだろうし、社会も学べる」
「ふむふむ」
「それに、私と同じ3人兄妹が良い。きっと幸せになれる」
「…お前は幸せだった?」
「今も幸せだよ。姉ちゃん大っ嫌いだった時もあるけど、守ってくれたから。すごく嬉しかった」
「…どういたしまして」
「だから、娘だったときの為に名前考えておいてね」
「分かった、…頑張れよ」
「うん!元気な子産むから」
74:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 03:08:20.69 ID:buIvxB9f0
ある程度候補は決めているんだけど、嬉しさでふわふわしててそれどころじゃない。
おまいらに何が言いたいって、家族が増えるって素晴らしいぞ。
眠い、おやすみ
77:中村:2013/02/21(木) 12:24:02.62 ID:EVTq8Wqj0
75:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 03:09:01.58 ID:1AjE8QRL0
良い話をありがとう
おやすみ
76:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 03:14:59.19 ID:T7gn95QpO
1も幸せになれよ
79:名も無き被検体774号+:2013/02/21(木) 23:49:01.52 ID:jNA5cRc20
家族末長く仲良く
引用元:私と妹とその他諸々の話を聞いて欲しい。
びっぷらはなんか温くていいわ
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