1:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/08(金) 21:53:49.86 ID:BI+vmdn00
立つかな?
最近、思い出した昔話を聞いて欲しいんだ。
2:名も無き被検体774号+:2013/11/08(金) 21:54:43.27 ID:/+Iab5S10
4:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/08(金) 21:59:06.48 ID:BI+vmdn00
まあ、自分語りなんだから、聞いてくれよ。
5:名も無き被検体774号+:2013/11/08(金) 22:00:07.81 ID:FuXuW41Y0
6:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/08(金) 22:00:53.92 ID:BI+vmdn00
スペック
俺:『鈴木』と呼んでおく。勿論、仮名。もうすぐ40歳。
今は、嫁さんと二人の子供がいる。
これは、俺が20年以上前の、恋の話を思い出した、自分語りです。
7:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/08(金) 22:05:39.33 ID:BI+vmdn00
2チャンネルに詳しくないんだ。
失礼があるかもしれないが、悪気は絶対にないからな。
許してくれ。
8:名も無き被検体774号+:2013/11/08(金) 22:07:19.58 ID:EGKap1PdP
気にしなくていいよVIPのくそみたいなルール無視していいよお前のスレなんだから自由にやれよ
10:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/08(金) 22:10:20.00 ID:BI+vmdn00
>>8
ありがとう。優しいんだな。
さすが、ヌクモリティを大切にする人達なんだな。
11:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/08(金) 22:11:10.22 ID:BI+vmdn00
最近、高校時代からの友人から電話があったんだ。
久しぶりだったんで、近況の話で盛り上がった後、電話してきた理由を聞くと
『近いうちに高校二年のメンバーで同窓会があるので、出席するか?』
だった。
14:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/08(金) 22:24:27.40 ID:BI+vmdn00
友人は、その同窓会の幹事をしているらしかった。
都会にある高校を卒業してから、遠くの田舎に引っ越した俺。
懐かしかったが、仕事が忙しい・・・
俺
「悪いけど、遠いので欠席するよ。」
友人
「わかった。まあ、そうやろうな。
無理やと思ったけど、お前と話したかったから、一応聞いただけや。」
・・・(真木)・・・
彼女を思い出した俺は、ちょっとためらったんだけど、聞いたんだ。
「・・・真木(仮名)は出席するのか?」
友人
「いや、欠席みたい。あいつは、もっと遠い。確か神奈川に住んでるやろ。」
俺
「・・・そうか。」
友人
「何? やっぱ、今でも思い出すのか?」
俺は
「別に・・・」
と、エリカ様のようなことを言って電話を切った。
16:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/08(金) 22:31:33.51 ID:BI+vmdn00
俺は押し入れを探した。
段ボール箱から当時の日記が見つかった。
自分で見るのも嫌になるほど、汚い字の日記だったが読むと、あの恋が思い出された。
でも、あの『葉書』は見つからなかったんだ・・・
20:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/08(金) 22:49:30.25 ID:BI+vmdn00
俺が通っていた高校は共学だった。
ちょっと男子の方が多かったけど、殆ど男女半々。
二年の時の俺は、同じクラスの男女混ざっての7人グループで、いつも遊んでいた。
俺は短い休憩時間も長い昼休みも、この7人で好きな映画の話をメインにしていた。
今でも映画が好きだけど、その頃は完全にオタクレベルだったな。
そのグループの中に、真木(もう一度書くが、仮名)という女子がいた。
真木も映画が好きで、好みの映画も似ていた。
だから、特によく話をしていた。
25:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/08(金) 23:01:21.13 ID:BI+vmdn00
真木は、背は低いが髪は長い。
とにかく明るく、よく喋り、よく笑う。声も大きい。
デビュー当時の多部未華子が出たときに真木を思い出したので、顔は似ているのかもしれない。
気が小さく、チキンなハートの俺とは違うタイプだった。
高校二年生になって、すぐに同じクラスの男女混ざったグループに入り、俺も真木も、そのグループのメンバーだったので最初は異性としては見ていなかった。
でも、そんな真木に、俺は何故か好かれたようだった。
28:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/08(金) 23:12:01.23 ID:BI+vmdn00
しかし、真木は性格がサバサバしているというか・・・
まあ、都会の人間なので、サバサバはしているんだけど、度が過ぎているというか、サバサバの天然というか・・・
みんなの前で大きな声で「鈴木、好きやでー」なんて言う。
「私と付き合ってーやー」なんて、クラスで大勢の前で言われて、恥ずかしかったのは、今でも覚えているよ。
31:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/08(金) 23:22:07.93 ID:BI+vmdn00
ちょっとくらい恥ずかしがって欲しいよな。
告白ならば、二人きりの時に真剣に言って欲しいよな。
しかし、真木はそんな女子ではなかったんだよね。
当然、周囲からは冷やかされるんだよ。
そんなに仲が良くないクラスメートからもな。
からかわれるんだよ。
あんまり仲良くない奴から
「お前、真木とヤレるんじゃね?」
なんて言われるんだよ。
いじめられっ子ではなかったが、当時は厨二病・・・映画以外の趣味はエアガン・・・
ガンマニア。
女子に関してはチキンな俺。
からかわれると顔が赤くなって対応に困る。
37:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/08(金) 23:32:09.18 ID:BI+vmdn00
一緒に廊下を歩く時は、真木は腕を組んでくる。
制服の上から、腕に真木の胸が当たるんだよ。横胸が。
プニュっとなって、チラッと見たら真木の胸が俺の腕にくっついているんだぜ。
しかも、そっちの胸は反対側の胸より、少し膨らんでいるんだよ。
柔らけーと思ったのは覚えている。
周囲の奴等からは、モテるねー、なんて、からかわれるが、
実際の俺は、モテたことがないので、どう対応していいか分からない・・・・
俺は、うるさいなー、なんて言いながら聞き流すしか出来なかった・・・
38:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/08(金) 23:39:47.85 ID:BI+vmdn00
真木は、みんなの前では「好きやでー」、なんて言うのに、二人の時は言わないんだよ。
何故かな・・・
二人きりの時は、俺の好きな映画の話や、流行りの音楽の話ばかりしてくる。
俺は、真木が俺のことを本当に好きか分からなかった。
そして俺も、そんな真木の事を次第に好きになっていったんだ。
可愛いんだよ。本当に。
42:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/08(金) 23:49:58.75 ID:BI+vmdn00
ハッキリ言って、真木は可愛い。
二人っきりの時に、好きって言ってくれたら、俺も気持ちを伝える事が出来たのかもしれない・・・
・・・
いや、無理だったな・・・
真木の声、笑顔、優しさ、胸・・・
いつの間にか俺は、真木のことばかり考えるようになっていったんだ・・・
43:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/08(金) 23:56:41.27 ID:BI+vmdn00
夏休みになったある日。
夜、ガンマニアだった俺は、自分の部屋で一人で、ガスガンのベレッタM92Fをいじっていた。
部屋には大きな鏡があり、銃を握った俺は鏡に銃口を向けて自分を睨んだ。
気分は、ダイ・ハードのジョン・マックレーンか、リーサル・ウェポンのリッグスだ。
高二なのに、只の厨二病のアホだ。
45:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/09(土) 00:10:57.20 ID:3ntWvKbu0
そんな時、真木から電話があったんだ。
当時は携帯電話など無い。
電話をとった母親から、彼女?とからかわれた。
妹もニヤニヤしながら俺を見ている。
電話に出ると、
「近くの公園で友達と花火をしているから、鈴木も来い。」
とのこと。
受話器越しに聴こえる可愛い真木の声。
会話に関係なく、笑い声が聴こえる。真木も嬉しいのか?
夏休みに真木と会う予定をしていなかった俺は、真木の声を聞けただけで嬉しかった。
心臓がドキドキしたのが分かった。
直ぐにでも会いに行きたかった。
54:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/09(土) 06:25:37.96 ID:3ntWvKbu0
しかし、プライドだけは高い厨二病・・・
嬉しい気持ちを、にやけている母親や妹に知られたくなかったので
「行けたら行く。」、と不機嫌に冷たく言った。
それがカッコいいと思っていた。orz・・・
すると真木は、私服の鈴木が見たいから絶対来い、と言った。
命令形で言いながらも真木は笑っていた。可愛い・・・
俺も真木の私服が見たかった・・・
55:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/09(土) 06:38:48.69 ID:3ntWvKbu0
部屋に戻った俺は、スッゴいお洒落をした。
そりゃもう、何度も鏡を見て、自分を確認したよ。
と言っても、服装のセンスの無い俺には、ダイエーで母親に選んでもらった新品の服を着るくらいしか出来なかったんだが・・・
他に俺にできる お洒落って、歯を磨いて、耳掃除して、目ヤニをとって、服の小さなゴミを取るくらい・・・
それを何度もしてから家を出た。
公園に近づくまではスキップする感じでドキドキソワソワ、顔はニヤニヤ。
でも、公園に近づくと手をポケットに入れて、ゆっくり歩いた。
仕方なく来てやったんだぜ、って感じを出そうとした。
そして公園に着いたんだ。
58:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/09(土) 07:23:51.98 ID:3ntWvKbu0
公園に着くと、十人以上の男女がいた。
違うグループの奴等もいた。
みんな、はしゃいでいた。ビールを飲んでいる奴もいた。
・・・高校二年だぞ・・・
だが、そんな奴らはどうでも良かった。
俺は直ぐに真木を見つけた。
59:名も無き被検体774号+:2013/11/09(土) 07:27:04.08 ID:x6a4PG+GP
60:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/09(土) 07:36:56.69 ID:3ntWvKbu0
真木は俺を見つけると直ぐに笑顔で近付いてきた。
俺も嬉しかった。
真木の嬉しそうな可愛い顔を見られるのが嬉しかった。
でも・・・クールな表情を作った。
母親が買ってくれたジーパンのポケットに手を入れて、下を向いてゆっくり近づいた。
それがカッコイイと思っていたんだ。
64:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/09(土) 07:52:51.28 ID:3ntWvKbu0
真木は、ジーパンに白とピンクのシャツだった。
白いサンダルから見える白い素足、反則。可愛すぎ。
初めて真木の私服姿を見た。
着ていたシャツは制服より胸の谷間が見えた・・・
そこに目が行くのは仕方がないよな?
真木に会えて嬉しかった。
65:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/09(土) 08:01:53.13 ID:3ntWvKbu0
「遅い! もう線香花火しか無いよ。」
真木は、そう言うと、線香花火を俺に渡した。
俺は服装を笑われなくて安心した。
真木が「火をつけてよ」って言うので言われるがままに、火をつけた。
二人とも座って線香花火を見た。
周囲は暗いが、真木の横顔が線香花火で、明るく照らされていた。
66:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/09(土) 08:16:39.73 ID:3ntWvKbu0
真木は、線香花火を、無言で見ていた。
「線香花火って、なーんか悲しいよね。」
いつも明るい真木が、小さな声で言った。
俺は、
「線香花火の赤いとこって、メチャメチャ熱いよ。」
と、訳の分からないことを言った。
あの時の俺、死ね!
67:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/09(土) 08:32:10.01 ID:3ntWvKbu0
全ての花火がなくなり、急に周囲が暗くなった。
二人で、しゃがんで暗い地面を見ながら、他愛もない話をしていた。
俺は地面に木の棒で絵を書いた。
暫くして、真木が黙った。
真木が俺を見ているのに気が付いた。
俺も真木を見た・・・
69:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/09(土) 08:46:13.06 ID:3ntWvKbu0
二人とも、黙ったまま、見つめあっていた。
(今って告白するチャンスなのか?)
俺はそう思ってドキドキしていた。
71:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/09(土) 09:04:42.90 ID:3ntWvKbu0
「フフッ」
真木が突然、下を向いて笑った。
笑い終わった真木は可愛い目で俺を見て
「今、私のこと、好きになったでしょう。」
からかった感じの笑顔で言った。
(いや、随分前から好きなんですけど・・・)
そう思ったが、俺が言ったのは、
「調子乗んな」
だった。
おい!あの時の俺、本当に死ね!!
73:名も無き被検体774号+:2013/11/09(土) 11:35:34.26 ID:m8xI3FqO0
76:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/09(土) 12:55:55.30 ID:3ntWvKbu0
二学期になったら、俺と真木は一緒に帰るようになった。
朝は、俺は自転車通学、真木は電車通学。
帰りは、真木を自転車の後ろに乗せて、二人乗りで帰った。
77:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/09(土) 13:10:27.79 ID:3ntWvKbu0
よく真木は、後ろで歌っていた。
いろんな歌を歌っていたが、米米CLUBの『浪漫飛行』は覚えている。
78:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/09(土) 14:00:34.04 ID:3ntWvKbu0
帰り道の途中にある商店街の中のマクドナルドにもよく寄った。
マクドナルドに近づくと自転車の後ろに乗っている真木が
「はい、鈴木、止まって~。」
って、ギュ~ッと俺のお腹を両腕で抱きしめて言うんだ。
「おい止めろよ。苦しいだろ。」
って言いながら、そのハグが嬉しい。
真木の腕って細いのに柔らかい・・・
顔も背中に押し付けてくるんだ。
自転車を止めると手を繋いで、マクドナルドに入る。
80:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/09(土) 14:19:37.81 ID:3ntWvKbu0
カッコイイと思われたい俺は、飲み物はいつもコーヒー。
俺が今でもコーヒーが好きなのは、これがきっかけだと思う。
81:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/09(土) 14:35:26.54 ID:3ntWvKbu0
真木は二階奥の窓際のテーブルがお気に入りだった。
俺はどこでも良かったが、真木の喜ぶ顔が見たかったので、そのテーブルが空いていると嬉しかった。
そのテーブルが空いていると嬉しそうに走る真木。
その可愛い後ろ姿を見る俺。ゆれる長いストレートの髪が綺麗だった。
座ると嬉しそうに笑いながら俺を見る。
窓の外の商店街を歩く人を見ながら二人で長い時間 喋った。
82:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/09(土) 14:54:10.74 ID:3ntWvKbu0
この頃には、もう周囲から見たら完全に恋人同士のようになっていたと思う。
でもそれが、逆に付き合うキッカケをなくしていたんだ。
チキンだしな。
もし、告白して振られたりしたら今の状態も失ってしまうと思って、怖かったのもある。
83:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/09(土) 15:14:49.70 ID:3ntWvKbu0
そんな感じで、俺のヘタレが原因のまま何の進展も無く、二学期も終わりに近付いた冬の寒い日だった。
休み時間に、俺と真木は、また教室で冷やかされた。
真木が、俺から離れた所から
「なあ、鈴木。うちらは、いつ付き合うん?」
と大声で言ったことがキッカケだった。
84:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/09(土) 17:10:37.84 ID:3ntWvKbu0
但し今回は、いつもとは違った。
いつも以上に盛り上がってしまったんだ。
85:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/09(土) 18:02:07.49 ID:3ntWvKbu0
ちょっと、更新遅れるよ。
保守してくれると嬉しい。
86:名も無き被検体774号+:2013/11/09(土) 18:36:52.57 ID:IDK+/vUJi
恋なんて知らずにこの世からいなくなりそうだ
87:名も無き被検体774号+:2013/11/09(土) 18:38:54.71 ID:swXkVdft0
辛いだけだわ
90:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/09(土) 20:42:13.64 ID:3ntWvKbu0
>>87
そんな事言うなよ。
今の俺はつまらない人間だよ。
でも、そんな凡人にも、こんな恋愛が出来たんだよ。
それを読んで欲しいんだよ。
96:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/09(土) 21:04:01.82 ID:3ntWvKbu0
休み時間なのに、何故か担任の先生がいたのが原因だったんだろうな。
いつもなら、あまり話をしない他のグループの奴等も、俺と真木をからかってきやがったんだよ。
と言っても、ほとんどの奴らは俺を見ていたと思う。
そんな盛り上がりに対して、顔が真っ赤になってしまうチキンの俺の方が、からかい易かったんだろうな。
104:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/10(日) 07:45:56.23 ID:76QADz9/0
「お前ら、まだ付き合ってへんのかー?」
DQN風の他の男子グループが大声で言う。
笑いながら、俺を見ている女子グループ。
オタク系男子グループは、うるさそうな、羨ましそうな目でチラチラ見ている。
いつもは仲のいい奴らも、俺とちょっと距離をとって、ニヤニヤ見ている・・・
クラス中が、俺と真木をからかった。
そして、そのからかいは、クラス全員の「つーきあえー」の合唱に変わった。
105:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/10(日) 08:20:27.71 ID:76QADz9/0
「つーきあえー」
「つーきあえー」
いつもはバラバラで協調性のないクラスだが、この時は心が一つになっていた。
この意識を他のことにも使えよ・・・
手拍子付きで、みんなが囃し立てる。
106:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/10(日) 09:02:44.58 ID:76QADz9/0
後で聞いたが、この盛り上がりは、真木にとっても予想外だったらしい。
俺はどう対処したらいいのか判らず、椅子に座っていた。
(こんなの、只のいじめだろう・・・)
とも思った。
107:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/10(日) 09:29:12.80 ID:76QADz9/0
すると、俺から離れていた椅子に座っていた真木が立ち上がり、俺に近付いてきた。
皆、途端に合唱をやめて静かになって、ワクワクした目で俺と真木を見た。
先生も見ていた。
静まり返った教室。
(この空気、どうするつもりや?)
そう思った俺は、座ったまま真木を睨んだ。
109:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/10(日) 10:32:44.67 ID:76QADz9/0
真木は俺の目の前まで来て立ち止まった。
背中を丸め、真木を見上げる形で、無言で睨む俺。
笑顔だが、何かを決心したような強い目で俺を見る真木。
興味津々の目で二人を見て、静まり返るクラスメート。
何とも言えない緊張が教室を包んでいた。
真木が笑顔のまま、口を開いた。
「鈴木、立って。」
俺は言われるがままに立ち上がった。
真木を睨んだまま・・・
その瞬間、真木は目を閉じて、俺の唇にキスをした。
110:名も無き被検体774号+:2013/11/10(日) 10:33:13.06 ID:SB2vm1vD0
111:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/10(日) 10:42:38.79 ID:76QADz9/0
「うわーーーー!!!」
「キャーーーー!!!」
一斉に盛り上がる教室。
拍手する奴、
手で顔を隠す奴、
大爆笑する奴、
先生も腹を抱えて、教壇に肘をついて、顔を真っ赤にして笑っていた。
115:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/10(日) 11:05:09.10 ID:76QADz9/0
チキンな俺はもう、パニックだった。
皆が見ている・・・しかもファーストキス・・・
そんなキスを女子の方から された。
118:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/10(日) 11:31:30.64 ID:76QADz9/0
女の唇って・・・柔らかい。
顔が近づいてキスする前に一瞬、真木の鼻から出た息が俺の頬にかかった・・・
その直後、目を瞑った真木の顔が近づき、柔らかい唇が俺の唇に触れた・・・
唇がちょっと濡れていた・・・
突然だったために、俺は目を開けていて、目を閉じて近づく真木の顔を見た。
閉じた目、
顔にかかる息、
濡れた唇、
キスってエロい・・・
これがキスってやつなのか。
あの好きな真木にされた・・・
クラスみんなの前で・・・
120:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/10(日) 12:14:15.53 ID:76QADz9/0
チキン野郎のキャパを完全にオーバーしていた・・・
もうすぐクリスマスの寒い冬。
広い教室を温めるには十分とは言えない暖房器具しかない為に、外よりはマシ程度の温もりしかない教室。
吐く息が白い。
そんな寒さの中で、俺は汗をかいていた。
制服が汗を吸収し、更に体温を下げていたが顔は赤く熱くなっていた。
121:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/10(日) 12:28:08.46 ID:76QADz9/0
正直言って、逃げたかった。
妄想の世界に 逃げたかった。
映画「レッドオクトーバーを追え」のアレック・ボールドウィンはカッコよかったなー、なんて考えていた。
122:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/10(日) 13:16:43.91 ID:76QADz9/0
いつの間にか、教室は再び静まり返っていた。
みんなが無言で俺と真木を見ていた。
123:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/10(日) 13:19:57.43 ID:76QADz9/0
その時、動けなくなっている俺の横に座っていた女子が、俺の足を蹴って言った。
「ほら、次は鈴木が勇気出す番やで。」
俺の人格は、CIA情報分析官のアレック・ボールドウィンから、チキン野郎の鈴木に戻された。
124:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/10(日) 13:39:50.38 ID:76QADz9/0
俺は真木を見た。
ハッとした・・・
そこで、初めて真木が涙目になっていることに気が付いた。
真木は頬も赤くなっていた・・・
笑顔を見せていたが、いつもの明るい笑顔ではない。
どこか不安げだった。
強がって無理して作っている笑顔だった。
真木も相当、勇気が必要だったに違いない。
と、わかった・・・
(後に、真木もあれがファーストキスだったと教えてくれた。)
125:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/10(日) 14:04:52.80 ID:76QADz9/0
みんなが静かに注目する中、俺は真木の目を見て、震える唇で小さな声で言った。
「・・・付き合って下さい。」
「おう、ええで!」
と、真木は泣きそうな笑顔で、大きな声で言った。
その直後、二度目の拍手と大爆笑が起こった・・・
126:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/10(日) 14:27:16.69 ID:76QADz9/0
こうして、俺達は付き合うことになった。
真木とは高校を卒業しても付き合った。
128:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/10(日) 14:50:26.40 ID:76QADz9/0
しかし高校を卒業してから、会う回数が減って、別れを言うことなく自然消滅という形で終わった。
そして、確か23か24歳になった頃、真木から写真付きの『葉書』が届いた。
真木が知らない男と写っており、懐かしい可愛い丸字で
「私達、結婚しました。」
と、書かれていた。
名字も「真木」ではなくなっていた。
住所も、遠い神奈川県になっていた。
129:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/10(日) 14:58:05.44 ID:76QADz9/0
その葉書には住所も電話番号も書かれていたが、真木には連絡をとったりしなかった。
自然消滅の後は会ったこともない。
そして、その葉書もいつの間にか無くなっていたようだった。
130:鈴木 ◆uJFH.hFUyI :2013/11/10(日) 14:59:27.80 ID:76QADz9/0
以上が俺の過去の恋話。
大したオチもなくてスマン。
でも、今も浪漫飛行を聴くと思い出すことがあるんだ。
ふと、思い出し、読んで欲しくなった。
最後まで読んでくれてありがとう。
おわり。
131:名も無き被検体774号+:2013/11/10(日) 15:30:58.41 ID:vX/1Z8xF0
132:名も無き被検体774号+:2013/11/10(日) 15:32:05.22 ID:vDivO4Xp0
こんな恋愛したかったよ…w
133:名も無き被検体774号+:2013/11/10(日) 16:20:33.00 ID:Yyhw7Tn50
135:名も無き被検体774号+:2013/11/11(月) 00:07:03.82 ID:XvzvUfCQ0
引用元:高校生の時って、いい恋したよな?
詳しくないって言ってるのにとりつけられるんだな
返信削除詳しくないのに一言目が「立つかな?」だしな
返信削除