1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:11:30.45 ID:C1ryJ9vt0
2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:11:56.37 ID:KjXWqmGu0
4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:12:20.50 ID:sChWnGQQ0
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:12:22.77 ID:aahQcbtc0
6: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】(1+0:15) :2012/09/27(木) 22:12:39.68 ID:hf783LXV0
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:12:56.06 ID:a8DlZqQI0
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:13:34.51 ID:jASXD8Pq0
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:14:59.82 ID:B9dA6QRN0
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:17:00.57 ID:J07Kt5uB0
夏休み。私は休みを利用して久しぶりに実家のある長野県へと帰ってきた。
普段は東京で働いているのだが、実家は山あいの町。
気温は高いが湿度は低く蒸し暑くない。
左右にはアルプスが走り、絶景を作り出している。
都会に比べとても快適な気候と、久しぶりの故郷に嬉しさを感じながら、 私は実家へ向かった。
どうやら家には誰もいないようだ。
自営業を営んでいる父と母は今働きに出ている。
兄弟も何処かに遊びに行っているようだ。
私は居間に腰を下ろし一息付こうと考えたが、
先日までの仕事の疲れと朝早く家を出たことが重なってか、
私は極度の疲れを覚え家族の帰りまで少しの間眠ることにした。
21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:18:11.42 ID:J07Kt5uB0
ピピピピピ。
電話の着信音で私は目を覚ました。
どうやら私の帰郷を知っている友人からのようだ。
用件は晩御飯の誘いだった。
久しぶりに実家に帰ってきたこともあり、 家族と食事を取りたいと思っていたが、やはり友人と会えるのは嬉しい。
私は二つ返事で誘いに乗った。
電話を切り時計を見る。
時間はもう18時を回っている。
大分寝てしまったようだ。
夕日が部屋の中をオレンジ色に染めている。
眩しくて目がうまく開かない。
相変わらずまだ誰も帰って来ていないようだ。
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:19:36.59 ID:J07Kt5uB0
身支度を整え、私は車で友人の家に向かった。
友人の家に着き、呼び鈴を鳴らすとドアから懐かしい顔が覗いた。
久しぶりに会った友人とたわいのない会話をし、
その後近所にある食堂に行くことになった。
昔の思い出話や、最近の状況をお互い話ながら食事を済ませ、
そろそろ店を出ようとしたとき、友人が顔をわくわくさせながら言った。
「なぁ、人肉館に行かないか?」
人肉館とは地元にある心霊スポットの内の一つだ。
それは町外れにある温泉街から少し山を上ったところにある廃墟で、
噂では昔焼肉屋だったが経営難で資金繰りが上手くいかず、
店主が殺人を犯し人肉を商品として出していたという場所だ。
23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:20:25.07 ID:C1ryJ9vt0
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:21:15.48 ID:J07Kt5uB0
始めは乗り気ではなかったが、友人のしつこい誘いと、
オカルトが満更嫌いでもないこともあって行ってみることとなった。
時間は21時を回っていた。
私たちはネットで人肉館の場所を調べ、私の車で早速向かった。
車を走らせること30分。
人肉館がある山の麓までたどり着いた。
山の入口には何故か鳥居があり、その奥に道が延びている。
車のヘッドライトをハイビームにしても、鳥居から少し先は全く見ることが出来ない漆黒の闇だ。
地図では人肉館はここから少し進んだところにあると示されている。
幸いにも車は通れそうで歩いて登る心配はないようだ。
私は慎重に車を進めた。先が全く見えない恐怖と、
これから行く場所への恐怖がアクセルを緩める。
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:22:37.53 ID:J07Kt5uB0
この視界だ、バックで下ることは朝を待たない限り到底無理だろう。
曲がりくねった坂道を登っていくと、 左側に今まで生い茂っていた木がなくなり、建物が見えてきた。
建物の横で私は車を停車し、助手席に居る友人が懐中電灯で建物を照らす。
かなり大きい建物だ。
一面白い壁だがコケが至る所に付いている。
そして以前は看板が付いていたのだろうか、金属のフックが錆だらけになっている。
目の前にはロビーのような広いスペースが広がり、ガラスが所々に散らばっている。
以前は一面ガラス張りで中の様子が外からでも分かるような作りだったのだろと想像する。
そして、奥には机や椅子が目茶苦茶に壊され散らかっているのが見える。
恐らくここが人肉館だと確信する。
私は車のエンジンを切った。
27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:23:14.85 ID:C1ryJ9vt0
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:23:38.30 ID:J07Kt5uB0
虫の泣き声すら聞こえない静まり返った森。
車のヘッドライトを消すのが怖い。
真っ暗な森の中にたった二人。
言いようの無い恐怖に包まれる。
私はヘッドライトを消した。
ここから頼りになるのは二人が持っている懐中電灯だけだ。
私は腕時計を照らして時間を確認する。
時間は22時を回っていた。
人肉館に入る方法は、 入口らしきドアもあるが、ガラスが割れているため正面ならば何処からでも入れそうだ。
しかし建物の左右は木が生い茂るように生えており、 とても建物の横を通って奥に行くことは出来ない。
友人が先頭をきって中に入っていく。
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:25:14.11 ID:J07Kt5uB0
それにしても怖い。
懐中電灯しか頼れる明かりが無く、懐中電灯を次の場所に移したとき、
そこに何か居るんじゃないかと考えてしまう。
入口から入り少し奥に進むと、厨房に入った。
調理台は錆に覆われ、天井は蜘蛛の巣に覆われている。
包丁などの調理器具は何も置かれていない。
ここも入口と同様にカップ麺等のゴミが散乱している。
奥にいる友人が私に懐中電灯を向け、こっちに来いと合図をしている。
どうやら、更に奥に続く道を見つけたらしい。
ヒンジ一つで繋がっていて、
今にも取れそうなドアを開けた私たちは奥に続く廊下に出た。
30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:25:15.87 ID:C1ryJ9vt0
31: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:15) :2012/09/27(木) 22:26:23.72 ID:o6kSE/q80
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:26:24.96 ID:J07Kt5uB0
しかもその扉は南京錠で固く閉ざされているようだ。
腕時計を見る。
時間はもうすぐ23時を回るところだ。
南京錠も付いており、時間も深夜。
私はもうこの辺で引き上げたいと考えていた。
しかし友人は何処で拾ってきたのか、
鉄で出来た棒を南京錠に挟み込み梃子の原理で南京錠を壊そうとしている。
''やめろ''と言いかけた時だった。
金属が壊れるパキンという音が辺りに響いた。
私は無意識に周りを見渡す。
今の音で誰かがやって来るのではないかとは思ってしまう。
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:27:26.23 ID:J07Kt5uB0
私は溜め息をつきながら友人の元へ向かった。
頑丈な扉の先には更に奥に進む廊下と、上の階へと続く階段があった。
今まで施錠されていたためだろうか、これまで散乱していたゴミは無く、物も壊されていない。
まさか焼肉屋の奥がこんなに広いと思っていなかった我々は若干戸惑いを覚えたが、友人は先に進もうと促してくる。
だがもう夜も遅い。
私は友人にここからは二手に別れようと提案した。
友人も今の時間を知ってか、私の提案に渋々賛同した。
それぞれ一通り見て周った後、またこの場所に集合することとし、
友人はこのまま奥の扉の先へ進み、私は二階を見ることとなった。
暗闇の中から階段を見上げる。
階段は5段程登ったところで右に折れている。
34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:27:35.50 ID:BtezKkVJ0
35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:28:32.58 ID:J07Kt5uB0
誰か立っているのではないだろうか。
そういった思いが一歩を遅らせる。
ガタン!
思わず叫び声をあげそうになった。
どうやら友人が先に進んだようだ。
私も意を決し、階段に足を運んだ。
幸いにも階段を曲がった先には誰も居なかった。
階段を登ったところにはドアがあり、私はそのドアを開けた。
懐中電灯で周りを照らしてみる。
事務机が幾つか並んでおり、黒板やホワイトボードが壁に取り付けられている。どうやら何かの事務所のようだ。
更に奥の壁は一面ガラス張りになっている。
36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:29:28.19 ID:J07Kt5uB0
どうやらここから一階が見渡せるようだ。
一階はとても広い部屋で、天井はガラス張りになっている。
ガラス張りのおかげで月明かりが差し込んでおり、広い部屋をなんとか見渡せることができる。
それにしてもかなり広い。
学校の体育館程ありそうだ。
目につくものといえば、巨大な機械が数台と、藁のような草が沢山落ちている。
また中央には円形のスペースがあり、それを中心に柵で作られた囲いが何個も作られている。
よく目を凝らして見ると中央の円形のスペースに何か四角い巨大な箱のような物が置かれている。
ここからではそれ以上見ることが出来ない。
私は暫く考え、この部屋が何を目的として使われていたのか分かった。
恐らく食肉の加工でもしていたのだろう。
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:30:08.09 ID:J07Kt5uB0
真ん中のスペースで解体していたに違いない。
そしてさばかれた肉の一部が料理として出されていた。
噂があっていれば、きっと人もここで解体されていたのだろう。。。
そう考えると、不気味さが一層強くなった。
そんなことを考えながら下を見ていると、
明かりがチラホラと動いているのが見えた。
下の階を見回っている友人だ。
友人は大型機械の付近を歩いている。
しかし暫く見ていると機械の影に入ってしまい、見え無くなってしまった。
その後、私は今居る部屋を一通り見て周り、元来た階段を降りて友人の帰りを廊下で待った。
どのぐらいの時間が経ったのだろうか、友人はまだ戻って来ない。
39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:31:05.29 ID:J07Kt5uB0
友人の身に何か良からぬことが起きたのだろうか。
私は懐中電灯を再び構え友人が入って行ったドアを開けた。
先ほど上から見ていたので大体どのような構造になっているのかは分かるが、
実際に床に足をつけて見るととても広い。
入ってきたドアから通路が奥まで続き、その行き先に上から見た円形のスペースがあるはずだ。
その途中、通路を挟むように大型の機械が置かれている。
大きな声を出し友人を呼べば直ぐに見つかるかもしれないが、
周りは静まり返っており、何故か声をあげることができなかった。
仕方なく周りを注意しながら足を進める。
もしかしたら友人が何処かの影から私を脅かしに飛び出て来るかもしれない。
歩く度に足元にある藁が擦れて、ザザッ ザザッと音がなる。
40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:32:03.54 ID:C1ryJ9vt0
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:32:11.96 ID:J07Kt5uB0
もうすぐ二階から見えた円形のスペースが見えてくるはずだ。
思惑通り少し歩くと円形のスペースが見えてきた。
そして二階からはよく分からなかった、四角い物体も徐々にその姿を現した。
歩く度に鮮明になっていく四角い物体。
それの正体に気がつくまでさほど時間はかからなかった。
四角い物体は巨大な冷蔵庫だった。
家庭用の冷蔵庫ではなく、業務用の大きい冷蔵庫がポツンと置いてある。
何故こんな場所に。。
余りに不自然である。
このような場所では不自然に感じるものほど恐怖を覚えるものは無い。
私は冷蔵庫に近づいてみた。
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:33:16.34 ID:6NlQQP2K0
43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:33:21.87 ID:J07Kt5uB0
取っ手に手を掛け手前に引いてみる。
ガタッ。
ガタッ。
鍵がかかっているのだろうか。扉は開かない。
暫く押したり引いたりを繰り返してみたが扉が開くことはなかった。
私は友人を再び探そうと、先ほど二階で友人を見失った大型機械の方へ向かう為、
冷蔵庫へ背を向け数本歩いた。
その刹那。
ブォォォォォン。
突然の轟音に体が硬直する。
何処から聞こえてきているのかは直ぐに察しがついた。
真後ろにある、冷蔵庫だ。
44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:34:44.55 ID:C1ryJ9vt0
45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:34:51.80 ID:J07Kt5uB0
私は意を決し振り向いた。
足は余りの恐怖で震えが止まらない。
もう何がなんだか分からなくなってきた。
何故急に冷蔵庫が動き始めるんだ。。
数十秒、轟音を発する冷蔵庫をただ呆然と眺めていると、やがて音は止んだ。
そして、、、
ギィィィ。
冷蔵庫のドアが開いた。
重く、鈍い音が部屋に響き渡る。
ドアはこれでもかというほど遅く、遅くその奥に隠されていた物をさらけ出していく。
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:35:28.19 ID:mUqPbVSq0
47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:35:30.15 ID:/ghdwZsm0
49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:36:02.10 ID:J07Kt5uB0
見慣れた鼻、
見慣れた口、
見慣れた顔だ、
友人の首がそこにはあった。
友人とは中学生からの付き合いである。
中学生時代は殆ど毎日登下校を共にし、沢山遊んだ。
高校、大学はそれぞれ別の学校へ進学し、その後友人は地元企業へ就職。
私は東京の企業に就職した。
お互い違う県に住んでいても、帰郷したときには必ず一緒に酒を飲みに行く。
何でも話し合える大切な友人だ。
51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:36:42.68 ID:6NlQQP2K0
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:37:05.15 ID:J07Kt5uB0
両目から血が流れ、黒目は左右別の方向を向いている。
そして口からは蛇のように長い舌が飛び出ている。
恐らく、切り取られて口にくわえさせられているのだろう。
私は失禁した。
そして、震えが絶頂に達した足は私の体重を支える力を失い、私はその場に座り込んだ。
ただ、ただ、悲しみに暮れ、呆然とすることしかできなかった。
そして、、、、
カシャー。
カシャー。
どこからともなく、金属の擦れる音が聞こえて来る。
どうやらその音は冷蔵庫の奥、 月明かりが届かない闇の中から聞こえてくる。
53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:38:08.54 ID:J07Kt5uB0
光の中から徐々に何かが現れてくる。
ゆっくり、ゆっくりと、、、、
それは、とてつもなく長い包丁を両手に持ち、血だらけのエプロンと手袋を着けた男と、
真っ赤な血に染まった友人の服を着た女だった。
女の手には人の腕が握られている。
男が両手に持っているのは牛の首を斬首するための包丁なのだろうか。
刃は錆びきっており、血がこびりついている。
男は笑顔で、その両手に持った包丁をしきりに擦り合わせている。
56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:39:10.73 ID:J07Kt5uB0
女はその腕時計を狂ったように外そうとしている。
私はその腕時計が何を意味しているのか考えたくもなかった。
彼等は私に、友人を失ったことに対して悲しんでいる時間を与えてはくれなかった。
男が両手の包丁を振り上げながらこちらに向かって走って来る。
殺される。
私は立ち上がり、全力疾走で今来た道を走った。
一度も振り返ることをせず、 ただ、ただ、出口に向かって走った。
後ろからはガシャンガシャンと物が壊される音と、叫び声が聞こえてくる。
走りながら私が聞いた言葉は、 「いただきます」という言葉だ。
男はその他にも意味不明なことを叫んでいる。
58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:39:31.10 ID:mUqPbVSq0
60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:40:15.48 ID:J07Kt5uB0
震える手を押さえながらイグニッションを回す。
直ぐにエンジンが掛かり、私は車を走らせた。
山の麓にはどこかで転回しないと戻れない。
私は山を登った。
曲がりくねった山を登っていくと、やがて霧が辺りを覆ってきた。
霧のせいで殆ど視界はゼロに近い。
やもえず速度を落とし転回できるスペースが無いか辺りを良く見回す。
見回しながら車を進めていくと、この道の終了を意味する、鉄製の丈夫な門が現れた。
門には鎖が何重にも巻かれており、例え車で突っ込もうとも開くことはないだろう。
それを見て私は車を止めた。
そして友人のことを考え泣いた。
泣きながら窓の外を見る。
そして私は携帯電話を取り出した。
63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:41:34.79 ID:J07Kt5uB0
件名:ごめんね。
本文:
お母さんごめん。
やっぱり東京に戻るよ。
ちょっとやぼ用が出来ちゃってさ。
お母さんの作ったご飯、久しぶりに食べたかったけど残念だな。
また来るからね。
本当にごめん。
送信を終え、私は携帯電話を閉じる。
そして、、
先程から私の横に立っていた男は、
私が携帯電話を閉じるのを見て、
車の窓ガラスを叩き割った。
後はご想像にお任せします。
65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:43:03.68 ID:mUqPbVSq0
66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:43:35.98 ID:C1ryJ9vt0
ありがとうー
68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:43:42.98 ID:J07Kt5uB0
78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:49:26.01 ID:J07Kt5uB0
83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:52:23.64 ID:hqcY+ybYO
69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:44:44.72 ID:cxNWJIyT0
幽霊とか信じたことなかったけどあれは同考えてもおかしい
67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:43:41.33 ID:sChWnGQQ0
農家なんだけど、何かそういった雰囲気が好きで、高校になってバイクに乗る
ようになると、夏休みとか冬休みなんかにはよく一人で遊びに行ってた。
じいちゃんとばあちゃんも「よく来てくれた」と喜んで迎えてくれたしね。
でも、最後に行ったのが高校三年にあがる直前だから、もう十年以上も行っていないことになる。
決して「行かなかった」んじゃなくて「行けなかった」んだけど、その訳はこんなことだ。
春休みに入ったばかりのこと、いい天気に誘われてじいちゃんの家にバイクで行った。
まだ寒かったけど、広縁はぽかぽかと気持ちよく、そこでしばらく寛いでいた。そうしたら、
「ぽぽ、ぽぽっぽ、ぽ、ぽっ…」
と変な音が聞こえてきた。機械的な音じゃなくて、人が発してるような感じがした。
それも濁音とも半濁音とも、どちらにも取れるような感じだった。
何だろうと思っていると、庭の生垣の上に帽子があるのを見つけた。
生垣の上に置いてあったわけじゃない。
帽子はそのまま横に移動し、垣根の切れ目まで
来ると、一人女性が見えた。まあ、帽子はその女性が被っていたわけだ。
女性は白っぽいワンピースを着ていた。
でも生垣の高さは二メートルくらいある。その生垣から頭を出せるってどれだけ背の高い女なんだ…
驚いていると、女はまた移動して視界から消えた。帽子も消えていた。
また、いつのまにか「ぽぽぽ」という音も無くなっていた。
71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:44:58.72 ID:sChWnGQQ0
その後、居間でお茶を飲みながら、じいちゃんとばあちゃんにさっきのことを話した。
「さっき、大きな女を見たよ。男が女装してたのかなあ」
と言っても「へぇ~」くらいしか言わなかったけど、
「垣根より背が高かった。帽子を被っていて『ぽぽぽ』とか変な声出してたし」
と言ったとたん、二人の動きが止ったんだよね。いや、本当にぴたりと止った。
その後、「いつ見た」「どこで見た」「垣根よりどのくらい高かった」
と、じいちゃんが怒ったような顔で質問を浴びせてきた。
じいちゃんの気迫に押されながらもそれに答えると、急に黙り込んで廊下にある電話まで行き、どこかに電話をかけだした。
引き戸が閉じられていたため、何を話しているのかは良く分からなかった。
ばあちゃんは心なしか震えているように見えた。
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:45:47.36 ID:/ZAPzStr0
73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:46:06.11 ID:sChWnGQQ0
「今日は泊まっていけ。いや、今日は帰すわけには行かなくなった」と言った。
――何かとんでもなく悪いことをしてしまったんだろうか。
と必死に考えたが、何も思い当たらない。あの女だって、自分から見に行った
わけじゃなく、あちらから現れたわけだし。
そして、「ばあさん、後頼む。俺はKさんを迎えに行って来る」
と言い残し、軽トラックでどこかに出かけて行った。
ばあちゃんに恐る恐る尋ねてみると、
「八尺様に魅入られてしまったようだよ。じいちゃんが何とかしてくれる。何にも心配しなくていいから」
と震えた声で言った。
それからばあちゃんは、じいちゃんが戻って来るまでぽつりぽつりと話してくれた。
74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:48:00.47 ID:C1ryJ9vt0
76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:48:19.89 ID:sChWnGQQ0
八尺む様は大きな女の姿をしている。名前の通り八尺ほどの背丈があり、「ぼぼぼぼ」と男のような声で変な笑い方をする。
人によって、喪服を着た若い女だったり、留袖の老婆だったり、野良着姿の年増だったりと見え方が違うが、女性で異常に背が高いことと頭に何か載せていること、それに気味悪い笑い声は共通している。
昔、旅人に憑いて来たという噂もあるが、定かではない。
この地区(今は○市の一部であるが、昔は×村、今で言う「大字」にあたる区分)に地蔵によって封印されていて、よそへは行くことが無い。
八尺様に魅入られると、数日のうちに取り殺されてしまう。
最後に八尺様の被害が出たのは十五年ほど前。
これは後から聞いたことではあるが、地蔵によって封印されているというのは、八尺様がよそへ移動できる道というのは理由は分からないが限られていて、その道の村境に地蔵を祀ったそうだ。
八尺様の移動を防ぐためだが、それは東西
南北の境界に全部で四ヶ所あるらしい。
もっとも、何でそんなものを留めておくことになったかというと、周辺の村と何らかの協定があったらしい。例えば水利権を優先するとか。
八尺様の被害は数年から十数年に一度くらいなので、昔の人はそこそこ有利な協定を結べれば良しと思ったのだろうか。
80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:50:04.42 ID:sChWnGQQ0
そのうち、じいちゃんが一人の老婆を連れて戻ってきた。
「えらいことになったのう。今はこれを持ってなさい」
Kさんという老婆はそう言って、お札をくれた。
それから、じいちゃんと一緒に二階へ上がり、何やらやっていた。
ばあちゃんはそのまま一緒にいて、トイレに行くときも付いてきて、トイレのドアを完全に閉めさせてくれなかった。
ここにきてはじめて、「なんだかヤバイんじゃ…」と思うようになってきた。
しばらくして二階に上がらされ、一室に入れられた。
そこは窓が全部新聞紙で目張りされ、その上にお札が貼られており、四隅には盛塩が置かれていた。
また、木でできた箱状のものがあり(祭壇などと呼べるものではない)、その上に小さな仏像が乗っていた。
あと、どこから持ってきたのか「おまる」が二つも用意されていた。これで用を済ませろってことか・・・
「もうすぐ日が暮れる。いいか、明日の朝までここから出てはいかん。俺もばあさんもな、お前を呼ぶこともなければ、お前に話しかけることもない。
そうだな、明日朝の七時になるまでは絶対ここから出るな。七時になったらお前から出ろ。家には連絡しておく」
と、じいちゃんが真顔で言うものだから、黙って頷く以外なかった。
「今言われたことは良く守りなさい。お札も肌身離さずな。何かおきたら仏様の前でお願いしなさい」
とKさんにも言われた。
85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:52:36.07 ID:sChWnGQQ0
部屋に閉じ込められるときにばあちゃんがくれたおにぎりやお菓子も食べる気が全くおこらず、放置したまま布団に包まってひたすらガクブルしていた。
そんな状態でもいつのまにか眠っていたようで、目が覚めたときには、何だか忘れたが深夜番組が映っていて、自分の時計を見たら、午前一時すぎだった。
(この頃は携帯を持ってなかった)
なんか嫌な時間に起きたなあなんて思っていると、窓ガラスをコツコツと叩く音が聞こえた。
小石なんかをぶつけているんじゃなくて、手で軽く叩くような音だったと思う。
風のせいでそんな音がでているのか、誰かが本当に叩いているのかは判断がつかなかったが、必死に風のせいだ、と思い込もうとした。
落ち着こうとお茶を一口飲んだが、やっぱり怖くて、テレビの音を大きくして無理やりテレビを見ていた。
そんなとき、じいちゃんの声が聞こえた。
「おーい、大丈夫か。怖けりゃ無理せんでいいぞ」
思わずドアに近づいたが、じいちゃんの言葉をすぐに思い出した。
また声がする。
「どうした、こっちに来てもええぞ」
じいちゃんの声に限りなく似ているけど、あれはじいちゃんの声じゃない。
どうしてか分からんけど、そんな気がして、そしてそう思ったと同時に全身に鳥肌が立った。
ふと、隅の盛り塩を見ると、それは上のほうが黒く変色していた。
87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:55:03.60 ID:hqcY+ybYO
改めて読んでみると怖いな
ビクビクする恐ろしさはないもののなぁ
88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 22:56:34.52 ID:J07Kt5uB0
89:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 23:00:13.87 ID:hqcY+ybYO
91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 23:02:25.63 ID:sChWnGQQ0
キラキラと輝く粉塵と共に今年の新作のワンピースを着た八尺様がステージ上に現れた。
「ムコは!!」「DO-KO-DA!!」
女性にしては骨太で、力強い声がステージに鳴り響く。
今晩も伝説のリリックが聴ける。ストリート生まれヒップホップ育ち。本物のラップが聴けるのだ
派手な衣を新調し、螺髪を解いた仏像がターンテーブルをいじりながら目で八尺様に合図する。
重たいサウンドがスピーカーから響く。ショウの始まりだ
「 ここでTOUJO! わたしMOURYO! さんぽか?SOUKAI! 婿はDOKODAI? 思わぬTENKAI! 惚れてKOUKAI!彼を見つけたKYU-KOBAI!
(ドゥ~ン ドゥンドゥンドゥ~ン キュワキャキャキャッキャキュワキャ!)
若者減少! 年寄り増加! 地蔵が障壁! 村に住み着き! 巨体に期待をピット Yah! しまいにゃ婿もゲット Yah! どこだフィアンセ婚活MONDAI! そんな毎日リアルなSONZAI!
SAY HO!(HO!) SAY HO HO HO HO!」
仏像のプレイも好調だ。オーディエンスの熱狂はこわいくらいだ
まだ俺らの時代は始まったばかりだ、そんなメッセージが
マシンガンのように八尺様の口から飛び出していく。
俺たちは八尺様に魅入ってしまったのだ。
96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 23:13:42.30 ID:hqcY+ybYO
97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 23:16:26.85 ID:wdqS4kUZ0
98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 23:17:12.64 ID:gYmIMZhP0
99:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 23:19:47.91 ID:55luHGJ3O
ってのはどうよ
104:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 23:23:49.48 ID:GCPW5u3R0
107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 23:26:48.45 ID:/hmpXhp20
外出中に今日家の鍵かけて出てきたっけなって思うときない?
そんで家帰ってきた時に鍵しまってたら安心するだろ?
本当にそこで安心していいの?
本当に鍵を掛け忘れて家を出たなら何で今鍵閉まってるの?
108:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 23:27:56.69 ID:gYmIMZhP0
やめろください俺今一人暮らしだから((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
110:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 23:29:40.41 ID:5a8LVk010
105:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/27(木) 23:24:21.15 ID:80TYm2DZ0
しかも今年24日振替休日だぜ
引用元:怖い話おしえろ
0 件のコメント:
コメントを投稿